名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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生け贄《2/4》(XX→白馬×キッド)
※テレビアニメ版スパイダーを絡めたパラレルです。
※展開ダーク・描写スプラッタです。閲覧ご注意下さい(@@)!!
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中森警部を襲った警官達がいっせいに向きを変え、今度は僕に襲いかかってきたのだ。

二十数人もいる警官達に、僕はあっという間に取り囲まれた。

─────白馬探よ。懲りもせず私の邪魔をしに来たのか…? ククク…。

スパイダーの嘲笑が僕の鼓膜を震わせた。

「卑怯だぞ、スパイダー! 自分の手は汚さずに警官達を操るとは」

パチン、と指を鳴らす音。スパイダーは近くにいる。

手前の警官が飛びかかってくるのを避け、腕をとって投げ飛ばした。投げた警官にぶつかって二・三人が倒れ込む。
しかし、そんなものは多勢相手に抵抗にもならなかった。

まるでゾンビのように虚ろな眼をした警官達に揉みくちゃにされ、数秒後には僕は床の上に引き倒されていた。
かけていた偏光グラスも奪われ、大の字に四肢を抑えつけられてしまう。

「くっ…。スパイダー、どこだ!!」

周りを取り囲む警官達が左右に場を空ける。その奥から、三つの赤く光る目玉が覗いているのが分かった。
僕は顔を背け、目を閉じた。

「ふふ。いい格好だな、白馬探」

「スパイダー……!」

「どうした……目を開けて、己の無様な姿をよく見るがよかろう」

「警官達の呪縛を今すぐ解け!」

「愚かなことよ…。私は人が隠し持つ闇を操っているだけ。隙だらけなのさ、人の心というものは」

「悪魔め…!」

「最大の賛辞と受け取ろう。さあ…おまえが本当に私と対等に戦うつもりでいるなら、目を開けて私を見るがよい」

「…………」

「喜ぶがいい。怪盗キッドを八つ裂きにする前に、おまえから手にかけてやろうと言っているのだ」

「なに…っ」

伸ばされたスパイダーの指が、僕の顎を捕らえる。

「私の作り出す幻に惑わされない強い意志がおまえにあるというなら、それを証明して見せよ。出来なければ…」

唇を歪めて哄うスパイダーの気配。

「…おまえは悪夢に犯され、なす術なく敵である私に救いを求め泣き叫びながら死んでゆくのだ…。白馬探よ、さあ─────!!」











闇の中だった。


気が付くと、僕の両手両足を捕らえているのは真っ黒く眼窩の落ち窪んだ亡者の群れだった。

おぞましさに僕は叫び声を上げ続けた。

亡者の腐った手が伸び、僕のシャツを引き裂いた。褐色の骨が覗く溶けかけた指が、ざわざわと肌の上を這い回る。
覚えたことのない根幹的な恐怖に、全身が戦慄く。

逃れたくても、亡者達に絡み付かれた手足を外すことが出来ない。

正面にいる亡者が暗い口蓋を開け、僕に向かって声なく哄った。
その手が、ずぶりと僕の胸に喰い込んだ。

僕は絶叫した。

手首まで深々と差し込まれた亡者の手が僕の胸を抉り、体の中を弄(まさぐ)っている。

……ずるり。何かが胸から引き擦り出された。
亡者が血にまみれた指で掴んでいるもの。それは…

どくん、どくんと脈打つ…僕の心臓だった……!

見下ろすと、僕の胸には亡者達の眼窩と同じような真っ黒い大きな穴が空いていた。



うわあああ!!!









僕は…気が狂ったのだろうか?


僕は…死んでしまったのだろうか?


それとも。


これはスパイダーの、悪夢の中なのだろうか…?

僕は必死に祈った。

悪夢であって欲しいと。そうであるなら。

そうであるなら……助けを求めれば、僕は救われるのだろうか?

スパイダーの名を呼べば。

助けてくれと叫んで…スパイダーにひれ伏せば。

この悪夢は消え去るのだろうか……?!


亡者が、目の前で僕の心臓を喰らい始める。

赤く滴る僕の血を、亡者が啜る音がする。

ずるずる。ずるずると…。


よせっ…、やめろ…!!


やめろぉーーーーーーっ!!!!










すうっと風が行き過ぎた。

闇の中にぼんやりと浮かぶ……白い幻。

亡者にまとわりつかれ、胸にぽっかり穴の空いた僕に向かって、白い姿の〝彼〟は真っ直ぐに腕を伸ばした。

銀に光る銃が、その手に握られている。

僕を射抜こうと─────狙いを定めている。


僕は声も出なかった。

白い幻……〝怪盗キッド〟は、醒めた目をして僕を見下ろしていた。




生け贄《3/4》へつづく

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