名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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金色の絲《4/4》(スパイダー/白K)
カテゴリ☆呪縛
※2013.7.21 再アップ
───────────────────────────────

ボンと音が響き、煙幕がステージに立ち込める。怪盗キッドだ!

僕はスパイダーが視界を失っている間にステージへ飛び乗った。


「ほう…まだ立ち向かう気か、怪盗キッド。我が腕の中で震えていた従順な獲物よ」

煙の中から姿を現したキッドは嘲笑するスパイダーの言葉を黙って受け止め、一歩二歩と歩み寄ってくる。ポーカーフェイスに乱れは見えない。

「私の悪夢に求める者の姿を見出していたのだろう? 待っていれば続きを施してやるぞ」

低く哄うスパイダーの言葉に穏やかではいられない自分を意識しながら、僕はスパイダーの左後方へ回り込んだ。
スパイダーの注意はキッドに向けられている。僕の存在を忘れているわけではないだろうが、とるに足らぬ相手と高を括っているのだろう。

スパイダーが動いた。懐から取り出した金色の絲を指揮棒のように颯爽と振るう。
絲の束は鋭い鞭となってステージを這い、キッドの足元へ生き物のように突進した。
キッドがトランプ銃を放つ。射出されたワイヤーが巨大な蜘蛛のセットに巻き付き、キッドはギリギリで鞭を交わして飛び上がった。

「足掻くな、キッド。私の毒に冒された体で何が出来る」

「スパイダー!!」

僕は大声で叫んだ。キッドを追って再び鞭を振るおうとするスパイダーに、手にしたボールを力いっぱい投げつける。

バン!

腕でボールを弾いたスパイダーがその重さによろめいた。僕を見るスパイダーの形相が鬼に変わる。

「死ね!」

スパイダーがなぐように左手を横に払った。細かな煌めきが音もなく僕に迫る。
咄嗟に伏せた。毒針が僕の頭の上を掠めて通り過ぎる。
第二波を放たれる前に転がりながら跳ね起き、僕はボールを拾って再びスパイダーに向かい叩きつけた。

「愚か者め」

スパイダーが軽く跳ぶ。
どんな仕掛けか、スパイダーの体はあっという間に数メートルの高さまで浮き上がった。

「!!」

ハッと気付いた時には僕の目の前に金色の鞭が迫っていた。
避けきれず衝撃に弾き飛ばされ、僕はステージの袖まで転がった。

〝私はこちらです、スパイダー!!〟

怪盗キッドの声がステージに響き渡る。


(…ううっ)

僕は呻いて懸命に体を起こそうとした。どこを打たれたのか、頭も体もじいんと痺れて判らない。

「………」

ステージ下にボールが落ちているのが見える。
暗がりに身を潜ませ、僕は客席に滑り降りた。そっとボールに手を伸ばす。

ステージを見上げた。
スパイダーと向かい合うキッドの姿も浮かんでいるかのようだ。
対峙する二人を見守る観客は、僕一人だった。




「怪盗キッドよ、ここは私のステージだ。おまえが望めばいくらでも夢を見せてやることが出来る。次はどんな夢が望みだ?」

「哀れな方だ…あなたは。スパイダー」

「なに?」

「人を〝夢〟へ誘うと詠いながら、現実から逃れているのはあなた自身なのでしょう」

「何を言っている。私だけが現実を知っている。〝悪夢〟こそが隠れた人の姿を炙り出すのだ。本人さえ気付いてない、愚かな真の姿をな」

「あなた自身はどうなのです? スパイダー。真に人を愛したことが、あなたにありますか」

「ふ…、何を訊く。くだらぬ」

「真に人から愛されたことはあるのですか。……ないでしょうね。人を愛する真似事すら、幻影の中でしか出来ない」

「なんだと」

キッドの言葉にスパイダーが激昂する。金髪が逆立つかのように揺れた。

「私の作り出す悪夢は芸術だ。究極のエンターテイメントだ! 虜となった者が評するなど、笑わせるな!!」

「人の心を弄ぶ…それがあなたの言う芸術ですか」

「私のイリュージョンを貶(けな)すつもりか。マジシャン如きが…!」

「虚しいだけです、スパイダー。確かにあなたは稀有な技量を持つイリュージョニストだ。しかしその技を殺人に利用するようになった時から、エンターティナーを名乗る資格はとうに失われているのです」

