名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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ボクとキミ《真実の言葉》(コナン&キッド)
※2012.08.11up『キミとボク』続編。
※発売中コナンくんドラマCDから一部セリフ引用パロッてます。ネタバレ回避されたい方はとばして下さいませースミマセン(_ _ )/。
★コメント欄に37さま、琥珀さまへの拍手御礼追加させていただきました~(^-^)
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〝今晩は名探偵〟とヤツは微笑んだ。

白い手袋に包んだ指先でシルクハットのつばを抑えて。


口元には不敵な笑み。
クールな佇まいは何度見ても胸がときめく。

オレは腕時計に仕込んだ麻酔銃の照準を合わせながら少しずつ間を詰めた。

「キッド、動くなよ。今眠らせてやる」

キッドが肩を竦める。

「そんなことをする必要はありません。今宵は月が美しい。名探偵と過ごすには絶好の夜です」

「んなこと言って油断させようったってダメだ」

「だって今日は下見だけだし。なんも盗んでねーし。逃げる必要ないもんね」

間合いに入ったところで〝怪盗〟は急に砕けた口調になった。律儀に緊張していたオレは、とたんにオトトとなる。

そう……オレたちは探偵と怪盗という敵(かたき)同士でありながら、このところすっかり打ち解けて────何度か共同戦線を張ったり、一緒に死線を乗り越えるような経験をするうちに────おかしな〝仲間〟意識が芽生えるようになっていた。

それどころか。

「どした、名探偵。顔が赤けーぜ?」

「うっせ」

仕方なく麻酔銃の照準を収める。見つめられてドキドキしていては当たるモンも当たらない。

誘(いざな)われるまま怪盗が腰を下ろした屋上の縁に飛び乗って、怪盗のすぐ横っちょに座り込んだ。

……変なの、オレ。
なんか怪盗に誘われて嬉しい気分になってる。捕まえたかったはずなのに、なんだか今は捕まえるより一緒にいるのが楽しくなっちゃってる。

「うーん、ちょっと話しづらいんだよな」

「なにが」

言いながら心拍あがる。コドモの脈拍ってただでも速いのに、バクバク鼓動が激しくなって胸が痛い。

「わ!?」

両脇に手を入れられ、ひょいと持ち上げられた。脚がジタバタしちまう。
目の前には……オレを見て微笑む蒼い二つの瞳。片方はモノクルで隠れているけれど。

「………………」

「名探偵に誘ってもらえて光栄だぜ」

「べつに誘ってねえ」

「そーなの? 屋上に出やすいように仕向けてくれたのかと思った」

ストンと、怪盗の膝の上に向かい合わせに降ろされた。
……月がキッドのモノクルに映っている。確かに。満月を数日過ぎて少し欠けているけれど、月は美しく輝いて十分な明るさで夜空を彩っていた。輝いて……オレたちを照らしていた。

「……キッド、前から聞こうと思ってたんだけど」

「なんでしょうか」

「おまえさ、何を探してるの」

おどけた怪盗にそう問うと、怪盗は少し表情を曇らせ、淋しげな微笑みを浮かべた。

「それは教えられないね」

「オレが知ってるかぎり、おまえが本当に盗み去ったジュエルは一つとしてない」

「そんなことねえよ」

「その場で返したり、取り戻された振りをしたり。何日か経ってから警察が見つけたり……」

「では、名探偵に私も質問です」

「はぐらかすな」

「先日の私の〝告白〟へのご返答は?」

「…………」

「いま戴けませんでしょうか? この美しい月の前で。名探偵の真実のお言葉を」

「そんなん、ききき」

「は?」

落ち着けオレ。

「き、決まってんだろ!」

「どう決まっているのでしょう」

チクショ。何気に上から目線なのがアタマくる。背丈のせいもあるけど。

「答えたらおまえも言うか」

「はい」

「本当だな」

「はい」

「・・・・」

ご、ごほん(←空咳)、よし。
オレは向かい合った怪盗の肩に両手を乗せた。
んじゃ言ってやらあ。よく聞いとけっ。

『……探偵が、怪盗を好きになったって、かまわないだろ』

言ったとたんにカーッと熱くなった。怪盗のセリフを真似たりなんかしたから、余計にこっぱずかしいっ!!


あ……。


ぎゅ、と抱き締められた。キッドに。


温もりにドキドキしながら、何でか分からないけど切なくなる。キッドの吐息が震えてる気がして。キッドが泣いてる気がして。

「────名探偵の〝真実の言葉〟確かに頂戴しました」

「え? あっ」

ふわりと体が浮き、くるりと体が回転して……オレは屋上の屋根に転がり落ちた。

「キッド!」

月をバックにマントを翻す怪盗のシルエット。

「おい待て、キッド! オレの質問の返答は?!」

「ワリィな名探偵。教えられねーもんは教えられねーの」

「きたねーぞ、オレちゃんと言ったのに、嘘ついたのかよ!」

「しょーがないじゃん。うそつきはドロボウの始まり。俺、ドロボウだから」

「待て!」

さあっと風が吹き抜けたと思ったら、キッドは目の前から消えていた。

「キッド!」

屋上の縁から乗り出して見ると、すでに白い翼は遠く離れつつあった。

なんでだよ。
チクショウ、なんでだよ。オレの言葉だけ盗んで行っちまうなんて……キッドのバカやろう!

怪盗の真実はお預けかよ。

抱き締められた時の震えるようなキッドの吐息。思い出すと胸が灼かれた。

いいさ……そっちがその気なら。オレもこれまでどおり、おまえを追うだけだ。追いつめて、捕まえて、おまえの隠している真実をきっと掴んでやる。
今夜の下見がフェイクでなけりゃ、来週あたり予告状が届くだろう。見てろ、探偵をあんまり侮るんじゃねーぞ。おまえの真実を暴くのはオレだ。
オレ以外の誰にも……それまで捕まるんじゃねえぞ。

オレが捕まえるんだ。
あの独りぼっちの怪盗を。この手で。

オレが捕まえてやるんだ。







20120902


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