名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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迷いのアプローチ(白快前提 新一→キッド)
カテゴリ☆噂の二人《3》
※新一視点にて。
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「なんだぁ? 工藤くんじゃないか。どうしてこんな所に」

「それを訊きたいのはこっちですよ、中森警部。いや…怪盗キッド!」


嵐が近付いていた。強風が吹き付ける。
ベルヒルズ・タワー高層階の屋外管理スペースは、普通でも恐怖で立っていられない程の高さだ。
流れる黒い雲が美しい満月を覆い隠す。

「────やれやれ。あなたには本当に手を焼きますよ、名探偵」

警部のシルエットが朧ろに霞む。次に月明かりが差した時、浮かび上がったのは中森警部ではなく、白い姿の怪盗だった。

「キッド!!」

シルクハットを指で押さえたキッドは俺に軽く会釈をした。風でまとわりついたマントが激しく揺れている。

「今夜は私は下見に来ただけ。予告状もお出ししていません。お見逃し願いたいですね」

切れ切れの黒い雲が俺たちを横切る。互いに動くキッカケを探しながら数歩の距離で睨み合った。

「それにしても、こうも早く天候が変わるとは。とうに失礼しているはずだったのですが」

「飛ぶのは無理だぜ」

「ええ」

「おとなしくこっちに来い」

「そうも参りません」

怪盗が手すりを支えに身を翻そうと構える。
バカな。出入り口は俺の背後だ。他に逃げ場はない。
驚いた俺の隙をついて、怪盗は閃光弾を炸裂させた。咄嗟に目を閉じる。飛び降りようと見せたのはフェイク。脇をすり抜ける気配────!

「待てっ、キッド!」

閃光が淡くなる。目を開け、閉まりかけたドアに飛びついた。
ガアンという衝撃。伸ばした左上腕を挟まれた。

「うあっ!!」

あっ、と怪盗の声が聞こえた。
ドアが開く。俺は中に転がり込んだ。

「ううっ…!」

「バカヤロォ、名探偵っ」

腕を押さえて突っ伏した俺のそばに、キッドが膝を着く。このまま走れば逃げられるのに。俺はキッドにタックルした。ひっくり返ったキッドにのし掛かる。

「気遣ったつもりか…。俺を甘く見るな」

「下手をすると骨折していますよ?」

「してたって逃がさない」

「簡単に逃れられます」

「これでもかっ」

ポケットから引き抜き様、俺は手錠をキッドの右手と自分の左手に掛けた。キッドが溜め息を付く。

「0.5秒で外してご覧にいれますが?」

「……じゃあ、これならどうだ」

俺はキッドの顔を見詰めた。ハッと見開いた蒼い瞳に俺が映る。
俺はキッドの唇に自分の唇を押し当てた。

息をのんだキッドが俺を押し退けようともがく。キッドが顔を背け唇が離れても、俺はもう一度口付けた。

「…や、めろ工藤! 逃がさねえって、こういう事じゃねえだろ」

「口調が変わってるぜ。こっちが素だな」

「…………」

混乱した様子の怪盗の肩に顔を寄せた。

「キッド。おまえの正体が知りたかった」

「…………」

「だけど、今は知りたくない」

「……何故です」

「知ったら、おまえにも近付けなくなる」

「……………」

「本当のおまえを見つけたと思ってる。だけど、それを確かめられない」

「…………」

「確かめたら、俺は────」

〝カチャリ〟。
金属音に気付いて、俺は顔を上げた。
キッドは怪盗の醒めた表情に戻っていた。

「名探偵が何を仰っているのか解りかねますが、とにかく急いで病院に行かれる事をお勧めしますよ。外科と、ついでに精神科もね」

くそ。
俺の告白全部聞く前にシカトの上、精神崩壊扱いか。そう思われても仕方ないが。

「あっ」

ゴロリと体を返された。
見ると、キッドは錠を外し涼しい顔で立ち上がっていた。

見下ろす醒めた視線がつらい。
俺は……どうすればいいんだ。

「そんな顔をならさないで下さい。予告は明日出す予定です。では…腕をお大事に。ご無理は禁物ですよ」

ポン!と、煙幕が張られる。
ブルーの煙幕が掠れた時には怪盗の姿はもう消え去っていた。

俺は体を起こして床に座り込んだ。
左腕は痛むが、骨折はしていない。ヒビが入った程度だろう。とりあえずそう思うことにした。

腕より、今痛むのは心の傷だ。我ながら情けなくて堪らない。
キッドの温もりを感じ、抑えられずに口付けた。あげくに、解っていたことだが拒否られて、数倍に膨らんだ失恋の大き過ぎる痛手。

それでも、どうしても言えなかった。
蒼い大きな瞳を目の前にしても。

〝おまえは黒羽快斗だろう〟と言うことは、とうとう叶わなかった────。







20120117

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※キッド様が何のお宝を狙っているのかの詳細はスカッと省略です。スミマセン…(*_*;


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