名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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Design by:タイムカプセル
 

Start Over 《1/3》
カテゴリ★ファーストステージ
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「博士、発明品の収入関係、まるごと鈴木財閥に一任したんですって? 勝手に運用されて、余計な管理費取られちゃうじゃない。もったいない!」

「ああ…あ〜、哀くん。そのことなんじゃがのう」




どうして私に相談してくれなかったんだろう。私が反対するとわかっていたからだろうか。
不機嫌顔を作って見あげると、博士は頭をかきながら困ったようにはにかんだ。

「なぁに? もじもじしちゃって気持ちわるい」

「辛辣じゃのう、相変わらず哀くんは…(汗)。まあ、不相応に金がありすぎても逆に困るしのう。ワシもいい歳じゃし、自分の発明を楽しむ分には不自由しとらんし」

「不相応なわけないでしょ! 対価としての正当な収入はきちんと受け取るべきよ。それに、私の研究費だって…」

むきになって言いつのりかけ、我に返ってハッとする。

博士への恩返しなんて理由をつけながら、結局私は自分の研究のためにお金が必要なだけ。
博士が儲かれば、研究費をもっと捻出してもらえると考えて───。

「哀くん?」

「…ごめんなさい、ちょっと頭冷してくるわ。博士の収入だものね、博士が思う通りに使ってなんの問題も無いのよ。ホントにごめんなさい」

情けなさに声が詰まる。博士に背を向け部屋を出ようとすると、温かな手に肩を掴まれた。

「哀くん、待ってくれ。あの、その…聞いてほしい話があるんじゃが…」








・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・






明日から新学期。オレ=工藤新一も、いよいよ高校3年生だ。

アメリカに旅立った(ことになっている)江戸川コナンとの “別れ” をしみじみ惜しむ間なんて正直なかった。
オレは勉強の遅れを取りもどすために自室にこもり、必死に課題をこなし続けていた(補講を受けなきゃならない科目もまだあるが)。

いや、必死になることで “コナンを失った” 寂しさや、他者との関わり、その繕いの煩わしさから逃げていたんだ。

ずっと喉元につっかかったままの、この想いからも…。

「あ〜クソッ!!! なんで来ねえんだ、アイツは!!」

バァン、と両手でデスクを叩いたら、シャープペンが勢いで転がり落ちた。
拾い上げる手が、じんじんと痺れている。


快斗。


もとのオレにもどったら、すぐに会えると思っていたのに。

あれきり、会ってない。
ぶつけてやりたい文句があり過ぎるほどあるっていうのに。

終業式のあの日、江戸川コナン最後の一日に、オレは怪盗キッドと灰原の “駒” になって翻弄された。蘭や少年探偵団たちと最後の別れも、慌ただしく博士の車の中から手を振るだけになっちまったんだ(慌ただしくて、むしろ良かったのかもしれないが)。

「……!」

ドキリとして振り返る。

強い風が窓にぶつかり、ガタガタと音を立て震えていた。

「クッソ…!!」

何度こんなふうに振り返ったか。
いつ来るんだ、なんで来ないんだと訝り憤りながら。

大きく息を吐いて椅子に座り直して目を閉じる。
遠くから子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてくる…。
なんだか懐かしい。
切ない気持ちがこみ上げる。

「……コナンとして過ごした一年間は、あり得ない経験の連続だったけど…」

楽しかったな。

苦しいことも多かったけど、楽しかった。

窓がまた風で震える。カタカタと、オレの心を叩き、急かすように。

オレは心を決めた。

 
 
 
 
 
・   ・   ・   ・   ・   ・   ・   ・   
 
 
 
 
強い風に背を押され、俺=黒羽快斗は自然と早足になっていた。
 
工藤の顔が頭にチラつく。
 
怒ってんだろうな。
 
会いに行きたいけど、会うのが怖い。
なんでかわかんねーけど、工藤に戻った工藤にすごく会いたいのに、怖いんだ。
 
怪盗を封印するためにあれこれ片付けたり、それを言い訳にもたもたしてるうちに数日が過ぎ、そしたらもっと動けなくなって───とうとう春休みが終わる。
 
工藤が工藤に戻ったら、すぐ駆けつけるつもりでいたのに…。
 
俺ってば何やってんだろ。
 
明日こそ。
明日、3年に進級したら。
そしたらその足で工藤んちに行こう。
 
多分一発くらいぶん殴られそうな気もするけど、そしたらこっちも殴ってやればいい。
殴って…抱きついて。
心の中で今度こそ本当にコナンくんに別れを告げ、そして工藤に戻れた工藤を祝福するんだ。
 
…その後が、また怖いんだけど。
 
でも、行かなきゃ。
工藤に会いに行かなきゃ、終わらないし始まらない。
 
ガンバレ俺。頑張れ黒羽快斗。
 
すべてのベールを剥がし、今度こそ一対一の、俺たち二人の日々を始めるんだ。
 
今度こそ。
 
 
 
 
 
 
つづく
─────────────────
 
 
 
※また間隔が空いてしまい、間延びしまくりですみません…。いつもupしたあとは続けてどんどん書こう、と思うのですが、日々の生活に流されしまっております(-_-;)。
でもこのカテゴリ完結までもう一息なので、なんとか近日続きをup出来るよう頑張ります。
 
 
 
●拍手御礼
「月光という名の真実」「拉致」「二人/新一と快斗」「白昼夢」「白日の恋」「紅の霆」「白Kですが…」「お別れのストーリーボード」
ありがとうございました!

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