名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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言伝─ことづて─《2/2》(新快前提 白馬×快斗)
カテゴリ★インターセプト2
※引き続き白馬くん視点。
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しかし、黒羽は捕まらなかった。
彼がいつ姿を消すかと思うと、気が気ではない。

僕はいよいよ本気で彼を捕まえることにした。そうでもしないと黒羽と話が出来ないのだから。

屋上で話を聞いてから三日目。金曜の放課後だった。僕はクラスの生徒に頼んで黒羽を呼び出した。先生が職員室で呼んでいると偽って。

廊下を曲がってきた黒羽の背後に近寄り、首に腕を回した。アッと黒羽は一瞬身を硬くしたが、僕と気付くと諦めた眼をして大人しくなった。
他の生徒達が笑いながら行き過ぎる。ふざけ合っているくらいに見えただろう。
待ち伏せていた談話室に入るよう促した。
渋々といった様子で黒羽が従う。

「……先生の呼び出しってテメーの嘘だったのかよ。ったく、まわりくどいことしやがって」

「君が逃げ回るからでしょう!!」

「おめーがみんなの前でズカズカ近寄るからだろ」

「君はねえ…! あんな事を言うから、僕は気になって」

「俺、なんか言ったか? おまえに」

ダン!と僕は談話室の机を力任せにグーで叩いた。犯人に自白を迫る刑事のように。

「君は、いったいこれから何をするつもりなんですか」

「別になにも」

「白々しい。もし何か危険な事をするつもりでいるなら──────僕は君を捕らえて、一月でも二月でも閉じこめて外に出しませんよ」

「あほか。なに言ってんの」

「本気ですよ、僕は!」

壁際に立つ黒羽の制服の襟に、僕は掴みかかった。

「離せよ」

「僕の質問への答えは?」

「何の質問だよ。しらねーよ」

「ではなぜ〝戻ってこなくても心配するな〟などというふざけた言伝を僕に託したんです!」

「そんなこと言ったっけ」

「言ったでしょう、屋上で! まったく…なんなんですか、君はいったい。僕をこんなに……」

こんなに。

こんなに心配させて。惑わせて。

だが、見下ろした黒羽は平然とした顔で激高する僕を見つめていた。ますます頭にくる。

「……工藤新一は、知っているんですか」

「は?」

僕が出した名前を聞いた黒羽の表情が、僅かだが強張った。それがさらに僕の激情を煽る。

何だろう、この異様な焦りは。

なぜ僕はこんなに怒っているのか。

いや…違う。
僕は嬉しかったのだ。
黒羽に密やかな言伝を託されたことが。
黒羽にほんの少しでも頼られたことが。

だが、あれがもし黒羽が〝日常〟から逸脱するために残す言葉なのだとしたら……あまりに簡単すぎやしないだろうか。
僕や、幼なじみの彼女や、先生や、多くのクラスメート達を置き去りにして、いったいどこへ向かうというのか。

「白馬……」

「………」

ふと我に返ると、僕は黒羽の背を壁に押し付け、抑え込んでいた。
黒羽は真顔で、ただ僕を見上げている。
一つ息をついてから、僕は言った。

「…下手に抵抗すれば、僕がますます逆上すると思っているんでしょう」

「分かってんなら早く放せよ」

「来週ちゃんと登校しますか」

「たぶん」

「たぶん、ね……。もし君がやむを得ない事情でどこかへ旅立つと言うなら、いつなのか教えて下さい」

「わからない」

「これだけ言っても話してくれないのですか」

「……………」

黒羽の瞳。近かった。
黒羽の唇に目を奪われる。
とくん、と鼓動が跳ねた。

狭い部屋を不意に意識する─────。

僕の気配の変化に黒羽も気付いたようだ。僕自身も驚いていた。

そうか…。
僕は黒羽に惹かれているのだ。

だからこの場に関係ないはずの工藤新一の名を出し、それに反応した黒羽に思わず逆上した。
つまり……嫉妬だ。

僕はゆっくり黒羽に顔を近づけた。
黒羽は動かない。意地っ張りめ。
息がかかるほどに顔をよせて、僕はもう一度囁いた。

「黒羽くん、君をこれ以上危険な目に遭わせたくない」

「これ以上って?」

「怪盗として、白い翼で標的になりながら飛び回ることです」

「なんのことだか……」

僕は黒羽に口付けた。

唇を押し当てている間じっと息を潜めていた黒羽だが、僕が舌を忍ばせようとするとハッとしたように顔を背けた。

「黒羽くん、君は……工藤新一とは」

「どけ、バカやろうっ」

もがく黒羽を僕は抱き締めた。
制服の下の華奢な体躯を感じて思わず腕に力がこもる。深く抱え込んで黒羽の髪に顔を埋めた。

「あーもう、放せっ。わかったからっ」

「本当ですか…。危険な事は極力しないと約束して下さい。そうでなければ、僕は君をこのまま拉致します」

「んなこと言われても……。もう…なんだよ、テメーは。人選誤ったよ」

「申し訳ないですね。では人選誤りついでに、僕に君からのキスを下さい」

「な…、調子に乗んじゃねえや!」

「お願いです。君からのキスが欲しい。僕は今やっと気が付いたんです。僕は、君のことが」

「バカ、言うな」

僕の告白を遮るように、黒羽はチュッと啄むようなキスをくれた。
本当は放したくなかったが、僕は腕を解いた。黒羽が息をついて後ずさる。

「おめー、学校に物騒なもん持ってくんなよな」

「ばれてたんですか」

「最初ポケットに手を入れてただろ。分かるっつの」

僕がスタンガンを懐に忍ばせていた事に気付いていたのか。さすが怪盗。

「だから無理に抵抗しなかったんですね」

「気ぃ失ってる間に何かされちゃたまんねーからな…わっ」

バチバチ!! 電気の衝撃音が鳴る。

「ひっこめろ、アブねー!」

「いまからでも、これで襲って僕の家に連れ帰るという手もあります」

「冗談に聞こえないからヤメロ」

「ジョークは言いません。特に心の内を本当に見たい相手にはね」



結局、僕は黒羽からはっきりした答えは得られずじまいだった。
ただ…無闇に危ない真似はしない、必ず戻るという黒羽の言葉を信じるしかなかったのだ。


そんな出来事があってから、一週間、二週間と過ぎた。
表面上は穏やかで賑やかな、変わりない日常が続いていた。黒羽は元気に登校を続けている。

僕は黒羽に託された言伝を忘れてしまっていいのかもしれない。その用はなくなったのかもしれない。多分に願望を込めつつ、そう考え始めていた。

僕は黒羽のことを、知らなすぎた。
あんな言葉を信じようとした僕は、本当に甘かったのだ。

そして、その日は唐突に訪れた。

黒羽快斗は消えた。
僕の前から。みんなの前から。
江古田高校の日常から、彼の姿はある日突然消えてしまったのだ。





20130413

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※白→快、過去にupしたものと描写が被り気味(@@;)ですが、このブログのベーシックということでご容赦を~。
※そして話的にめっさ途中ですみません(*_*;
タイトル・場面を変えて、近日また続けます…。


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