名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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噂の二人 partIII《1/3》

※白快両想いバージョン続編です。快斗くん視点に戻ってスタート。

――――――――――――――――――


やばいっ! やばすぎるっ!!

何時だよ、いまーっ(@@)??!!


帝丹との練習試合終わって家帰って風呂ん中で爆睡しちまって溺れそうになってやっと出たけどのぼせて暑くてまたベッドに突っ伏していつの間にかまた爆睡してて気が付いたらもう夜中じゃん!!!

な、何時だよ……っ?!

――って、夜11時半過ぎてるー?!

うそーーーっ、(@@;)//////

いったい何時間寝てたんだ、俺?!
やばい。まじで…ヤバイ。

は……白馬、待ってる…かな。

連絡しなきゃだけど、だけど、
怖くて…電話できねーっ(T-T)(T-T)

いや…落ち着け。
怪盗は臨機応変、冷静さが命だ。
冷静になって考えるんだ、どうすべきか。


……行くしかない。だろ、やっぱ。


約束したんだ。行かなきゃ。
白馬が待ってる。たぶん。怒ってなきゃだけど。

白馬…来てたな、昼間。
白馬がいるのに気付いてすぐだ……工藤のチャージで倒れたの。
あれから急に体が重くなって動けなくなった。
カッコ悪り~。くそ。
白馬に情け無いとこ見せちまった。よりによって帝丹に逆転負けなんて。
やっぱ助っ人なんて中途半端なことやってちゃだめだよな。みんなに甘えてさ……。

工藤はいいな。サッカーも探偵も、誰はばかることなく自分の好きなもの求めるものに真っ直ぐ向き合えて。

俺は。俺は―――。









よっぽどメールして反応みようかと思ったけど、姑息に思われたくなくて急いで来てみた。けど……。

真っ暗。白馬ん家。どおしよ……。

塀に飛び乗って白馬の部屋の窓を伺う。
カーテンが引かれてて中がよく見えない。やっぱ暗い。どうしよう。
うう緊張する。
っていうか、この状況って……もしかしてヨバイじゃね? なんだか俺の方が白馬の寝込み襲うみたいになってね?

で、でも、約束は約束だ。
ここまで来て、帰れねぇ。行くっきゃない。
そんで白馬が寝てたら……そっとしとこう。うん、寝ちゃってたら仕方ない。そうだ、とにかく約束を破るのは、予告を守らないのは怪盗のモットーに反する。よぉし。いくぞ……。

窓は……、窓……。そうっと引いた。

…開いてる。

どきんと鼓動が跳ね上がる。だが、ここでもたもたするわけにいかない。

そっと、中に入った。窓を閉める。音を立てずに……。
白馬の部屋。白馬のベッド。白馬、寝てる……。
ふう、と一つ息を吐いた。

白馬の匂いがする。優しい匂い。目を閉じて白馬の匂いを吸い込むと、ほんの少し落ち着いた。

闇に目が慣れてくると、白馬が横になってる輪郭が見えてきた。
寝ちゃったのかよ、白馬? 俺がもう来ないと思って……?
少し悲しい気分になる。

ごめん、白馬。遅くなって…ごめん。
ここんとこ全然眠れなかったんだ。白馬のこと考えて、眠れなかった。
俺が約束破ったって……思ったのかな。嘘つきって、思われたのかな。思われても仕方ないけど。とっくに日付変わっちまったし。

「……ごめん」

小さく小さく囁いた。ベッドの脇に座り込んで、枕元におでこ預けて。
――このままここで三度寝すっか。朝、白馬が起きたら謝って……それから……。

それから?

かあーーと熱くなった。頭を起こす。

朝起きたら、やっぱ……やんのかな。ここにいたら……そういうことになるのかな。う、どうしよう。どうしよう。

「!」

ハッとする。
頬に触れた。温かな指先が――。

パチ、と音がして枕元の小さな灯りが点された。
眩しい。
小さな灯りが、とてつもなく眩しく感じる。

(白馬…!)

白馬が静かに体を起こす。何も言わず。灯りが逆光になって、顔が見えない。どんな目をして俺を見ているのか分からない。

(あっ)

両腕を掴まれて、ベッドの上に座るよう促された。

「白馬……俺……」

顎に指がかかったと思ったら、すぐに唇を覆われた。白馬のキス。呼吸も言葉も奪われる。

何か言ってほしい。
声をかけてほしい。
白馬がどんな思いでいるのか分からない。それが不安で悲しくなる。こんな時に……こんな悲しい気持ちになるなんて。
ん、と思わず呻いてしまった。長いキスが苦しくて。切なくて。

(あっ…!)

グイとひっくり返され、ベッドに背が沈む。白馬に抑え込まれ上から見下ろされて心臓がきゅうとなる。固まって動けない。
白馬の顔が――無言で俺を見詰める白馬の表情が、小さな灯りに照らされてやっと見えるようになった。だけど。

ただ瞳を細めて、俺を見下ろす白馬。

微笑んでほしい。なのに白馬は表情を動かさない。
白馬の指先が伸ばされ、思わずビクッとしてしまった。髪をかきあげられて怯えた顔を覗き込まれる。
どくんどくんと鼓動が胸を打った。

―――謝んなきゃ。
白馬が怒っても仕方ない。だけど、声がなかなか出てこない。必死に喉から言葉を絞り出した。

「……ごめん。遅く…なって」

「黒羽くん」

「……」

「よいのですね、では」

「……」

「逃げるなら今のうちですよ。僕は君が欲しい。欲しくてたまらないのです。 逃げないのなら…」

白馬の瞳が憂うように揺らめく。
胸が締め付けられるように痛んだ。

俺は覚悟を決めた。今度こそ、本当に。

「逃げねぇよ。約束したろ。白馬が…好きだ、俺」

はっきり、そう告げた。白馬の瞳を見て。薄茶に透けるような瞳を見つめ返して、そう応えた。


白馬の手に頬を包まれて、額を合わせる白馬の吐息を感じて、俺は目を閉じた。









噂の二人 partIII《2/3》へつづく


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