☆拍手御礼
どなた様か「ステア」「ストレンジャー イン ホラー」「消された言葉」へ三連続?拍手ありがとうございました! 地味目カテゴリ★デジャヴ なので、反応いただけて嬉しいです(*^^*)!
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予兆(新一×快斗)
カテゴリ★インターセプト2
※インセプ2、もひとつ続けちゃいます(汗)。今度は新一視点にて。
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半日ぶりにテレビのニュースを見て驚いた。
怪盗キッドがY地区に新しく開設された美術館に犯行予告を出していたなんて、知らなかった。
快斗のやつ…こないだ逢ったのに、そんな素振りまったく見せなかった。オレを煙に巻きやがって。
コネを使って警察関係者から話を聞くと、美術館の主は最新警備システムを理由に警察の警護を断ったあげく、まんまとキッドに〝お宝〟を盗まれたとの事だ。しかも報道や野次馬が集まるのを嫌ってキッドの予告があった事を伏せさせていた。
それでも最低限警察に通報はしてあったので、ある程度は保険が利くらしい。そのへんは美術館もちゃっかりしている。
「…………」
保険か。ジュエルが戻された、とは言っていなかった。
では…キッドはジュエルを持ち帰ったんだろうか?
月が出ていなかったのか?
それとも。
キッドは必ず盗んだジュエルを月に翳す。そして〝これも違う〟と呟いては盗んだジュエルを置き去ってゆく……。
快斗と出逢って数ヶ月経つが、あいつは未だに何を探しているのかオレに明かそうとしない。
オレなりに月とジュエルの関係を調べてみたが、キッドの犯行に結びつきそうなネタは出てこなかった。
もっとも、広大なネット世界の情報は凄まじい勢いで刻一刻と更新されている。
もう一度調べ直してみるか…。
その前に、まず今回の犯行時の天気を確認だ。ネットで当日深夜のY地区天気をググる。
…晴れ後曇り。時間で追うと……。
〝コン、コン〟
「…あっ」
窓の外に逆さの快斗がぶら下がっている。オレと目が合うと逆さまのままニッと笑って手を振った。
慌てて窓を開ける。
くるりと反転して足から部屋に飛び込んできた快斗は、〝よっ〟と言って笑った。
「なにが、ヨッ、だよ。オレが知らねー間に!」
「何のことかな」
「〝妖虹のビッグダイヤ〟盗んだんだろっ。ビンゴだったのか!?」
「さあて」
「さあて、じゃねえ! しらばっくれんな怪盗!」
ピッ。
テレビが付いた。オレの部屋の棚に設置した小型テレビ。いつの間にか快斗がリモコンを持っている。素早い。
ちょうど23時のニュースが始まっていた。
─────…xx美術館所蔵のビッグダイヤが、昨日午後、美術館に四日ぶりに戻されました。そばに怪盗キッドのメッセージカードがあり、警察の鑑定の結果…ダイヤもカードも本物と─────
ジュエルとカードが画面に映っている。
振り向くと、快斗は小さく肩を竦めた。
「月が雲に隠れちゃってさ。すぐに戻せなかったんだ」
「本当か?」
「なんで?」
「…………」
些細な違和感だった。
快斗がこれまでわざわざ〝月が出ていなかったから〟などとオレに言ったことがあっただろうか。
「それよりさ、そろそろ工藤も警察にちゃんと警護頼んだ方がいいぜ。世の中物騒だからな」
「警護なんか要らない」
「おまえがそこの椅子に座ってれば、大通りのマンション屋上から狙えるぜ」
「間に木があるし、遠すぎる」
「やつらがその気になれば、向かいの家の屋根からだって」
「住宅街だぜ。黒ずくめの怪しい連中がうろついてたら、すぐ見咎められるさ」
「なんなら隣の女の子と一緒にFBIに匿ってもらえばいい」
灰原のことか。
「なんだよ急に。こっちに口出しすんなら、おまえも何を探して誰に狙われてんだか言え!」
「やーだね」
「このっ」
いつもの不毛な会話。互いを心配していても、話が前に進まない。
