名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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《満月―怪盗キッド―》(2/2)
新一×キッド
――――――――――――――

怪盗キッドが飛行中に上空で〝爆発〟し姿を消した場所。

いくらなんでもその周辺ということはない。すぐに警察が付近一帯をしらみつぶしに捜索し始めるだろう。

ではどこに?

俺の推測では―― 派手な爆発に周囲の視線を集めておいて、キッドはあのまま飛行を続けてる。何らかの方法で白い翼と衣装を闇に溶け込ませて。

当初の逃走経路の予測どおり。

俺はさっきまでキッドの犯行を見守っていた場所からさらに数百メートル離れた人気(ひとけ)のない小高い丘にあるビルの屋上に移動してキッドが現れるのを待ち構えた。

空には満月。奴は遮る物のない場所で必ず獲物を月にかざして確かめる。その煌めきの中心に浮かび上がる何かがあるかどうかを。

奴は現れるか。それとも〝外れ〟か。
あるいはとうに目的を済ませ、完全に立ち去ってしまったのか…。



かちり、と背中で音がした。

何の気配も感じなかった。

しかしいつの間にか、背後をとられていた――怪盗キッドに。


「名探偵。月下に立ち入るべからず、とメッセージをお送りしたはずですが」

「…キッド」

「動かないで、そのまま前を向いていて下さい。トランプ銃を侮らないように。当たりどころによっては大怪我をしますよ」

「快斗!」

俺はたまらずに名を呼んだ。すぐそばに…俺のすぐ背後に、おまえがいるのに――。

しかしキッドの気配は変わらず、突きつけられたトランプ銃の銃口が俺の背から後頭部へ移動する。

「…その名は以後決して口にされませんよう。万一誰かに聞かれては困ります」

「……」

確かに、不穏な動きを見せている例の〝敵〟に正体を知られるような事になれば、キッドに平穏な時はなくなる。

「……わかった」

「ではこれを預けますので、警部にお返し下さい」

後ろから、俺の上着のポケットに何かが落とされる。盗み出したジュエルか。幸か不幸か、今日の獲物もキッドが探しているものではなかったらしい。

「これを返していだだこうと思って、実はここで待っていました。名探偵なら私の動きを読んでくれると思ったので」

「キッド――」

「では失礼、名探偵。ご機嫌よう」

「待て、キッド! 行くな!!」

俺は背後の気配が動き出すのを感じて振り向いた。

キッドはトランプ銃を右手に持ち、左手を振り上げていた。その細い左手首を俺は掴んだ。

一瞬、互いの動きが止まる。

背後にいたのは怪盗キッドではなく、白装束を解いた――黒い服に身を包んだ、黒羽快斗だった。

両手とも薄手の黒い革手袋をしている。俺が手首を掴んだ左手を、快斗が握り締めた。

快斗の瞳に迷いが走るのが判った。

考える前に、引き寄せて口付けていた。
快斗が逃れようともがく。

「――よせ工藤っ、俺はもう…」

左手が開かれ、何かがこぼれ落ちる。
輝く閃光が網膜を焼いた。

「行くなっ、行くな――キッド!!」

俺は叫んだ。

何時の間にか俺の手から掴んでいたはずの快斗の手首の感触は消え、虚しく空を探しても何も触れる物はなかった。

痛む目がようやく辺りを見渡せるようになる頃には周囲はしんと静まり返って―― 遠く響いていたパトカーのサイレンさえもなくなり、俺は独りで……独りぼっちでほんの一時腕に抱いた快斗を思って目を押さえた。

寂しかった。

自分の思わぬ弱さに戸惑いながら、失ったものの大きさに体を震わせた。
夜が明けるまで――満月が朝焼けに薄れゆくまで、俺はそこから動くことが出来ずただ風に吹かれていた。





20111010

―――――――


あとがき

《満月1/2》の最後に書いたとおり、
「迷信」「拷問」「痣」「呵責」とこの「満月」で……一応、いったん一区切りにしようかなと思います。
全然元通りになりませんが(泣)。

とか言いながら続けちゃうかも…。
続いちゃったらスミマセン(. .);



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