名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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月光リフレクション《side K》(快斗×新一)
カテゴリ★インターセプト2
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時は来た。月明かりが照らす静まり返った町並みの上空を飛ぶ。

やがて目的の場所に、放たれた窓からカーテンが揺れているのが見えた。

俺はグライダーをコントロールし、勢いをセーブしつつ翼を閉じると工藤の部屋に飛び込んだ。

足を窓の桟に着いてワンクッション、流れで部屋の床に着地し、頭から転がる。
くるりと一回転して立ち上がった。
もちろん普通の住宅ではこうはいかない。工藤邸の広い造りだからこそ出来る。

マントを翻して振り向き、時間通り待っていてくれた名探偵に俺は颯爽と礼をした。

「こんばんは…私の名探偵。覚悟はよろしいですか?」

シーン。

─────あれ?

俺は目を疑った。
工藤のやつ、スーツ姿でベッドに斜めになって仰向けで寝てやがる。

(オイオイッ…嘘だろぉ)

なんだよ! 人が一世一代のシチュエーションで乗り込んできたってのに、目的の恋人が寝てるって有り得ねえだろ!

「名探偵…?! あのう、お約束の時間ですが」

近付いて顔を覗き込む。

なんだこれ。まじで寝てんの?
やれやれ……緊張しすぎで寝不足なのか、それとも謎解きでもして疲れてんのか?

いきなり出鼻を挫かれ、俺は肩を竦めた。
落ち着け。怪盗は臨機応変、変幻自在。
さて…だがどうする。

カサッ。衣擦れの音。
気配が動いた。寝返りか…?

ハッと見ると、工藤の腕が持ち上がっていた。

「…アブねっ!!」

シュッと微かな音が耳元を掠める。

「うわあ」

麻酔針を外した工藤が目をまん丸くして起き上がる。

「名探偵、何をするんです!」

「わあ、わあっ、ご、こめん! まさかキッドが来るなんて……」

アワアワ言いながら工藤がベッドに尻餅着いたみたいな格好で後ずさる。
起きてたんじゃん! で、なにやってんだコイツ?!
俺はベッドに片膝を乗せると、麻酔針の仕返しにトランプ銃を工藤の目の前に突き付けた。

「うっ…」

顔を朱くした工藤が両手を左右に掲げて降参の意を示す。

「ご、ごめん、快斗…、いやその、キッド。オレ…でも、キッドが来るなんて…!」

「往生際が悪いですね、名探偵。まさか私を麻酔で眠らせて逆に襲うつもりだったとか」

「う、それは…いや、そ、そんなつもりは」

そうなのか。コイツめ。

「今夜どれだけ私が気合いを入れてお邪魔したか、ご理解願いたいですね。お約束を反故にされるおつもりだったとはショックです」

「だ、だから…これはその……最初からそうするつもりだったんじゃなくて、キッドが来たから思わず…。ごめん……」

工藤は本当に困った顔をして俺から目を逸らした。いつもの名探偵とは思えない様子に思わず心の中で吹き出す。
どうやらマジでテンパっているようだ。
あげくに、じっとしていられずこの有り様か。まったく。

「名探偵」

「あ…っ」

トランプ銃を脇に置き、俺は工藤の顎に手袋の指をかけた。
くいと持ち上げて工藤の瞳を覗き込む。

よく見ると、シルクハットの俺を映した瞳が潤んで小刻みに震えている。
…やばい。工藤ってば、今夜はやたらカワイイ。立場が逆転するって不思議だ。いつも俺を抑えつける自信満々の冴えた瞳はどこ行っちゃったんだ。

主導権を握っている事を実感し、俺は微笑んだ。
工藤にキスをする。いや…しようとした。

ジャキ。

「は」

「う、う、動くな」

工藤がトランプ銃を手にして俺の顎に押し付けている。
…なんでだよ。進まねえじゃねえか、オイッ!!

「あのですね、名探偵」

「キッ…ド」

トランプ銃を持つ工藤の右手首を掴み、銃口を脇に向けさせた。途端にパシュと射出音がして、トランプが一枚そっちの壁に突き刺さる。
あっ…と、自分で撃ったくせに工藤は驚いた声をあげた。その手からトランプ銃がシーツにポトリと落ちる。
冷静を欠いている恋人を見つめ、今度こそ俺はその唇にキスをした。
優しく、宥めるように………。


唇を離し、白い手袋の両手で工藤の頬を包み込んだ。

「名探偵…どうぞ気を楽に」

「…………」

「キッド……何故、おまえが─────」

「今さらのご質問ですね。きちんと予告状をお出ししたはずですが」

「そ…だけど、でも」

まだ言うか。

「では、あらためて。名探偵の身も心も、今宵この怪盗キッドが頂戴する事を…お許し願いたい」

「キッド…!!」

不意に息を弾ませ、工藤が俺の首に腕を回してくる。よしよし。俺はその背を抱いてベッドに両膝を乗せ、工藤に横になるよう促した。
工藤の脇に両手を着き、呆然とした顔の工藤を見下ろす。

「お許しいただけますね?」

「…………」

俺は真剣に工藤を見詰めた。
キッドの姿なら言える。

「愛しています。名探偵」

「─────オレ…も。キッド、オレも、おまえが好きだった。ずっと…ずっと!」

工藤が掠れ声で応える。
嬉しい。
が、なにか噛み合ってない。
俺はキッドを演じてしまい、工藤は工藤で快斗とキッドが一致しないんだ。頭では解っていても。

微妙に複雑だが…まあいいか。
今夜はキッドが、そしていつか快斗が名探偵を〝戴く〟ことが、もしも出来るとすれば……それって二度美味しいわけじゃん。

ふふ、と俺は笑った。
怪盗の必殺の微笑みを浮かべ、モノクルの紐飾りを揺らす。
名探偵に暗示をかけておこう。
クローバーを見たら、工藤はきっと今夜の事を思い出す。俺を。怪盗キッドを。

工藤から体の力が抜けるのが解った。
ようやく観念したか。
指先を工藤のネクタイに滑らすと、工藤の胸が呼吸で大きく波打った。

俺は体を落とし、その吐息を味わうように自分の唇を重ね合わせていった。

開けっ放しの窓のカーテンが、棚引いていた。



20130515

月光リフレクション《side S》へ
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※(@_@)あれー、次は本番と予告したにもかかわらず、気合い入りまくりの快斗くんとテンパり新一くんの挙動不審でなかなか進まず、引っ張る形に…スミマセンッ。果たしてウマくいくのか《快新》?!!
……にしても、カテゴリ★インセプ2はシリアス路線目指してた筈なのに…困ったなもう~(^。^;)!!


・・・拍手御礼・・・

新K「誘惑」、普通の高校生パラレル「確率」、さらに「月光リフレクション《前夜》に拍手ありがとうございました~ !!
マユミ様、コメント多謝です~(*^^*)♪

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