名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

ブログ内検索
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 13
15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
ronin
性別:
女性
自己紹介:
2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

面影
カテゴリ★空耳

――――――――――――――――――

「いまなんてったの?! 高木君」

「は、いや、佐藤さんってば、声でかい…」

「声がでかくて悪かったわね。 ちょっとコッチにいらっしゃい!」

「イタタッ、耳ひっぱんないで下さいよ~!」


だから困っちゃうんだこの人。
先輩たちが睨んでるからそうっと話しかけてんのに。

(…わっ!)

先を歩いていた佐藤さんが急に振り向いて顔を近づけてくる。いちいち心臓にワルイ。

「工藤くんが二人いたって?!」

「あ…はい、そうなんですよ。 ビックリしてブレーキ踏んで追突されそうになりました」

『バカね! 同じ人間が二人いる訳ないでしょ。他人のそら似よ。よく似た別人に決まってるじゃない』と、アタマの一発もはたかれる。
――だろうと思っていたのだが、なぜだかそうはならなかった。

「で?」

「は……。で、って?」

「話の続き! さっさとしなさい」

「え、え? あ、あのですね」


僕は昨日、夜勤明けのまま夕方まで調書の作成やら出場っていった先輩刑事たちの留守番をしていて帰れずにいた。短い仮眠をとっただけだったのでフラフラで、ようやくお役御免の了承を得て帰宅の途に着く頃にはすでに日暮れ時になっていた。

眠かったけど帰宅ついでに参考人を送るよう頼まれて車の運転をした。明日その車で出勤していいという餌に釣られて。
眠くてシニソーだったけど、そこは刑事として警察に協力してくれてる市民にだらしないところを見せるわけにいかないから、目の下にメンタム塗って頑張った。

そしたら。
見かけたんだ。工藤君が誰か友達と二人で歩いているところを。

ああ工藤君だ……なんでこんなとこ歩いてんのかな、と思って通り過ぎる瞬間、その人物の隣にもう一人工藤君がいるのを見つけた。
んなバカな。思わずブレーキを踏んだが信号は青で盛大にクラクションの嵐が巻き起こって停まるに停まれずオタオタしてる間に〝二人の工藤君〟を見失い、その場からも離れてしまった。


「それから」

「いや、それだけです。眠かったからなー。アレすかね、なんだっけ、ドッペルガンガー」

「ドッペルゲンガー。それは自分がもう一人現れることでしょ。他には?!」

「や…他に…って?」

「服装は」

「ああ、最初に工藤君だ、って思った方は黒っぽい詰め襟で…学ランぽかったかな……はっきりしないけど。その奥にいた方はブレザーでしたね。うーん、てことは詰め襟着てた方は別人か。似て見えたけど」

「……そっか。学ラン着てたの」

佐藤さんが小さくつぶやいた。やっぱり――と。

「え? なんですか。やっぱりって」

「言ってないわよ」

「いま言ったでしょ」

「言ってないわよ。まだ寝呆けてんじゃないの。この話、私以外誰かに話した?」

「いやぁ。アホみたいっすから、他には誰にも」

「そう。それじゃ今後も誰にも言うんじゃないわよ」

「へ?」

「返事は!」

「はいっ、わかりました! …なんでです?」

「私だけの秘密だから」

「はぁ?」

「もうこの話はおしまい。寝呆けて見間違えただけよ。疲れてたのね」

「佐藤さん、なんか思い当たることでも」

「ないわよ。報告ありがと。お疲れ!」

「あ、ちょっと佐藤さん?!」

行っちゃった。

なんだろ。
いつものことだけど佐藤さん自己完結でさっぱりわからない。

佐藤さんが扱った事件で高校生が関わってた事件ってあったっけなぁ、とぼんやり考えた。
怒られると思ったけど、ひとつ覚えていた事件があったんでこっそりデータを覗いてみた。

そして、ある犯罪グループを現行犯で逮捕した時のことを……僕も思い出した。

僕は逮捕時には立ち会ったけど、その後の調書作成は佐藤さんがしてくれたので被害者と対面で話すこともなかったから忘れてたけど、もしかしたら…この少年。

〝江古田高校二年生 黒羽快斗〟

データには被害者の写真はなく、確かめる事はできなかったけど、でもなんとなく面影を思い出した。この件を通報してきた工藤君のことも。そして頭の中で結びついた。想像でしかないけど……工藤君と、この少年。そして二人を知る佐藤さんが。

だからどうという事はないんだけど。
佐藤さんが『この話はおしまい』『私だけの秘密』と言うなら、僕が勘ぐることなど何もない。

ただなんとなく――不思議と理解したんだ。佐藤さんが、工藤君とこの少年に、どこかで惹かれてるってことが。

この話は、だからやっぱりもうおしまいなんだ。佐藤さんがおしまいと言うなら。僕にとっても、おしまいにすべきことなんだ。

そうっとしておくべき、ことなんだ。






20120502

――――――――――――――――――


あとがき&補足

このブログ初期の 2011.08.26up『空耳』と、その後日談 2011.09.15up『残像』と繋がっているお話でした。

『空耳』はブログ立ち上げ前に、キッド様にノックアウトされて間もなく書いたお話で、いま読むと手直ししたい部分もありますが時間もたってるし、開き直ってそのままにしてあります。
『残像』は最初にpixivにupしたもので、ブログ立ち上げ後アクセスが少なくて寂しくなりふと思い立って投稿してみたのでした。その日にパッとブログのアクセスが増え、おお! と思った記念(?)のお話です(^^;)。これはこれで完結してたので、続きはないつもりでずっといたのですが、ぼちぼち高木刑事を出してみようかな~と思った時に思いついたのが今回の内容だったので……。という言い訳&補足説明でした。ついでにカテゴリ『★空耳』も追加してみちゃいましたー(*_*;





拍手[9回]