名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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帰れない(コナン&キッド)

※通常パターン?の甘イチャです。

――――――――――――――――――

帰りたい。でも帰れない。

何故ならオレは怪盗を見守っていたから。


オレの体がフツーに高校生サイズでコイツを抱っこしておんぶして連れてけるんだったらモチロンさっさと抱っこしておんぶしてコイツを連れて帰りたい。

だが残念ながらオレはいま〝江戸川コナン〟に身を窶(やつ)していてコイツをどうにかしたくても出来ないお子様サイズの現状だ。
しかしだからといって他人に助けを求めるなんて勿体ねーことは絶対にしたくない。

……人の気も知らねーで、コイツ。

だいたい怪盗のくせに無防備すぎねぇか? 助けてくれたのは(癪に障るが)恩にきっけど、それにしても。
俺を前にして、こんな堂々と眠りこけるなんて。しかも計算し尽くしたようにシルクハットもモノクルもそのままに、白いシルクの手袋はめた両手を頬の下にしてマントの中で丸く小さくうずくまって。
――薄く開いた唇は蕾みたいに柔らかそうでどっかのアイドルの写真集にでも載っていそうな代物だ。
……誘ってんだろ。誘ってんだろ、コレ。これで誘ってないなんて有り得ない。

そうかそうか。そういう事なら仕方ない。

オレは眠りこける怪盗の横に座り込んだ。辺りはオレンジの空が広がり太陽と月が入れ替わる時刻。近寄る者のない埋め立て地、その湾岸に建設中の巨大な吊り橋の袂。折りよく休工中ときてる。

それにしても。
……どーしてコイツはいつも計ったようにオレのピンチに現れるのかな。

この前も。その前も。今日も危なかった。もう少しで犯人グループに拉致されて人質にされるところだった。コイツが助けてくれなけりゃ……。
こんな事ばっかされてたら……オレ、頼りにしちゃうじゃん。困ったらキッドがいつでも助けに来てくれるって思っちゃうじゃん。

……。

モノクルで隠れてない方の目。長い睫毛のナチュラルカールが繊細でキレイだ……。
コイツ、可愛い。実は前から思っていたけど…カワイイ。

すうすうと聞こえてくる小さな吐息。

……ごくん。



キッド。









ちゅ。







「へへっ」

「……」

「やったぁ」

「な…?」

「やったね! 名探偵がキスしてくれた~っ(#^_^#)!!」

「キ、キッドてめっ…、眠ってたんじゃないのかよっ??!?」

ふぁさ、と衣擦れの音をさせ体を起こすキッド。座り込んだまま手を広げて大きく伸びをする。

「ふぁ…寝てたよ! 名探偵が麻酔銃で俺を撃ったんじゃん! やっとここに降りたけど限界だったよ。眠くてもーシぬかと思った。危なく名探偵を抱えたまま墜落するとこだ。時と場合を考えろっつーの」

「………」

あれ? そうだっけ? オレが麻酔で眠らせたんだっけ。
脱出する時、かなりテンパってたからな……覚えてない。コイツにはこれまでも逃げられてばかりだったから、助けに現れてくれたのに、思わず撃っちゃったんだ……そういえば。忘れてた。オレのせいか!

「…ワリ。そんで…あんがと。助けてくれて」

「だいたい名探偵は無茶し過ぎなんだよ、いつも。危なくってほっとけねーし」

「それで…おまえいつも来てくれんの?」

「え?」

心なしかキッドが頬を赤らめる。夕焼けのせいかな。

「ま、べつに名探偵の後ばっか追っかけてるわけじゃねえぜ。ちゃんと俺は俺の目的が…そこにいっつも名探偵が絡んでくるんだろ」

「…………」

少しお互いにドギマギというか、こそばゆい雰囲気になる。

「カイト」

「……ん?」

「ありがとう」

「どーいたしまして。今頃犯人グループはアジトに乗り込んだ目暮警部や中森警部たちがとっ捕まえてくれてんだろ」

「だといいけど」

「大丈夫さ。警部たちが捕まえられないのはこの怪盗キッド様と名探偵コナンくんとのラブストーリーだけ」

「………おめ…ハズカシーことよく言うな」

「〝怪盗紳士〟ですから」

それからオレたちはもう一度ゆっくりとキスをしあった。夕闇が迫る中、潮騒と、上空を行き交うジャンボ機の轟音を遠く聞きながら。

帰れない。二人だけの世界から。








20120526




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