名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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ウエストサイド・サンセット(新快前提 平次→快斗)

※2012.04.03~04『待ち伏せ』後日談。〝ウエストサイド〟まとめ的なショートです。
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俺の目の前で立ち止まった服部は、絵に描いたように〝苦虫を噛み潰したような顔〟をした。


一緒にいたポニーテールの女の子が俺を見て目をぱちぱちさせる。

『よぉ服部』と声をかけると、服部はますます渋い表情になった。思わずこっちが吹き出してしまいそうになるくらい。

「なんやァ、やっぱり平次の知り合いやん! ちょっと工藤くんか思たけど、工藤くんこないくりくりちゃうもんなァ!」

元気良すぎ。明るくていい子だ。だけど人の髪を指して〝くりくり〟はないだろ。

「先帰っとれ和葉」

服部が俺から眼を離さずに低く言う。

「なんでェ? どちらさんやろ? 紹介してえな。はじめまして! ウチはこのボケ平次の幼なじみで───」

「あほ!さっさと行けっちゅうんじゃ!!」


なんやのも~、あったまくるわ! 平次のどアホ! ベーッ、や!!

赤い顔してアッカンベをしながら女の子が走ってゆく。


「かわいそーじゃん。あんな言い方しなくたって」

「フツーや。心配せんでも慣れとる」

「…ふうん」

ちっ、と音を立てて舌打ちした服部が俺に向き直る。

「黒羽。何しに来よった」

「服部に会いに」

「ほう。俺に会うてどないする気や」

「どうも……会いにきただけ」

雑踏の中で服部と向かい合ったまま互いに黙り込む。

そう。どうするかまで考えられなかった。
しかし学校帰りに服部に待ち伏せされていた日の出来事以来、どうにも気が晴れず───来てしまったのだ。とうとう大阪まで。
行き過ぎる人波。肩を押されてふらついた。

「ここにおったら通りの邪魔や。来い」

服部に促されて、後をついて歩き出した。






放って寄越されたペットボトルを受け取り、少し離れて服部と同じベンチに腰を下ろした。

大通りから一本入った公園。陽が翳り始めていた。週末の夕刻。一時間もすれば日が暮れる。
俺は調べておいた服部の自宅にこっちに着いてすぐ電話をかけ、友人を装って服部の母親から服部の出先を教えてもらった。
今度は俺が服部を〝待ち伏せ〟してたんだ。


「自首する気ぃになったんか」

ペットボトルの水を半分まで一気飲みしたあと、おもむろにそう訊いてきた服部に、俺は視線を落としたまま首を振った。

「ほんなら今から俺がケーサツに突き出したる」

もう一度、首を振った。

どう思われようと───服部に対し自ら〝怪盗キッド〟と認めるわけには、やはりいかなかった。

「俺は違うよ」

短く否定した。横にいる服部の気配は変わらない。

再び二人とも黙り込んだ。
通りの方から車のクラクションの音が聞こえてくる。

「……ふん。証拠はない。ケーサツ行ったかて俺がバカ見るだけや。アホくさ」

「…………」

「この前は、俺もちぃとやり過ぎた」

「…………」

「腹立ち紛れに襲うて悪かった」

服部の声音は抑えた静かなものに変わっていた。
だが、ほっとすると言うより、むしろ胸が重くなった。嘘をついていることに変わりはない。

「あの日、あれから工藤に会うた」

「…工藤んちに泊まったんだろ」

「工藤のやつ、俺がおまえを襲うたこと勘付いとった」

「………」

「少しでもおまえを庇うようなこと言い出しよったら、工藤もぶっ飛ばしたるつもりやった」

俺は手元のペットボトルを見つめ服部の話を黙って聞いていた。

「けど、アイツはなんも言わんかった。カッカしとる俺をハナで笑いよった」

「…………」

「工藤にしてみれば、俺の苛立ちなんぞカワイイもんなのかもしれん」







陽が落ちると、服部は何も言わず俺を振り向きもせずに去っていった。

俺は一人ベンチに残り、ぬるくなったペットボトルの水を飲み干した。ボトルをぎゅっと握り潰し、ダストケースに投げ入れる。

次の〝シゴト〟が控えている。

東京に帰るために、俺も立ち上がり、歩き出した。









20120729

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〝ウエストサイド〟シリーズ、一応これで一区切りにするつもりです。『待ち伏せ』のあと、そのままなのがなんだか中途半端で気になっていたので…あまりまとまってもいませんが・・・(*_*;


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