光の矢《2/2》(白馬×快斗)
カテゴリ☆噂の二人《3》
※快斗くん視点つづきからスタートです。
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呆然とする俺の耳に、集まった生徒たちの大歓声が飛び込んできた。
俺は……後ずさったんだと思う。よろけたのかな。そしたら背中にどん、と何かが当たって俺は振り向いた。
「は、白馬…!」
振り仰いだ白馬は工藤を見つめ、俺の肩に手を置いた。
「工藤くん、突然来て突然そんなことを言い出すなんて失礼でしょう。さっきも言いましたが、君は黒羽くんをどれだけ知っているんですか。それに…君も分かっているはずです。黒羽くんは僕と」
「ばっ…、ばか、よせ白馬!」
白馬が怒ってる。前を見ると、工藤は工藤で赤い顔をして白馬を見つめていた。
ナニ……? ナニこれ。
これって……もしかして……〝修羅場〟ってやつ? ええええーーっ(@@)///
「あ、黒羽くん?」
────俺は怪盗だ。常に臨機応変、たとえ計画通りに事が運ばなくても、どんな状況に陥ろうとも、探偵が現れようが警察に追われようが自分の力で切り抜けてきた。
だけど今のこの状況は無理だ。アタマの回線がショートして、シナプスが働かない。
白馬が呼び止める声が聞こえたけど、俺はダッシュした。自分が原因の〝修羅場〟から、一目散に逃げ出した。
わああと背後の生徒たちから声があがる。
黒羽はこの場にいたたまれなくなったのだろう、走って行ってしまった。彼に走られたら僕では追い付けない。
「工藤くん、待ちたまえ!」
黒羽を追おうとする工藤を制止した。とにかく、この〝高校生探偵〟をこれ以上黒羽に近付けるわけにはいかない。
「今日のところは、このまま引き取ってくれませんか」
「…………」
工藤はまだ黒羽が走り去った方向を目で追っていた。
「工藤くん」
「白馬……」
僕を振り返った工藤の瞳に、ずきりとくる。恋する瞳。表現するならそうだ。膨らむ想いにいてもたってもいられず、こんな直情的な行動を起こすとは。僕が伝え聞く〝高校生探偵・工藤新一〟像からは想像もつかなかった。しかも、その相手が寄りによって黒羽とは────。
だが、考えてみればそれも理解できなくはなかった。 僕がそうだったように、工藤も黒羽が秘める危うさに惹き付けられているのだろう。
工藤が黒羽と〝怪盗〟をはっきり結び付けるのは時間の問題かもしれない……。
工藤は去っていった。 僕に小さく会釈をし、『黒羽くんに驚かせてごめんって伝えてほしい』とだけ言い残して。〝ライバル〟とはいえ、いささか気の毒な後ろ姿だった。
「ぐずぐずしてていいのかしら? 光の矢は射たれたわ。急いで抜かないと翼がもがれるわよ」
野次馬が散り散りになったところで、いつの間にか小泉紅子が僕のそばに立っていた。
「どういう意味です。黒羽くんの心が工藤くんに奪われるとでも?」
「そうとは限らないけど」
微笑んだ魔女は腕を組んで僕を見上げた。
「でも、動揺した黒羽くんが自分自身を〝すべて〟から遠ざけようとする可能性は否定出来ないでしょう?」
「白馬くん、快斗を捕まえられるかなぁ?」
「どうかしら。中森さんこそ黒羽くんの事よく分かってるでしょ。彼、子供みたいなところがあるものね。殻に閉じこもって出てこなくなるかも」
「紅子ちゃんは…どっち?」
「どっちって?」
「〝光の魔神〟を待ってるって言ってたから、もしかして工藤くん推しなのかなって……」
「まさか。だったら『白雪姫』で魔女役に立候補なんてしてなくてよ」
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「黒羽くん!」
川原の堤防近くでベンチに座り込んでいる黒羽を見つけて、僕は胸をなで下ろした。降りてゆく僕をチラッと見て、黒羽が再び俯く。
「……工藤は?」
「引き取ってもらいました。驚かせてごめん、というのが君への伝言です」
「…………」
鬱いだ様子の黒羽に、小泉紅子の言葉が重なった。
「黒羽くん」
「俺……帰る」
「待って」
立ち上がった黒羽の手を掴むと、黒羽が降り解こうとする。
「黒羽くん」
「白馬……ごめん、俺、今日はもう」
抱き寄せようとすると、黒羽が腕を突っ張った。土手の壁に押し付けるような格好になる。
「放せって…白馬」
俯く顎を持ち上げると、黒羽が顔を左右に降った。
「やめろってば、こんなとこで」
「やめません」
「白馬……!」
キスしようとすると、黒羽ははっきり僕を拒絶した。
僕は……僕はどうすればよかったのだろう。無理にでも抱き締めて、無理矢理にでもキスをすればよかったのだろうか。
だが、僕には出来なかった。
黒羽は僕の手の中から走り去った。
一昨日は夜通し睦み合い、砂浜を手をつなぎ歩いた僕の恋人は、僕を振り返ることなく僕の前から消え去った。
20121130
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※内容的にめっさ途中でスミマセン。つづきは別タイトルにて…(*_*;
[6回]