スパイダーを見詰めるキッドの表情はあくまで静かだ。しかしキッドの言葉はスパイダーが仮面に隠していた急所を間違いなく衝いていた。

「黙れっ、死に損ないめ!」

スパイダーが両手を大きく払う。煌めく何本もの細い針が空を裂き、キッドに突き刺さる。

「あっ?!」

スパイダーが目を見張った。針はキッドを素通りし、薄く煙幕が棚引くステージの袖へと消えていった。

僕は大きく振りかぶってボールを投げた。直接スパイダーを狙うのではなく、聳(そび)える廃墟のセットへと。
バァン、バァン、と大きくバウンドするボールが冷静を欠いたスパイダーの気を散らせる役に立った。

振り向いたスパイダーの顔面に、ステージに駆け上がった勢いのまま僕は渾身の右ストレートを打ち込んだ。
ほぼ同時にキッドの撃った麻酔針がスパイダーの喉に突き刺さっていたようだ。

スパイダーはもんどり打つようにステージに転がった。
落ちていた黒いマスクにスパイダーが手を伸ばす。その手が、ガクリと落ちた。
そしてスパイダーはついに動かなくなった。

キッドは会話をしながらスパイダーに〝マジック〟を仕掛けていたのだ。スパイダーと対していたのはステージの仕掛けを利用したキッドの〝幻〟だった。スパイダーは最後は自らの罠に自らが嵌まる結果となったのだ。
千切れたセットの金色の絲が、一筋スパイダーの上に垂れ落ちていた。




「キッド、ここにいたのか」

ステージ裏で力尽きたように膝を着いているキッドを見つけ、僕は駆け寄った。

「しっかりしたまえ」

「スパイダーは…?」

「君が撃った麻酔で眠っている。手錠で繋いでおいた」

「ありがとう…白馬探偵。スパイダーを倒すことが出来たのは、あなたのおかげです」

「僕はたいした事はしていない。君を守れたとは…残念だが言い難い」

「いいえ、そんなことはありません。あのままだったら私は殺されていた」

「しかし…」

キッドが負った疵を思うと、僕は自分を責めないわけにはいかなかった。

「……あと数分で警察が到着する。とにかくこれでスパイダーをインターポールへ引き渡すことが出来る」

キッドが顔を持ち上げ、僕を見て微笑んだ。ずきりと痛むほどにキッドの眼差しに胸を射抜かれる。

「キッド、頬が…」

スパイダーにやられたのか、頬が赤く腫れているのに気付いて僕は手を伸ばした。だが、キッドは白い手袋の指先でやんわりとそれを遮った。

「白馬探偵こそ、怪我は?」

「なんともないさ。このくらい」

キッドの目が見られない。僕はどうやら本当にキッドに心を盗まれたようだ。

「それにしても…なぜバスケットボールだったのですか、白馬探偵」

「それは」

僕は思わず赤面した。
考えがあっての事ではない。黒羽の姿が消えている事に愕然とし、部屋を飛び出す前に何かないかと見渡して、たまたま目に付いたのだ。

スパイダーの注意を分散させ、キッドの目を覚ますことが出来るなら、なんでもよかった。
黒羽との共通の記憶である〝スリーオン〟が、バスケットボールを手にした僕の心の根にあったのも確かだろう。

さらに言うなら家には父が保有する猟銃も、フェンシングの剣もあった。しかしそんなものを持ち出したら、抑えが利かなくなるに決まっていた。
キッドを罠に掛け愚弄し貪るスパイダーを前にして冷静でいられるはずがないのだから。

「君が言ってくれたんですよ。僕に〝咎〟を負うような真似はするなと」

立ち上がろうとしてふらついたキッドを、僕は支えた。キッドがすっと顔を逸らす。

「当たり前です。あなたは正義を担う探偵だ。私やスパイダーのように闇に身を窶(やつ)してはなりません」

僕はキッドをそのまま胸に抱いた。
愛おしかった。はっきり、その想いを意識した。
放したくない。君を─────。


フォン、フォン、というパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。警察が到着したのだ。
抱き締めていたキッドのマントがふわりと膨らんだ。
驚いて手を離すと、ぽん!と音が弾け、キッドは煙幕の中に消えた。