抱き締めると、快斗が耳元で囁いた。
「な…工藤。今度さ……、俺からさせてくんねーかな」
「えっ?」
させてくんねーかな、とは。
「そんな驚くかよ。なんとなく成り行きで俺が〝下〟になっちまってるけど」
「……そ、そのことか」
快斗が言ってる意味を理解して、かあっと顔から熱が噴いた。
つまり快斗は自分にも〝させろ〟と言っているのだ…オレに。
いつか言われるかもと内心思ってはいたけれど、ついにきた。
「うー、ううん…」
想像するだに恥ずかしい。しかし自分は快斗に強いていて、快斗の希望を一度も聞かないというのも……悪いとは思う。思うが。
「なに唸ってんだよ。いいだろ、たまには。俺だって……」
「…………」
そりゃあ分かる。男だもんな。してみたいという気持ちは解る。
だが、快斗を〝愛する〟ことがスタンダードになっているオレにとって〝愛される〟側に回るというのは正直かなり抵抗がある。というか、はっきり言ってヤバイ。コワイ。
「そんなにヤかよ」
「いや、だが、その…」
「すぐにとは言わねーよ。いきなりじゃ可哀想だから、心の準備させてやる」
「べっ、べつに…!」
「ふうん? なら今から戴いちゃってもいいわけ」
にこりと微笑む快斗に見つめられて、信じられないぐらいビビってる自分に思わず仰け反る。
「や、、待て待てっ。いきなりは無理だ」
「なんだよ。人のこといっつも押し倒してやりたい放題のくせに」
「ばっ、ちゃんと思いやってるだろ!」
「そうかあ? こないだなんか酷かったぜ」
うう。まずい。あんな勢いでやり返されたら堪らない。
「わ、わかった、から、その…つ、つぎな。次。その…少し時間くれたら…覚悟しとくから」
「よし。それでこそ名探偵。俺たちフィフティ・フィフティが基本だもんな♪」
「帰るのかよ?!」
「今日は近くまで来たから寄っただけ。それとも、する? 今夜はいつも通りで構わないぜ」
「……………」
無理そうだ。やること為すこと〝やり返される〟と考えたら、落ち着ついて出来そうにない。
オレがもごもごしてるのを可笑しそうに見ていた快斗だったが、じゃあまた、と言ったと思うと、あっという間に煙幕の中に消えてしまった。
気が付くと、オレのシャツの胸ポケットにカードが差し込まれていた。
〝NW天翔ける夜、名探偵を戴きに参ります。体磨いて待ってろよ! 怪盗キッド〟
くく、、快斗のやつ~~っ(>_<);;;
オレはキッドの予告状を手に、ひとり赤面して部屋に立ち尽くしていた。
ネクストウィーク天翔ける夜。フライデーナイトか。
ちょうど一週間後だ。
ごくり。
なんとか自分を落ち着かせようとする。
そうだ、恋は独り善がりじゃいけない。相手の気持ちも尊重しなけりゃ。
快斗がオレを……って言うなら、一度くらい聞いてやんなきゃ。一度で済めばいいけど。イヤイヤ。しっかりしろオレ。我ながら狼狽えすぎだろ。
快斗の申し出に驚き舞い上がってしまったオレは、今夜の快斗との会話の中でもっと注意すべき点があったにも関わらず、その時覚えた違和感や唐突な警告の意味を深く考えるタイミングを逸してしまった。
快斗と愛し合う新たな形を想像して、その夜はなかなか眠れなかった。
快斗がどんな想いを秘めて今夜オレの元を訪れたのか、その時のオレは何にも解かっていなかった。
20130416
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※次は少し間を空けて、このブログ初の〝快新〟にチャレンジ予定です。…って、ホントにやれるのかーっ(^^;)?
☆拍手御礼★インセプ2
「言伝」「パリの灯」にまでも拍手下さった寛大な方々、ありがとうございます。さらに次はまさかのリバッ(*_*;
自分でもちゃんと書けるか不安です。苦手な方、ごめんなさい~。インセプ2、先は見えませんが、気長にお付き合いいただければ幸いです…。
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