名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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《満月―怪盗キッド―》(1/2)
新一×キッド

―――――――――――――

警察の無線を傍受しながら、俺は少し離れた場所でキッドを待っていた。
よく知る刑事たちに頼めば警察のヘリに同乗することも出来たが、それはしなかった。

午前0時が近づくと自然と肌が粟立った。奴が来る。

風が一陣吹き抜けた。

――深夜。雲一つない満月。

蒼白く輝く月明かりの中を、怪盗キッドが翔け抜ける。

厳重な美術館の警備も警察の包囲網をも物ともせず、忽然と姿を現して現場を撹乱し鮮やかに予告を果たす。


ふわり、と屋上にキッドが姿を見せると周囲の興奮が双眼鏡越しに俺にも伝わってきた。

機動隊の猛者どもの上を軽く飛び越え白い指先を弾くと、美術館の屋上には眩しいイリュージョンが炸裂した。
その中央に――いくつもの警察のサーチライトが照らし出す中に、ゆったりと片手を回しマントを翻して礼をするキッドがいる。

公にはされていないはずの今回の犯行予告だったが、どこから漏れたのか深夜にもかかわらず百人以上のギャラリーが集まり、美術館前の広場に歓声と拍手が巻き起こっている。
キッドを捕らえようと待ち構える警官達ですら――感嘆の声をあげていた。

美しく白く閃く姿に、俺は焦燥を覚えて立ち尽くしていた。

手袋で覆われた左手を注視するが、双眼鏡越しに見る限りでは不自然さはない。あくまで優雅な佇まいの怪盗は、長居は無用と屋上の一番高いところから身を空に投げ出した。

歓声が絶叫のように響く。

白い翼が開かれて、怪盗が俺の待つ方向へ旋回する。
待機していた警察のヘリが爆音を響かせて集まってくる。

―― その時、赤いレーザーの照準がキッドの白い姿に複数集まるのを見た。
俺は――あっ、と声に出して叫んだ。危ない、避けろと思わず体を乗り出して叫んでいた。

しかしキッドは赤い光が我が身に届くと同時に微かに微笑んだ。

次の瞬間。

空中を滑空していた怪盗キッドは爆発した。
悲鳴と歓声が沸く。警察の無線も混乱を極めた。

後には煙幕ときらめくテープと銀の紙吹雪が舞って――― その爆発がキッドの演出であることを知らせていた。

キッドが消えた。

空中から見事に姿を消した。

観衆も、警官達も、そしてキッドを影から狙っていた者たちも、俺も、全てが見事にしてやられた。
怪盗キッドに。

心臓が高鳴っていた。

俺の心配は完全な杞憂だった……!

これまでの奴の犯行(ショー)の中でも、最高に見事な、最高に華麗なものだった。


俺は――本当に見ているだけだった。

はっきりと敗北感を味わいながら、それでも自分の推理を信じてキッドが身を隠したと思われる場所へ向かって、俺は走り出した。



つづく
―――――――


「迷信」
「拷問1~5」
「痣1~2」
「呵責1~2」
と続いた流れの締めくくりになります……。《俺》はもちろん工藤です。

次の「満月2」で一区切りにする予定です。終わるかな?

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