名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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運命の白い女神(白馬×キッド)

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僕が追い詰めたのか。あるいは〝追い詰められた〟のだろうか。

シルクハットとモノクルでその表情の半分は判らない。


一対一で対峙した〝怪盗〟は、あくまで悠然とした佇まいを崩さず、口元には謎めいた微笑みすら浮かべて僕を見下ろしていた。


白い手袋に包んだ指先を両のポケットに差し、ゆったりと大きく風に舞わせた華麗なマント。
背後には赤い三日月が雲間に輝き、まるで映画の一場面のように〝怪盗〟の姿を幻想的に演出している。


───惑わされそうだ。


僕は唇を噛み、精一杯の〝意志〟を込めて怪盗を睨みあげた。

「降りて来たまえ、怪盗キッド! 君の正体は解っている。潔くそのモノクルを外してこの僕に素顔を見せるがいい!」

キッドが微かに口元を綻ばせたように見えた。僕はさらに言い募った。

「それとも、やはりその白い翼で逃げ出すつもりかい? 怖れをなして───この僕から」


キッドがこんな挑発に乗るとも思えなかったが、高層ビルの屋上ヘリポートに二人きりというかつてないシチュエーションが僕に尋常でない緊張と高揚をもたらしていた。そんな言葉でも吐かなければ、僕自身の矜持を保つことが出来なくなりそうなほど───幻惑されかけていたのだ。
これまで目にしていたニュースや資料の映像とは比ぶべくもなかった。

それほど、目の前に颯爽と立つキッドの姿は美しかった。


捕まえたい───。


怪盗キッドをこの手に。

捕らえて、その存在を確かなものとして感じたい。

僕はゆっくり歩を踏み出した。

悟られぬよう。
この欲求が探偵としての探求心から湧き起こるものなのか。あるいは〝憧憬〟とでも呼ぶべきキッドへの抑えられぬ想いがそうさせるのか。
その境界を…僕が見失いつつあることを。



「探偵と怪盗は相容れません」



怪盗が僕に向け発した声。凜としたその響きに陶然となる。拒絶の言葉にもかかわらず。

「もちろん、そうだとも」

「ですが……お望みなら」


望むなら…?


望むなら、どうだというのだ。



僕は竦んだように立ち止まった。あと数歩で……手を伸ばせばその白い衣に手が届くというのに。

果たして怪盗の正体は本当に僕が思う人物なのか。
根底から自信を失いそうになる。
これほどまでに僕の思考を狂わせる〝怪盗キッド〟とは、いったい何者なのだ。

君は───いったい〝誰〟なのだ…!


トン、と音を立てて怪盗が足下を蹴る。
ハッと見上げると、僕の真上を円を描くようにキッドが宙を舞っていた。

「キッド!!」

いくら高い位置にいたとはいえ、助走もつけずにこんなにも人が軽く跳ねられるものだろうか。
いや───誑(たぶら)かされるな。キッドはマジシャンだ。有り得ない動きにはきっと何か種がある。だとしても……。
スローモーションのように大きく一回転し、キッドは僕の背後に降り立った。

まるで体重を感じさせない身軽さでキッドがすっと立ち上がる。
 次の瞬間、キッドは茫然と振り返った僕の懐に飛び込んできていた。

光るモノクルを奪うチャンスだ。
だが、頭ではそう思っても息を呑むばかりで全く動けない。怪盗キッドが目の前で僕を見詰めているというのに。

モノクルで隠されてない方の瞳を懸命に探る。それが僕の知っている〝彼〟のものなら、近くで見詰めれば判るはずだ。

「白馬探偵」

「………」

「今宵は貴方の名推理に敬意を表してこのまま立ち去りましょう」

「……きみは」

「私は〝Kid the phantom thieh〟。怪盗キッド」

ぱん! という破裂音と共に閃光が迸る。
真っ白に炸裂する光に腕で目を覆う。

───キッドが逃げる。

「キッド、待てっ!!」



ふふ、と耳に届いた笑い声は、すでに僕から遠ざかりつつあった。

なんということだ。
この腕に抱き締められるほど間近にいたというのに、触れることすら叶わなかった。
怪盗キッドに翻弄され───惑わされた僕の未熟さが最大のチャンスを失わせたのだ。

「キッド!!」



白い翼はすでに下界へと飛び立った後だった。

僕はヘリポートの塀に手を着いて遠ざかる翼を見送るしかなかった……。



「白馬!」

背後から突然名を呼ばれて僕は飛び上がった。誰だ?!

「こんなとこにいたのかよ! 〝坊ちゃまの姿が見えません〟っつって、おまえんとこのばあちゃんが下でべそかいてるぜ。早く行ってやれよ!」

「……黒羽くん! なぜ…君がここに」

ばかな。
キッドはたったいま翼を広げて飛び去ったはずだ。キッドは…キッドの正体は〝彼〟ではないのか。

「俺もなんとかいう有名な宝石の展示初日セレモニーに来てたんだよ! べつに興味ねーけど、幼なじみに無理やり引っ張って来られたんだ」

「では、君もさっきの現場にいたのですか」

「さっきの現場? 知らねー。俺眠くなったからロビーに戻って寝てたんだ」

「………」

「早く戻れよな。ばあちゃんに心配かけんじゃねえぜ、お坊ちゃま!」

階下へ降りる扉を開けながら、黒羽快斗が僕を振り向きニッと笑った。

「───白馬、なんかポッケに刺さってるぜ」

「え?」

「んじゃな! また明日~」

黒羽快斗が階段を走り降りてゆく。

「黒羽くん!」




僕は震える指で自分の胸ポケットに差し込まれていたカードを掴み、覗き込んだ。
怪盗キッドのイラストアイコン。
文面は───


〝The White Fortune〟はお返しします。貴方の推理に敬意を表して。怪盗キッド



吹き抜ける風になぶられながら僕は立ち尽くした。恐る恐るさぐると、下のポケットには〝The White Fortune〟が入っていた。
今日の主役。運命の宝石と呼ばれる、美しく輝く〝運命の白い女神〟が。




怪盗キッド。

黒羽快斗。

落ち着いて少し考えれば分かることだった。

あの飛び去った白い翼はまやかしだ。ダミーに過ぎない。本当のキッドは僕が怯んだ隙にメッセージと宝石を僕のポケットにそれぞれ残し、閃光弾が炸裂する間に姿を変えた。

黒羽快斗に。

証拠はない。だが、絶対にそうだ。


悔しさに目が覚めた。

目の前にいたのに、なぜ捕まえられなかったのか。
僕を覗き込んだキッドの、どこか愉しげな……悪戯な瞳を思い出す。
やはり間違いない。彼なんだ。


怪盗キッド……。
僕を手玉に取った気でいるかもしれないが、次はこうはいかない。

君を必ず捕まえる。

僕の手のひらで輝く、この〝運命の白い女神〟に誓って。








20120727

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あとがき(反省)
お粗末様です(汗)。例によって書きたいシーンのみ書き逃げです。
そういやマトモ?な白Kって書いてないな~と思ってチャレンジしてみたんですが……展開に迷ったあげくテンポがイマイチな感じになってしまいました~(*_*;


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