名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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激情
カテゴリ★インターセプト4
※復習とプロローグを兼ねて時間的に少々遡ります。シーンとしては20140816up「パッシングショット」のつづき(*_*;
※白馬くん視点にて
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三分の一ほど欠けた月は、流れる紫雲に遮られ、その輪郭を曖昧に滲ませている。

ともすれば雲に覆い隠されそうになる月を、僕は見失わないよう懸命に見つめていた。



工藤はどうしただろう。血相を変えて追ってくるかと思ったが、哀さんが宥めたからか、冷静さを取り戻したのか、現れる気配がない。
今夜のところは大人しく休む気になったのか…。

「あかんな。これやったら彗星が見られへんがな」

「服部くん」
 
叔父の研究所の屋上で頭を冷やしていると、いつの間にか横に立っていたのは服部平次だった。

「そうですね。雲がなければ肉眼で軌跡が見えてもよい頃ですが」

「信じたんかい、あの話」

「………」

僕が返答を躊躇っていると、服部は黒い瞳を瞠き、僕の目を見てもう一度言った。

「信じてやらんのかい」

「──そうではありません」


黒羽の母親は冷静だった。
消息の途絶えた息子について、推測ではあるが状況と知り得る情報を取り乱すことなく淡々と僕らに打ち明けた。
それは怪盗キッドの正体が黒羽であると認めるに等しい告白だった。

つまり、それほど事態は良くない。

息子を取り戻すためには、なりふり構ってなどいられないと───黒羽の母親はそう決意して僕らのもとを訪れたに違いない。


「黒羽っちゅうんは、自分(白馬)のクラスメートなんやろ」

「ええ」

「自分、とうに黒羽の正体に気付いとったんやろが」

「本人はあくまでシラを切っていましたがね」

「ほんなら黒羽と工藤はどういう関係やねん。工藤があんだけヨレヨレになっとるとは」

「彼らは…堅い絆で結ばれた、もともと一つだったと言っていいほど互いを必要としている──そういう間柄です」
 
「はあ。なんや抽象的やのう。絆ゆうて、探偵と怪盗やのに?」

「砕いて言うなら〝運命の相手〟とでも表現すべきでしょうか」

「それで砕いとるつもりかい。ようけいわからんがな」

服部は肩を揺すって笑ったが、すぐに真顔になった。

「それにしても〝不老不死〟とは話がかっとび過ぎとって現実感がともなわん。黒羽のオカンも肝心なトコはワカランゆうし」

「本当に解らないのでしょう。知っていることを隠し立てするような余裕があるのなら、僕らを訪ねたりはしない」

「東都タワーにヘリから飛び移ってきたんがホンマに黒羽なら、まだ生きとる可能性は十分あるわな。そやけどヤバい組織に寝返ってまで〝パンドラ〟を手に入れてどうするんやろな。手に入れたら最後、用済みで始末されるんがオチやのに」

「そんなことは絶対にさせない! 彼を捕まえるのは僕だ!!」

───ハッとして口を噤んだ。

思わず声を荒げてしまってから、僕は自分の激情に驚き、そして狼狽えた。
いったい何を言っているのだろう、僕は。たったいま工藤と黒羽の分かち難い絆の話をしたばかりだというのに…。

服部はしばらく僕の様子を窺っていたが、やがて息を付くと視線を移し夜空を仰いだ。
視線の先にあるのは黒い雲に隠れ、切れ切れにしか見えない朧月。

〝不老不死〟の伝説に奇跡を見出そうとする者たちは確かに存在するのだろう。だからこそ〝パンドラ〟と呼ばれるビッグジュエルを巡る争奪戦が、密かに繰り広げられてきたに違いない。

キッドは───おそらくは彼の父も───その醜い争いに決着をつけようとしていたのだ。


数分の沈黙のあと、服部が再び口を切った。

「黒羽の親父の古い写真、一緒に写っとったんは、ありゃ夫婦か、父娘かいな。ボレーっちゅう名前は出来過ぎやけど」

「〝生涯の恩人〟とは、ボレー氏のことなんでしょうか」

「さぁのう。推理するには時代も場所も散らばりすぎやし、ヒントも全然足らん。ただ適当に繋げただけでは推理とは言われへん」

「………」



『夫と恩人の間に何があって、どうして夫が〝パンドラ〟を追うことになったのか、私も知らないのです』

黒羽の母親は苦渋の表情を浮かべてそう言い、最後に深々と頭を下げた。

『息子まで〝パンドラ〟に奪われるわけにはいきません。どんな咎でも受けます。どんな事でもします。あの子を取り戻すために、どうか力を貸して下さい』───。




「〝ボレー彗星が近づく夜、命の石を満月に捧げよ〟やったか」

「〝さすれば命の石、涙をこぼさん〟」

「つまりや。すべてが本当に出揃い、決着が付くんは」

「伝説が叶うという〝満月の夜〟しかないという事ですね」

「忙しなるで。明日は朝から四の五の言わせんと工藤叩き起こして作戦会議や!」

「わかりました」

不敵に笑う服部の気迫に打たれながら、僕は頷いた。
屋上の柵にかけた手に力を込める。



あの発信機の電波を辿っても無駄かも知れない。こうしている間にも黒羽の身に何か起きているかもしれない……。
だが、逡巡している暇はない。タイムリミットは迫っている。賭けるしかないのだ。
どんなに手掛かりが少なくても、どんなに荒唐無稽でも、僕は君を取り戻すためなら何でもする。

必ず君を取り戻してみせる───。









・・ー・・・・・ー・・・・・ー・・


   

ボスとの直通電話を切り、私はシャワールームに入って裸になった。

これでオークションが日本開催に変更されるのは間違いない。T0KYOの地で満月を臨むその夜、〝パンドラ〟が…そして〝aptx4869〟の値がどれだけつり上がるか予想も出来ない。

愉しみだわ…。

是が非でも〝シルバーブレット〟にも参加してもらわなくては。

〝あの子〟と〝シルバーブレット〟。
よく似た二人の少年たちの顔を思い浮かべ、私はシャワーの栓を開けた。






20150630
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※うわわわわ~説明臭くてスミマセン(*_*;   最後のシーンは言わずもがなですがベルモット女史です(汗)。
このカテゴリ見直すと細かな反故が出てきて纏めるのに四苦八苦です。開き直って取りあえずupしましたが、こっそり前の話に手を加えたりも…お赦しを~(@@) ;;


★彌爲さま
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