名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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『共犯者~秘密の恋人』 探偵×怪盗

俺はとうとう怪盗キッドを捕まえた。
これまで何度となく追い詰めながらも逃げられ続けていた怪盗を、ついにこの手で捕らえたのだ。

だがしかし、今にして思えば体勢が――いや状況がまずかった。

すでに刑事達とはとっくにはぐれ、俺とキッドは一対一だった。それはよい。望むところだ。俺達の勝負に余計な手出しは不要だ。その点はキッドにも異論は無いはずだった。
互いに手の内を出し尽くし、もはや手にする武器も得物もマジックの種もなく、残るは気力体力だけの一騎打ちだった。

逃げては見付け、追い詰めてはすり抜けられているうちに、緊張は極限まで高まっていた。
だがそのうちにキッドの足元がふらつき始めた。しめた、と思った。逃げ回るキッドの方が消耗は激しい。俺はとうとう本当にキッドを追い詰め、追いつき、この手で捕まえたのだ。

互いに限界を超えていたので、捕まえたと同時にもつれるように倒れ込んだ。心臓が破けるかというほど鼓動は激しく、互いの呼吸は火のように荒かった。

商業ビルの屋上庭園の片隅だった。
雲間から丸い月が出ていた。気が付くと互いに重なり合ったまま見つめ合っていた。喉がカラカラだった。キッドは月明かりでもそうと判るくらい真っ赤な顔をして――瞳は大きく潤み(シルクハットもモノクルも倒れ込んだ時に落ちていたので)、息苦しそうに喘ぐ喉が細くて――俺はと言えばそんなキッドと目が合った途端に胸が締め付けられるように痛んで、死にそうに苦しくなった。
だからと言って掴んだ腕を離すなんてことは意地でもできず、しかしキッドの顔を見ていると気が変になりそうだったので、キッドを逃がさぬよう、そして目を逸らしてもいいように、体ごとキッドの上に覆い被さったんだ。逃がさないために。
ところがそれがいよいよマズかった。
お互いの乱れた呼吸や激しく響く鼓動、熱い体温が直に伝わって、俺達に取り返しのつかない事態を引き起こした。
『吊り橋効果』――。
吊り橋上で出会った男女が緊張感を共有して、そのドキドキを勘違いして恋に落ちるというアレだ。
ヤバいマズいと頭では思ったが、とにかく俺もキッドも限界で、そのドキドキに抗う理性はもはや残っていなかった。そして、あ――、とキッドの声が小さく漏れた時、全てが無になった。

誰も近づかない深夜の屋上庭園は密室と同じだった。
俺達は…最後まではかろうじていかなかったものの、それに限り無く近いところまでお互いを求め合い、お互いを知ってしまった。(最後までいくには冷静さも必要だが、俺達はただ夢中で自分達が何をしたいのかもわかっていなかったのだ)


そうして俺達は追うもの追われるものという相対する関係から、誰にも決して知られてはならない秘密を共有する『共犯者』へと変貌した。

俺は探偵として、キッドは怪盗としてそれぞれの生き方を変えることなく、しかし一方では離れ難い想いを抱き合った秘密の恋人同士として逢瀬する切ない日々が始まったのだ。

――もっとも、勘違いから始まった恋なんて、覚めるのも早いはず。そう内心では思っていたのだが、案に反して想いは深まりこそすれ一向に冷める気配はない。
二人でいる時だけが、なんの飾りも見栄もプライドも関係ない本当の自分の姿であることを知った。

キッドに一度だけ、上下関係(体位というか、セックスの時の役割の話だ)について異論は無いのか聞いてみた。俺達はあくまで対等の関係であることが互いの誇りだったから、一方的なのはどうかと思ったのだ。
キッドはしばし考えるように黙り込んだが、いまのままがよい、と言った。予想通りの答えだった。
なぜなら、あの思い出の屋上庭園で初めて体を重ね、堪えがたいほどの緊張を共有しあった時がそうだったからだ。あの時の息遣い、眩暈を感じるほどの激しい鼓動を蘇らせるのが、その時の位置関係だったのだ。


今夜は怪盗キッドの犯行予告の日だ。俺は先回りしてキッドを待つ。コナンだった頃、初めてキッドに対した時の記憶――月を背にふわりとビルの屋上に舞い降りた怪盗の白い姿とたなびくマントを、俺は忘れない。
そうだ…勘違いや思い過ごしではなかった。今ならわかる。
あの時から、俺はキッドを愛していた。
そう思いながら、今夜もキッドの登場を誰より楽しみに、誰より待ち遠しく――その白い姿を思い描きながら、怪盗を捕らえようとする探偵を俺は演じるのだ。





20110908




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