名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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噂の二人 partII《2/2》
カテゴリ★白馬×快斗

※白快両想いバージョン『噂の二人』続編。今回は白馬くん視点の甘イチャが目標だったんですが~。

――――――――――――――――――

「今夜、行くから。そしたら……ちゃんと言う!」

それだけ言い、黒羽はダッシュで駆け出した。立ち尽くす僕を残して。


帰り道、僕にそう言って走り去った黒羽の後ろ姿を思い出す。

『ちゃんと言う』と。

『今夜行く』と言ってくれた――。



(コトッ)


人々が眠りに就く頃……静けさに包まれた夜半。
彼を待ち、神経が高ぶっていた僕は微かな気配に気付いて自室の椅子から立ち上がった。

「………」

窓を開けて外を見渡す。
すると、真ん丸く天に浮かぶ満月が目に飛び込んできた。

そうか。今夜は満月だった。

巡り合わせを感じた。
従えた雲々を蒼白く輝かせ、夜空に君臨するその美しさに心を奪われる。

「どこです、黒羽くん…」

「私です。白馬探偵」

待っていた気配と違うことに僕は驚いた。声のする方向を目で探す。

とん、と〝彼〟が舞い降りる音がした。僕の耳元で。

「…!」

たった今まで何も…誰もいなかったはずの僕の目の前に、僕の部屋のベランダの桟の上に真っ白な衣装の彼が――〝怪盗キッド〟が立っていた。

「今晩は。お邪魔してよいでしょうか?」

高い位置から届く怪盗の声音。

「これは……」

鼓動が。
自分の鼓動の音をここまで意識したことは今までになかった。

一対一で〝怪盗キッド〟の姿を間近にした事はこれまでなく、その正体が僕の待ちかねていた〝恋人〟だと解っていてもなお、今宵こんな形で〝彼〟が現れたことに僕は途方もなく胸を高鳴らせた。

「怪盗キッドに僕の部屋を訪ねていただけるとは……光栄至極ですね」

「あなたのクラスメート、黒羽快斗からの伝言を」

「伝言…? 黒羽くんから?」

ふわとマントを膨らませ、軽く跳ねたキッドが部屋に降り立ち僕に向き直る。

「はい。彼からあなたに」

キッドは片方の膝を着き、僕の前にかしずいた。その白い手袋の指先が僕の手をとり、そっと甲に口付ける。

「…………」

キッドが僕を見あげて微笑んだ。

まるで魔法にかけられたかのように、キッドの瞳に胸を射抜かれる。
君は…君は本当に黒羽快斗なのか――?


「お待たせしてすまない、と」

「え?」

「彼が…黒羽快斗があなたにお詫びを。〝このうえ申し訳ないのですが、どうかあと数日だけお待ちいただきたい〟と」

僕は怪盗の手を握り、強く引き寄せた。
バランスを崩した怪盗を胸で受け止め、抱き締める。

「あっ、あの――」

慌てたようにもがく怪盗の顔を覗き込んだ。

「……危ないところでした。キッドのマジックに魅せられて、まんまと乗せられるところでしたよ」

「なに、を」

抱き締めたまま壁際に追い詰め、シルクハットのつばを掴んで怪盗の頭から取り去った。
柔らかく跳ねるくせ毛が現れ、落としたシルクハットが足元に転がる。

「白馬探偵、お放しください」

「そのまえに。彼からの伝言はそれだけでしょうか」

「あ……、あと…もうひとつ」



あなたを。

〝お慕いしている〟と―――。



僕はその言葉を胸に納めながら、キッドのモノクルの飾り紐を唇でくわえた。そのまま首を横に振って引っ張る。
怪盗の素顔を隠していたモノクルが外れた。
はっとしたように見開かれた〝彼〟の瞳。

僕は…僕の腕の中で素顔に戻った黒羽快斗を見詰めなおした。すると目の前のその頬が…顔中がみるみる赤く染まっていった。


「…ばかやろっ、ずりぃぞ白馬っ」

「何がですか。ずるいのは君でしょう。この期に及んで引き延ばそうなんて。しかもキッドの姿で現れて」

「そ、それは、だから」

口付けた。言い訳をしようとするその唇に。温かく包み込むように。
途端にびく、と震える体。愛おしさに狂いそうになる――。

僕との約束を違(たが)えるわけにいかず、然りとて急に今夜肌を重ねる決心もつかず、間をとってこんな形で訪れたというところか。
ここで多少無理を押して奪っても文句は言われまい。しかし。

慌ててはいけない。大切な恋人を怯えさせてはならない。
結局僕は急く気持ちをなんとか堪え、腕の中の恋人の素顔をもう一度覗き込んだ。

「黒羽くん」

「…………」

「あと数日、と言いましたね。ではいつならよいのですか」

「土曜の夜」

「なぜ」

「……土曜に試合があっから」

「ふふふ」

「なんだよっ」

「アハハハ」

サッカー部の助っ人か。直前に〝動きが鈍っては〟と心配していたのか。

「アッハッハ!」

「笑うなっ」

僕の腕の中で体中を熱くしてもがく恋人を抱き締めながら、僕は声を出して笑ってしまった。真夜中だというのに。窓を開け放っているというのに。

――なんとかそれ以上の笑いを我慢し、僕は改めて恋人と約束を交わした。

希望通り、『今度の土曜の夜に』と。

さて……そうと決まれば僕もきちんと手配をしなくては。家の者に気付かれないよう心置きなく恋人と過ごすために、いくらか策を練る必要がある。

黒羽快斗の姿に戻った恋人と体を寄せ合い一緒に僕のベッドに横になりながら、互いに眠りに就いたのは明け方近くなっていただろう。
僕はどきどきして。
おそらく黒羽も、どきどきして。






20120508

――――――――――――――――――

あとがき
ハッピーに成就するとこまでいければ……と思って書き始めたんですが辿り着けませんでした~(*_*;
次こそ! 白快両想いバージョンの初夜書くぞぉ~っ!(^o^)///


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