名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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大きくなったら(コナン×キッド)
――――――――――――――――


「ねぇねぇ、コナン君は大きくなったら何になりたい?」

小学校の教室で、小学生の仲間の女の子に無邪気に聞かれた。

「え? あ、ああ、オレは…探偵になって――怪盗キッドを捕まえたい!」

探偵になりたい、でやめておけばよかった。

一つ離れた席で頬杖を付いて聞いていた、俺と同じ境遇のもう一人の少女の冷めたオトナ視線がイタイ。


あーあ。

オレは毛利探偵事務所の扉の鍵を開けた。
今日はおっちゃんは外出(仕事か遊びかは不明)、幼なじみのあいつは空手の大会が近いため、自分の稽古プラス部員の指導をするために帰りが遅い。あらかじめ留守番を頼まれていた。

と言っても小学生の留守番では限界があり、電話に出てもかけ直すと言ってすぐ切られるし、たいしてやることはない。ミステリ本読みながら時間を潰すだけだ。

コンコン、と扉をノックする音に俺は顔を上げた。

「どちら様ですかぁ? 今日は毛利は外出してていませんが~」
と、子供ぶりっこして応対する。

扉から現れたのはクリーニング店のキャップを被った若い男だった。

「コンチハ! あれ、ボウズひとりでお留守番かい?」

ちょっと馴れ馴れしい感じが気になる。クリーニング屋は室内をキョロッと見回しながら中に入ってきた。

「あのぅ、特にクリーニングに出すもの預かってないけど……」

男は俺を見下ろしてニコッと笑った。


ぼふん!!


――と煙幕が張られ、煙が消えるとそこにはクリーニング屋から姿を変えた怪盗キッドが立っていた。

「……おっ、おめぇ、何しに来やがった?!」

盗むようなモンここにはねえぞ、と言うと、キッドはうふふと微笑んだ。

「ご挨拶ですね。仕事じゃありません。名探偵に逢いたくて来たに決まってるじゃありませんか」

「オレに、逢いにって――?」

「いつもとても熱い眼差しを送ってくれるでしょう。私も名探偵の事が気になって……お近づきになりたかったので、こうして来てしまいました」

熱い眼差し。

やべぇバレてたか。

オレは高鳴る鼓動を悟られないよう冷静さを装った。装ったけど顔が熱くなっていたのでドキドキしているのは丸わかりだったろう。

怪盗がオレをひょいっと抱き上げる。

オイオイ、いきなりかー?!
オレは焦りと期待で固まった。

ニコニコと優しい顔をした怪盗は、俺をソファに降ろして座らせると自分はその前に跪いた。

ずいっと顔を寄せてくる。

「名探偵は――ただの子供じゃありませんね」

「……」

「そんな事が本当に有り得るのか信じられないので、ご本人にお尋ねしたいのですが」

「……」

「あなたは……もしや、高校生探偵の……く――」

それ以上言わせずオレは怪盗に飛びかかった。首に両腕を巻き付けるようにして怪盗の唇をキスで塞ぐ。
膝を着いていた怪盗はオレの勢いで尻餅をつき、ビックリしたようにモノクルを光らせ――そのままバランスを崩して背中を応接のテーブルにぶつけた。シルクハットが外れテーブルの上にコトリと落ちて転がる。

「……名探偵」

目をパチクリさせて頬を染めた怪盗は、オレがもう一度キスしようとすると慌てて顔を背けて、オレを首にぶら下げたまま体勢を立て直し体を起こそうとした。

「め、名探偵は、やはり子供じゃありませんね……。こんな情熱的なキスは初めてです。参りました」

「内緒なんだよ」

オレはあくまで子供の言葉で怪盗に言い聞かせた。

「バレたらいけないんだ。だから誰にも言わないで」

「……いいでしょう。お約束します。ですから――どうか私のこともお見逃し下さい。この手を、放していただけませんか」

うーん。ちょっと惜しい。できればこのまま押し倒して怪盗を裸にして全てを知りたい。
しかし、所詮は子供の今のオレでは無理がある。残念だが時期を待つしかない。

「わかったよ……。でも、ねぇキッド。オレが大きくなったら」

「なんですか?」

「大きくなったら、キッドを捕まえてもいい?」

「……そうですね」

「いいの?!」

「警察に捕まるよりは何倍も魅力を感じます。大きくなったら…さぞかし」

何を想像したのか怪盗は自分の言葉に赤くなってコホンと咳払いをした。

「と、とにかく―― 今日のところは退散することにします。これ以上ここにいたら帰るのがつらくなりそうですので」

「どういう意味?」

「言葉通りですよ。私は……名探偵の事を本気で好きになってしまいそうです」

「オレは最初からキッドが好き」

「本当ですか? それでは――両想いと思っていていいのでしょうか」

うん。と肯(うなず)くと、怪盗は抱っこしていたオレをそっと床へ降ろし、俺の目を見てニコリと微笑んだ。

オレはテーブルの上に転がっていたシルクハットを拾い、再び目の前にかしずいたキッドの頭に被せてやった。王様が忠誠を誓う魔法使いにその証しを与えてやるシーンのように――。

また、ぼふん!! と煙幕が張られた。


煙が消えて部屋を見渡せるようになると、怪盗は消え失せていた。

行っちゃった……。

ぼうっと怪盗の唇の感触を思い出して立ち尽くしていたが、やがてテーブルの上にキッドのイラスト入りのメッセージカードが残されていることに気が付いた。

『探偵が大きくなるまで他の誰にも捕まらないと誓約いたします。――怪盗キッド』

おう! オッケーだぜ!!

オレは嬉しくなった。
元の姿に戻る楽しみがものすごく膨らんだ。

待ってろよ、キッド。

オレは読みかけていたミステリ本に栞のようにキッドのメッセージを挟んで胸に抱いた。

まだ明るい夕刻の空に、うっすらと輝く月が浮かんでいるのが見えていた。




20111008


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