名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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奪われた証(××→キッド)
カテゴリ★闇に棲む蜘蛛
※ちょこっと修正・再アップしました。
※今回も短めです。このカテゴリ、なんとか形つけねばと苦戦中……(*_*; 気長にお付き合い下さい~。
※ここに登場する〝スパイダー〟は、テレビアニメ版の〝暗殺者・スパイダー〟とは設定が異なります。
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目を閉じているのに浮かび上がる。


闇の中、蜘蛛の巣に囚われた白い獲物。その姿が────。

あれは、俺だ。
〝スパイダー〟と名乗る謎の男に意のままにされ……貪(むさぼ)り喰われて。

震えが走る。思い出したくない。
けれど、なにかヤツを知るヒントが隠されてはいないか。
俺は自室に閉じこもり、甦る屈辱に懸命に堪えながらおぼろに霞む記憶を辿っていた。

体を這う尖った指先。肌に触れる氷のように冷たい感触。空に浮いたまま貫かれ、繰り返し体内を侵された感覚……。

(く……!)

知らず強く握り締めていた拳に気付いて手を開くと、食い込んだ自分の爪跡からうっすら血がにじんでいた。

〝スパイダー〟。
その名を思い出すのもおぞましい。

けれども凌辱の記憶は分断され、今となっては幻だったかのように全てが曖昧だった。
おそらく囚われた時点で〝毒〟が回っていたのだろう。ヤツの放った強い蜘蛛の毒が。

しかし、あれは紛れもなく現実だ。刻まれたこの身の疵。そして返されたモノクルには、ヤツの俺への明らかな優越に哄う挑発の跡が残っている。
幻などではなかったと、わざわざ俺に思い知らせるためのヤツからのメッセージが。

「…………」

机に置いた俺のモノクル。怪盗の証。それを汚し、俺に一層の恐怖を植え付けるために施された仕掛け。
───モノクルの飾り紐に付けられていたクローバーは半分に欠け落ち、無様な姿を曝していた。

工藤も目にしたはずだ…。
考えると意識の奥底までが熱い焔にジリジリと炙られるようだった。

失った半分は、今もスパイダーの手に握られているに違いない。奪い取ったクローバーの欠片をあの冷たい指先で弄び、残りの半分をいつ手に入れようかとほくそ笑んで。そして〝怪盗キッド〟を再び蜘蛛の網に掛けるために、闇に紛れどこかで待っているのだろう。

堪え難いほどに────怖い。

まともに立ち向かって勝てる相手ではない。それは自分が一番解っている。しかし…だからといって、ただ怖がって逃げ回っているわけにはいかない。

しっかりしろ、怪盗キッド。
ヤツの脅しに怖れをなして怯えていては、思うつぼだ。
そう簡単に思い通りになってたまるもんか。
怪盗の証を……怪盗の誇りを、自分自身で取り戻さなければ。ヤツの手から。





懸命に、自分を奮い立たせようとしていた。

けれど、どうすればヤツを超えられるのだろう。
できるのか、俺に。
〝スパイダー〟の仮面を剥ぎ、その正体を暴くことが。

俺の力で、できるんだろうか。

本当に……。







20120903


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