潜行(新一×快斗)R18
カテゴリ★インターセプト《番外編》
※前回『闖入者』の続きです。
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帰りの電車で不意に訪れる沈黙。
さっきまでスタジアムでサッカー観て、二人してあんなに盛り上がって騒いでいたのに。
降りなきゃ。次は乗り換えの駅だ。
工藤はこのままこの電車に乗って帰る。
そろそろ次のシゴトの準備が始まる。
工藤に逢いに来たのはあくまで黒羽快斗としてであって、怪盗としてそうそう探偵とくっ付いて過ごすわけにはいかない。自分にいい聞かせる。
「んじゃな、工藤」
「ああ…今日はサンキュ」
極力普通に、当たり前に短い挨拶を交わして俺は電車を降りた。
振り向くのはやめて足早に階段を駆け上がる。工藤の乗る電車が発車してゆく。
「………」
何だろう、この気持ち。淋しいとでも言えばいいのだろうか。まるで自分の一部が引き剥がされてゆくような切なさ。出来るなら、もっとそばにいたかった。
(マジやべえな…俺)
頭の中は工藤のことで一杯だ。ビョーキだよ、もう。
乗り換えた電車は空いていて、俺は座席に座って携帯を取り出した。
ボタンを押して画面を見つめる。このまえ交換した工藤のアドレス。まだ一度も送信してない。何度かメールを打ちかけては消去を繰り返していた。今も。
はあ~。
ため息を付いて携帯をしまう。目を閉じた。
(…?)
誰かが前に立つ。車内は空いているのに。と、突然胸ポケットに入れた携帯が振動した。
慌てて取り出し、画面を開く。メールだ。ドキンとした。
工藤から。
────今から、おまえんとこ行ってもいいか?
「………」
目の前の男の手に、携帯電話が握られている。紺の制服。
俺は顔を上げた。
工藤が、はにかむように笑って俺を見下ろしていた。
慌ただしくシャワーを浴びると、工藤はすぐさま求めてきた。熱を孕んだ瞳。
触れ合うだけで激しい鼓動が伝わってくる。俺も同じだ。体中の血管が膨張し、ぞわぞわと肌が粟立つ。
「あ…ま、て、工藤っ」
いきなり貫かれそうな勢いを感じて思わず体を返した。
「わ、悪い…黒羽。なんかもう、抑えられなくて」
息を弾ませ、工藤が心底申し訳なさそうに言う。軽く吹いた。
「逃げねーから、も少しゆっくり頼むぜ、名探偵」
「う、うん」
素直に頷く工藤がなんだかカワイくて笑う。寄り添って工藤の頬にキスすると、工藤はむず痒そうな顔をして『笑うなよ』と唇を尖らせた。
一番恥ずかしくて一番苦しいところを抜けてしまうと、気が遠くなるような疼きに襲われてわけが判らなくなった。
ぐんと奥を工藤が衝き上げる。熱い。痺れる。我慢しようとしても声が溢れてしまう。
「あ───ああっ!」
ゆっくり押し進めてきたかと思うと、次の瞬間弾むように小刻みに揺らされ、堪らなくなって工藤の首にしがみついた。
「く、どう…っ」
「黒羽…!」
工藤の吐息が肩に掛かる。工藤の指が俺の髪を梳く。互いに寄せるようにして唇を合わせた。
ああ…。
一つだ。いま、俺たちは一つになって互いを感じている。
それが嬉しくて、それが切なくて、哀しい。
長くこのままではいられない予感。
何かが起こる……そう遠くない、いつか。
その時、俺は工藤のそばにいられるだろうか────。
「で、なにかあった?」
俺の胸に頬を乗せたまま動かない工藤に訊くと、工藤はうーんと冴えない声を出した。
「ごめん…。せっかく二人でいんのに」
「そういやビルから出てきたとき、小難しい顔してたよな」
「えっ」
「もしかして俺のせいで予定すっとばした?」
「いや、そうじゃない」
まだはっきりしない工藤の様子に、さらに突っ込んでみる。
「んじゃあれだ、突然現れたイケメン探偵助手に彼女をさらわれそうだから?」
工藤がぎょっとしたように顔を持ち上げた。
「ビンゴかよ」
「黒羽…おまえ、なんで安室透のこと知ってんだ?」
「へえ? あいつ安室ってんだ」
「ちゃんと答えろ」
「前にも言ったろ。名探偵の周辺がなにかと不穏だからさ…名探偵にヘンな虫が付かないよう、警戒してんの」
「…ウソツケ」
また工藤がむず痒そうに目を細めて顔を朱くする。そういう俺も、自分で言っといて顔が熱くなっていた。
今は余計なことを考えるのはよそう。
工藤の温もりに寄り添い目を閉じると、自然と欠伸が漏れた。たゆたうようなキスを繰り返し、二人してうとうとと微睡む。
やがてひとときの至福の眠りへと、俺たちは静かに引き込まれていった。
20140610
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※タイトルいまいちピンときませんがこのまま行っちゃいます。いろいろ〝潜行中〟ということで…(汗)。
「闖入者」「潜行」、いずれも時期としては カテゴリ★インターセプト1の真ん中あたり(大雑把@@;) に挟まる内容でしたー。
●拍手御礼
「悪酔い」「閃光(改)」「闖入者」へ、拍手ありがとうござました!
[12回]