僕は呼んだ。ただ一言、彼の名を。

「キッド!!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・



天幕の上に隠れ、俺は息を吐いた。
まだクラクラしていた。スパイダーに盛られた〝薬〟の効果が完全に抜けていない。体も疼いた。

〝あのままだったら〟。
俺の言葉を、白馬はどう受け取っただろう。

白馬の自宅へ連れて行かれ、そばに張り付かれて。しかしそのおかげで半日近く休むことが出来た。体力が回復していたから殺されずに済んだんだ。
もし赤い光の呪縛に囚われて病んだままでいたら、とても保たなかっただろう。

しかし、白馬に礼を言えるのはキッドだけだ。黒羽快斗はスパイダーとの対決とは無関係なんだ。
それを間違えちゃいけない。

白馬にこれ以上近付いてはいけないのだ。









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「快斗、ニュース見た? ほら、前に観に行ったイリュージョンのギュンター・フォンなんとか、急病で2日残して公演中止だったんだって!」

席に着いたと思ったら青子にバンバン肩を叩かれた。

「痛てぇな。興味ねえよ」

あれから土日を挟んで週明けの朝。
久しぶりに何もせず二日間爆睡し、俺は元気を取り戻していた。それでも月曜の朝が眠いのに変わりはないけれど。

「病気じゃしかたないけどね~。行く予定だった人たち、気の毒だねー」

急病、か。

警察は裏で手を打ったのだろう。それなりの見返りをインターポールに求めて。スパイダーはインターポールに移送されてから本格的な取り調べを受けるはずだ。一筋縄ではいかないだろうが。

「おはようございます」

「おはよー、白馬くん。あれ? 包帯。右手どうしたの」

「うっかりドアに挟んでしまって。腫れはだいぶ引いたんですが」

「うふふ、白馬くんでもそんなドジするんだ」

「案外トロいんだな」

何気に会話に加わると、青子がバッと俺を振り向いた。

「快斗~!どしたの? 逃げないで普通に白馬くんに話しかけるなんて」

「べつに」

青子のヤツ、妙なとこで聡くて困る。俺は席を立って廊下に出た。







「黒羽くん、もう先生が来ますよ」

やっぱり追ってきたか。俺は屋上の柵を背にして振り向いた。

「白馬…おまえ、あのイリュージョニストに用があって日本に来たんだろ」

「そうです。話しましたっけ」

「……だったら、もう用は済んだろ。早くイギリスに帰れよ。うざくてしょうがねえ」

「申し訳ないですが、僕は当分江古田高校に通いますよ。信頼を得たい〝友人〟がいるのでね。それから」

白馬は俺をじいっと見詰め、やがてふっと微笑んだ。
あたたかい瞳の色に、なぜだかホッとする自分がいる。

「どうしても捕まえなければならない新たな宿敵が現れたんです。僕はこの手で彼を捕まえたい。どうしても。なにがあっても」

やだねぇ、その〝宿敵〟とやらが気の毒だよ。
俺はそう言って空を振り仰いだ。

青空には白い三日月がまだ浮かんでいて、陽の光と共に俺たちを静かに見下ろしていた。






・・・・エピローグ・・・・





「紅子ちゃん、何してるの?」

「占いよ」

「ええ? 何の何の? もしかして恋占い?」

「そのようなものね」

「わあ、誰と誰の? 紅子ちゃんの好きな人?!」

「白い騎士と白き罪人」

なに…? しろ…しろ…? と首を傾げる青の少女の前に、私は引いたカードを一枚置いた。

青の少女が〝素敵だね、うまくいきそうだね〟と笑う。私は少々複雑な想いを隠しながら頷いた。

現れたのは仲睦まじく抱きあう〝恋人〟のカード。出逢ってしまった〝運命の相手〟。

二人のこの先は、もう占うまい。

その必要はどうやらなさそうだから。





20130626
20130721(加筆修正)

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《あとがき》うがー!時間ばかりかかって思うように描写出来ず…(+_+)。スパイダーとの最後の対決では、なんならスパイダーと白馬くんのキッド様争奪フェンシング対決!とかも考えたんですが、描写しきれるか謎なのであえなくボツとなりました(汗)。ああでも白馬くんフェンシング似合いそう…そんな白馬くんもいつか書きたいです!という新たな目標をたてて「カテゴリ☆呪縛」の締めとします…。お付き合い下さいまして、ありがとうございましたー!


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