名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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指のリング(白快前提 新一→快斗)
カテゴリ☆噂の二人《3》
※新一視点です。
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ため息しか出ない。

もちろん玉砕覚悟でやったことだし、他に方法が無かったのかと訊かれればもうちょっとやりようがあったかも…とは思うけど、すでに後の祭りだ。


差し出したオレの手は当然握られることなく、黒羽快斗はあっという間に目の前から走り去った。
戸惑った様子の黒羽と、その肩に手を置いた白馬の厳しい目を思い出す。

あああ…。

「あらあら~? 推理オタクが今日はやけに静かだと思ったら、ため息なんかついちゃってぇ。なーんかアヤしいわねえ」

くそ…園子のやつ。ヘンなところが妙に鋭くて油断ならない。

「うるせーな。蘭、園子と先帰ってくれよ」

「新一ったら…(^^;)。新一はまだ帰らないの?」

「ああ。ちょっと調べたいことあるから図書室に寄ってく」

もちろん言い訳だった。少し一人になりたい。 黒羽を好きになってしまったなんて蘭には言いにくいし、園子に至っては知られたらオシマイだ。

「あら…ねえねえ! 桜の木の向こうのあれ…あの学ラン男子、もしかして江古田高の白雪姫クンじゃない!?」

────ガタン!!

園子の話し声が聞こえた瞬間、オレは椅子を蹴って立ち上がっていた。 やっぱり先に帰ると言ってオレはカバンをひっつかみむと、蘭と園子の視線を背中に浴びつつ教室を飛び出した。


オレが門から出ると、金網の向こうにいた黒羽は目でオレに頷いて、間隔をあけて一緒に歩き出した。
ものすごくドキドキする。黒羽になんて話しかけようかと頭の中ぐるぐるしてたら、背後から〝白雪姫クーン〟という園子の声が聞こえてきた。黒羽も気付いたようだ。
オレ達は二人して全速力で走り出した。






「……くっそ。帝丹でまで〝白雪姫〟言われるとはな~」

「ははは。それだけインパクトあったのさ」

駅とは反対方向の大通りに出て歩道橋の上に駆け上がったオレたちは、そこでようやく立ち止まった。はぁはぁと息を整えながら、二人で普通に会話を始めた。オレは黒羽と話が出来るだけで舞い上がりそうなほど嬉しかった。

「わざわざ〝ゴメンナサイ〟しにきてくれたのか」

「……まぁ、そう」

頭をかくような仕草をしながら、黒羽は俯いた。

「サンキュ。悪かったな、気を使わせて」

「いや…。昨日はすぐ反応できなくて、逃げたりしてゴメン。早めに……その…ちゃんと返事しなきゃいけないと思って」

「白馬もそうとう怒らせちゃったな」

「……………」

「付き合ってる人いるって言ってたもんな。湘南で白馬といるとこ見て分かってたのに……アホなことしてホントすまなかった」

「……………」

「それでも……来てくれて、話が出来て嬉しいよ」

「…………」

並んで横に立ち、足下を行き過ぎる車の列を見ている黒羽に、オレは往生際悪く申し出た。

「黒羽くん……出来ればオレを、黒羽くんの友人のひとりに加えて貰えないだろうか」

一縷の望みに縋る思いだったが、残念ながら黒羽は首を横に振った。

「そうか。だよな…」

自分でも肩が落ちるのが分かった。

寂しい。これで完全にオールエンド、ホイッスルだ。
いまこんなに近くに……すぐそばに並んで立っているというのに。これから黒羽のことをたくさん知りたいと思っていたのに────。


陽が暮れ始めていた。吹く風が少し冷たい。
ふと見ると、街頭のネオンに照らされた黒羽の横顔が覚えのあるシルエットに重なった。風を受け、月明かりを纏うあの姿に。

眩暈を覚える。

まるで、どん、どんと、体の中を叩かれているかのように鼓動が大きく強くなってゆく。
オレは片手をかざして隠してみた。横顔の黒羽の、その額から上を────。


「……じゃあ、俺もう行くよ」

そう言って振り向いた黒羽に、オレは一歩近付いた。
左手の親指と人差し指で丸く作ったリングを黒羽の右目にかざして────〝モノクル〟をはめる。

はっと目を見開いた黒羽と見つめ合う。


「黒羽……おまえは……」


黒羽はすっと身を引くと、なにも言わずに走り去った。


オレは混乱していた。失恋の切なさと、探していた宿敵をおそらく見つけ出した事の両方に。
遠ざかる黒羽の背中を、歩道橋の上に立ち尽くしたまま、オレはただずっと見ていた。






20121202

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