名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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絆(新一×快斗)
カテゴリ★交錯5《after days》

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〝うわぁっ! 〟と叫び声がして跳ね起きた。


心臓がどくどく音をたてて激しく体を震わせる。

なんてことはない、自分の上げた声だった。
顔を両手で覆って呼吸を整える。

情け無い。
みっともねー。
工藤と一緒の時でなくて良かった。
目から溢れる涙を堪えるのも面倒だ。

恐ろしくて涙が出るんじゃない。
安堵の涙だ。自分に言い聞かせる。なんとか自分を落ち着かせようとする。
大丈夫だ、ここは俺の部屋。他に誰もいない。俺は立ち直ったんだ。……そのはずだ。

それなのに。
今も何かの拍子に甦る悪夢。体を襲う苦痛の記憶。とっくに通り過ぎたのに。元通り毎日を過ごし、元通り工藤との絆も取り戻したのに。
なのに、どうして。

目に浮かぶ。思い出したくないのに思い出す。
今もどこかに俺を襲った男たちがいる。いつまたどこかで顔を合わさないとは限らない。素顔を知られているのだ。
この、左手も――。

左手の甲から血が滲んでいた。いつの間にか右手の指先できつく爪を立ててしまっていた。
…歪んだ疵痕を消すことなど、出来やしないのに。











・・・・・・・・・・・・・・・・・・


微かな気配がした。

深夜2時。この風音のせいだろうか。なぜだか予感がしていた。
起き上がり、窓を開け放つ。
少し待った。

ほとんど音を立てずに……黒い影がベランダに現れる。

黒衣の――。

「快斗」

小さく身じろいだ影は躊躇うように揺らぎながら立ち上がった。

手を広げるとそれが合図だったかのように――弾かれたように快斗が飛び込んできた。俺にぶつかるように。

俺に抱きついて、パジャマの背中をぎゅうと握り締める快斗の指の力を感じる。
快斗がつぶやく。

「……なんで、起きてんだよ」

「さあ。なんでかな」

「少しだけ……寝顔見てやろうと思って、寄ったんだ」

「そーかよ。残念だったな、寝てなくて」

顔を上げた快斗の前髪をくしゃくしゃとかき混ぜた。
快斗がクスリと笑う。その瞳の奥に潜む影が少し薄らいだ。

窓を開け放したままで抱き締めた。
緩くカーテンを舞わせる風に吹かれて。


やがて二人並んで眠りについた。
互いの吐息を子守歌に。

繋いだ快斗の左手を、放さないよう。








20120610




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