フラストレーション《1/2》(白馬×快斗)
カテゴリ☆噂の二人
※前回いい感じにまとまった(??)ので一区切りと思っていたのですが、クラスメートの〝二人〟がまた書きたくなってしまい、勝手にシーズンIIです…(^^;)。
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僕は晴れて〝彼〟の…黒羽快斗のすべてを手に入れた。
そして僕らの恋はめでたくハッピーエンドへ───とは、残念ながらならなかった。
もちろん、分かっていた事ではあるのだが。
それにしたって、僕らが初めて身も心も結ばれた夜の翌朝には目覚めると彼はすでに消え去っており、僕は体よくあしらわれ一人ベッドに置き去りにされていたのだから……これはあまりに酷い仕打ちというものでははないだろうか。
恋人同士なら間違いなく記憶の1ページを飾るはずだった〝二人の初めての朝〟を───目覚めとともに訪れるはずだった甘酸っぱく睦み合うひとときの幸福を、僕は味わう前に盗まれてしまったわけだ。あの照れ屋の〝怪盗〟に。
そのうえ。
彼は完全にあの夜以前の態度に戻ってしまっていた。
学校で捕まえようとしても捕まらない。放課後待っているように伝えておいても無視される。
それどころか───話しかけてもよそよそしく、僕と目も合わせようとしない。これではまるで想いを伝え合う以前に戻ってしまったも同然だ。
照れているのだろうと思って我慢していたのだが、こうも続くと……もしや彼は本当に僕とのことを清算し、あの夜の出来事をなかった事にするつもりなのではないかと思えてきた。
そしてとうとうクラスの男どもに『おまえら別れたんだって?』などと言われる始末!
女子たちに至っては(黒羽の幼なじみの彼女までも一緒になって)僕と彼との〝別れ〟の原因分析が噂の対象になっているらしい。まったくもって我慢ならないっ! バァン!! (←両手で机をたたいた音)
そんなこんなで僕のフラストレーションはすでに限界を迎えていたのだ。
「黒羽くん、ちょっと待ちたまえ」
「………」
放課後、この日もなんとかここまで気持ちを抑えていた僕は、帰り支度を始めた黒羽のそばに近寄り彼に話し掛けた。黒羽が僕を見上げる。
───教室から音が消えた。音楽室から合唱の歌声が遠く届いてくるのみ───。
かまわず単刀直入に申し入れた。
「今夜、僕の部屋に来て下さい」
〝ざわっ〟
一瞬教室がざわめいた。知るか。僕は続けた。
「君がいつまでも逃げ回るつもりなら、僕にも考えがあります」
「……………」
「返事は?」
「……わかった」
〝おおっ〟
教室が再び揺れるようにざわめく。
しかし以前なら真っ赤になって走り去っていただろう黒羽は、周囲の反応など意に介さぬ様子でカバンを肩に担ぐと急ぐでもなく当然のように教室を出て行った。
あっさりOKが出たことがいささか意外だった僕は毒気を抜かれ、言葉もなくその後ろ姿を見送った。
〝どわっ! 〟と、教室が大きくどよめき、拍手が起こったのはその直後だ。
ピーピーとはやし立てられ何人かに背や肩を叩かれる。
しかし僕は何かしら掴めないものを感じてその場に立ち尽くしていた。
掴めないもの。
それは〝恋人の気持ち〟だ。
僕の心を盗み、翻弄し、思考を狂わせる〝怪盗〟の真実。
本当かい……黒羽くん。
本当に今夜、君は僕の部屋を訪れてくれるのかい?
そうして待っていても、君はまた僕を待ちぼうけにさせ、知らん顔をするつもりなのではないのかい───。
フラストレーション《2/2》へつづく
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あう。続きますが基本軽め展開の予定です(汗)。
※以下、拍手コメントへのお礼&返事です!
瞳さん! 感想ありがとうございます! 嬉しいです~ (*^^*)///
今回テレビアニメ『怪盗キッド祭り』に登場した〝スパイダー〟は、2011年10月22日 怪盗キッドスペシャル 「運命のブルーバースデー」ラストで、謎の組織の上層部の人物が〝邪魔者・怪盗キッド〟を亡き者にするため召喚した〝殺し屋〟らしいです! 世界的なイリュージョニストとして有名なスパイダーの正体が、実は暗殺者。という設定らしく…。
でもその時はポスターかなにかのシルエットだけで、スパイダーと呼ばれる者の姿がはっきり描かれておらず(私もその時ネットで検索してみたのですが)原作にはないキャラクターらしいと知り、なにこれダレコレ!!と、妄想したい放題になっていたわけです(^^;)。
今回スパイダーが姿を現したので、また別の妄想ストーリーを作っちゃいそうです!
今朝はそろそろ時間切れです…また明日~(*^o^*)。
[10回]