名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
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迷想(怪盗コルボー/初代キッド×優作)
※単独パラレル、コルボー正体不明設定、優作さん視点。
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「怪盗コルボー、君はいったい何者だ?!」

いきなり背後から呼びかけたにもかかわらず、黒衣の怪盗は驚いた様子もなくゆっくりと私を振り返った。



「これはこれは…。あなたは日本が誇る世界的ミステリー作家、工藤優作氏ではありませんか。こんな夜更けにこんな場所へ、あなたのように地位も名誉もある方が訪れるとはいただけませんな」

「私は君に会いに来たのだ、コルボー!」

林立するベガスの豪奢なビルに掲げられた、巨大で派手なネオン群。
風に煽られ翼のように大きくはためくコルボーの黒いマントが、その人工的な彩色の光を映して吸い込んでゆく。

確かに人と語らうには不向きな場所だ。
コルボーは私より一段高い看板の突端に佇んでいる。よくもこの風の中でバランスを崩さずに立っていられるものだ。
対して私はよじ登った広告塔の比較的太い柱に足を着き、両手で斜めに走る細い鉄棒に掴まって辛うじて姿勢を保っていた。
ふと足下を見て眩暈を起こし、思わずしがみつく。手に汗が滲んでいる。

ここは怪盗のテリトリーだ。しかしそんなことは元より覚悟の上で私はコルボーが現れるのを待っていたのだ。
意を決し、私は改めて声を張り上げた。

「怪盗コルボー、君は『黒羽盗一の亡霊は二人も必要ない』と言ったそうだが、その真意を尋ねたい!」

「…ほう」

モノクルとシルクハットで影になり、コルボーの表情は判らない。しかし笑みを湛えていた気配が、すっと怜悧なものに変わるのが判った。

「私のその言葉を、なぜあなたがご存知か。あの日本の…私とよく似た白い姿の怪盗キッドとやらに、何か託されましたか」

「そうではない。私が自分の意志で、君に問いに来たのだ!」

甦る記憶。
あの頃、今と同じように一対一で対峙した〝彼〟の姿が浮かび上がる。
華麗で、気障で、気品に満ち、あまねく罠をものともせず、颯爽と奇跡を成し遂げてみせた〝彼〟の姿が。

国際指名手配犯・コードナンバー1412。それが初代怪盗キッド、私の無二の好敵手だった。

コルボーは私を正面に見据えると、顔の前でシルクハットのツバをぐっと掴んだ。

「────あなたが怪盗キッドの協力者とは存じませんでした」

「そうではない。探偵である私の息子が、ある事件でキッドと共同戦線を張ったおりに君の〝言葉〟をキッドから聞いたというのだ」

「ますますもって不可解ですな。御子息は日本警察の救世主と詠われる〝高校生探偵〟では? それが怪盗と共同戦線とは」

「彼らは互いを認め合う好敵手同士なのだ。言葉では言い表せない絆を持つ、あの頃の───」

あの頃の、私と盗一のように…!

口には出さずとも、私たちは深い絆で結ばれていた。互いをかけがえない自分の半身と認め合い、慕い合っていたのだ。


「───あっ…!」


コルボーの顔が見たい。さらに上に登ろうとして、私はバランスを崩した。
片足が鉄柱から外れ、掴んでいた鉄棒から手が滑って離れる。

私はやはりどうかしていたのだろう。
〝彼〟と競い合っていたのは十年以上も昔の話だ。
息子から伝え聞いた〝怪盗コルボー〟がいったい何者なのか、それを考えると私は仕事どころではなくなった。
そしてとうとう妻にも告げずベガスまで来てしまったのだ。

作家として一端の実績を積みながら、私は〝彼〟を失って以降、仕事に没頭する事で大きすぎる喪失感から目を背け続けてきたのだ。引き篭もり同然の時期もあった。
挙げ句にいい歳をしてこんな所によじ登り足を滑らせ、無様な姿を曝すことになろうとは。

体勢を崩しながら、コルボーと目が合う。
いや、合った気がした。
自分への失望感と改めて知る喪失感に苛まれながら、私は落下した。

───ああ、そうだ…、このまま君のところへ行くのもいい…。

君の幻影を求め、正体不明の怪盗に近付こうとした私の無謀さを、君は笑うに違いない。
すまない…有希子。
新一、おまえには解るだろうか。
〝彼〟が消えた後も、私が〝彼〟の幻影を探し、追い続けてた事を。その想いを……。



ふわりと、体が浮いた気がした。

風を切る音。

〝彼〟の吐息が耳元を掠める。

遠のく意識の中で、私は〝彼〟に再会できた事を知った。
怪盗キッド。
盗一。君に再び逢えたのだとすれば、私は本望だ……。
本望なのだ。






・・ー・・・・・ー・・・・・ー・・

   

優ちゃんたら、心配したのよ。

「……」

有希子は穏やかに笑っていた。
私はまだ夢うつつだった。
白い部屋。白いベッド。どうやら病院にいるようだ。
頭上に吊された点滴のバックから、ポタリポタリと薬液が零れ落ちている。

私は生きていた。
有希子の手のひらが、私の頬に当てられる。柔らかく小さな手のひらだ。

後から聞いたことだが、私は気を失い、某ホテルの敷地内に倒れていたところを発見され、病院へ搬送されたそうだ

私は有希子を心配させたことを心底申し訳なく思った。
有希子の手に動かせる方の自分の手を重ね、ごめんよと呟やいた。有希子は小さく首を振って微笑んだ。そして訊きたい事がたくさんあるだろうに、一言〝早く元気になってね〟とだけ私に語りかけてくれた。
私はただ頷くことしか出来なかった。


コルボーと会った事が、まるで遠い夢のように思えた。

〝彼〟の吐息を間近に覚えた朧な記憶は、果たして本当だったのだろうか?
私の願望が生み出した、ただの錯覚に過ぎなかったのだろうか…。

とにかく、私はコルボーに命を救われたのだ。鉄柱で頭を打ち屋上に落下しかけた私を、コルボーが抱きかかえ、滑空して助けてくれた。

うとうとと微睡みながら、また私は夢を見る。〝彼〟が振り向き、私に向かって手を差し伸べる夢を。
そんなはずはないと頭で解っていても、残りの僅かな願望を、否定しきれない。

怪盗コルボー。

君は〝彼〟なのか。そうではないのか。

どちらなんだ……。







20150329

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※やっとupできました。が、全体に曖昧ですみません~(*_*;


●拍手御礼
カテゴリ☆噂の二人、☆デジャヴ、★新快前提の白快、同じく新快前提の平快、「真贋」「未明の道」「黒の鎖」「告白~風に消えた怪盗~」「リバース」「ぶるーぱろっと」、さらに昨年末から今年にかけての短編諸々など、拍手連打、ありがとうございましたーっ(^^)//

●ちょっとひとりごと
アニメまじ快1412、終わっちゃいましたね(T_T)。快斗くんも青子ちゃんもとても可愛かったなぁ~。白馬くんの制服姿、もっともっと見たかったなあ。ラストはオリジナル場面で紅子ちゃんも一緒で良かったです♪
そして映画『業火の向日葵』公開が近づくにつれ、公式HPの更新も活発になってきていて、ついつい浮き足立ってしまいます。公式グッズのブレスレット・キッド様バージョン、欲しいなぁ~(^^;)。映画、内容はあえて予測せずに臨みたいです。はやく見たいよ~(^^)。

   

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