名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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生け贄《1/4》(XX→白馬×キッド)
※白×快カテゴリ「陰夢」「呪縛」続編。
※テレビアニメ版スパイダーを絡めたパラレルです。
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専用ジェットのリクライニングシートで寛ぎ、私は赤く濁る血のようなワインを愉しんでいた。

これから始まる新たな狩りの前の、至福の時間だ。

前回目的を達することなく引き上げたのは、容易すく片付けてしまうのが少々惜しかったからに過ぎない。
怪盗キッド。なかなか興味深い獲物ではある。

グラスを揺らし、広がる芳醇な香りに目を細めた。

それにしても……気に入らないのは、あの小賢しい探偵。
イギリス、フランス、そして日本へも私を追って現れるとは。

そうだ…。
今度も私の邪魔をしようものなら、まずあの探偵から先に殺してしまおう。
私の前に跪かせ、これまでの非礼を詫びさせて。
たっぷりと後悔をさせながら……。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



〝予告状を出すのはやめたまえ〟

〝自分からスパイダーに殺してくれと言っているようなものだ〟

何度シカトしても、しつこく喰い下がってきた白馬の顔を思い出す。

〝快斗らしくないよ〟

今度は怒った青子の声。

〝いまの快斗は、青子が好きな快斗じゃないよ〟

〝快斗はどんな人とでもいつの間にか友達になってさ……小学校の時も中学校の時も、快斗のクラスがまとまってたの、快斗がいたからなんだよ〟

〝なのに白馬くんに対してだけ、なんだかひどくない?〟

〝白馬くんが近付いてくると、むすっとしてどっかに行っちゃうし。バスケで負けたのがそんなに悔しいの?〟

そんなんじゃねえよ。

〝さっきだって廊下で白馬くんに声かけられたのに、走って逃げたじゃない〟

逃げてねえ。

〝うそ。じゃあどうして白馬くんに冷たいの。白馬くんがかわいそうだよ〟

〝快斗がそんな人間だったなんて、青子ガッカリ。快斗のことキライになっちゃうからねっ〟

んだよ…、ちょっとカッコいいからって白馬の肩もちやがって。

言い終わる前にパシン、と音がした。
頬がヒリヒリ痺れて。青子の細い指先ではたかれた事に気付く。

〝快斗のバカッ、私はねえ… !〟


「…………」

左頬をさすった。まだヒリヒリする。
もう二日も経っているのに。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「白馬の坊ちゃん、ここは我々に任せてもらえんかね」

「わかりました。では僕は向こうで待機しています。ですが警部、今夜の相手はキッドだけでは……」

「〝スパイダー〟か? わかってるよ。本当にそんなヤツがいるなら、キッドと一緒にまとめてとっ捕まえてやるさ」

ハハハと渇いた笑い声を残し、中森警部は僕に背を向けた。

スパイダーに対する注意を警部に伝えておいたが、どこまで本気にしているかは判らない。前回スパイダーが現れた時の事を警部達ははっきり覚えていないようだった。
しかし来日中のギュンター・フォン・ゴールドバーグ二世─────殺し屋スパイダーは、間違いなく現れる。ターゲットの怪盗キッドを消すために。

未成年という僕の立場の弱さを思い知る。僕のような〝探偵〟を警部が鬱陶しく思う気持ちも分かる。
こんな時、僕は自分が警視総監の息子であるという事実にさらに苛立つ。日本の現場では、お坊ちゃん扱いから抜け出すことが出来ないからだ。

早く独立して、誰からも認められる真の探偵になりたい。
だが、それにはまだ少なくとも数年かかるだろう。未成年のうちは子供扱いされるのも致し方ない…。

懐中時計を取り出して時刻を確認した。
怪盗キッドの予告時間まであと15分。
HYDEシティホテル特別展示室の緊張感は一段と高まっている。

今回のキッドの獲物は、巨大エメラルドを中心に贅沢な装飾を施した東欧王家秘蔵の首飾りだ。歴史的価値も高い。
キッドは警察の厳重な包囲網とスパイダーが待ち受ける二重の罠の中に、どうやって入り込むつもりなのだろうか。


それにしても……
まさか、怪盗キッドがクラスメートの黒羽快斗だったとは。
頑なな黒羽の瞳を思い浮かべると、僕は灼けるような焦燥に囚われてしまう。

キッドと黒羽は雰囲気も態度も180度違うが、それでも二人が同一人物である事は間違いない。どんな証拠より、この僕が解っている。

結局、彼を止めることは出来なかった。

スパイダーにキッドを殺させるわけにはいかない。
なんとしてもスパイダーを捕え、ヤツが誰の依頼で動いているのかを確かめなければ。

「………?」

ガタガタと展示室の方から音がする。咄嗟に時計を見ると、キッドの予告までまだ12分51秒ある。何事だ?


─────おまえたち、何をする!


中森警部の声だった。
僕はバックヤードから展示室に飛び出した。
はっと息を呑む。
先ほどまでの整然とした光景が一変していた。
照明が瞬く中で、警官や刑事達が中森警部に襲いかかっている!

「警部っ!?」

「来るなっ、こいつら急におかしく────!」

僕に注意を向けた中森警部が警棒で頭を殴られ、床に崩れ落ちた。

戦慄が走る。スパイダーだ! 警官達はスパイダーに操られている!!
僕は万一を考え用意しておいた偏光グラスを取り出した。スパイダーのまやかしを遮る事が出来るかどうか分からないが。

しかし、キッドより先にスパイダーが現れるとは……いったいなぜ?!

考える時間はなかった。
中森警部を襲った警官達がいっせいに向きを変え、今度は僕に襲いかかってきたのだ。
二十数人もいる警官達に、僕はあっという間に取り囲まれた。

状況は最悪だった。





生け贄《2/4》へつづく

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※ダークサイド気味に展開しますが、R18?にはならない予定です…(*_*;

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