名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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ブルー・フォレスト《1/2》(新一×キッド)
※新一視点からスタート
──────────────────


湖畔に降りる堤防までの繁みにやっと辿り着く。

風速・風向きから、おそらくこの辺りだと見当をつけ、時計の細いライトを頼りにオレは真っ暗な木々の間へ分け入った。



「キッド! どこだ。いるのか」

少し離れているとはいえ、湖畔沿いは別荘地だ。あまり大声は出せない。
落ちた枝や枯れ葉の下の窪みに足を取られながら、オレは懸命に周囲に目を凝らした。

『…!』

木の枝が折れている。
一本じゃない。折れたところからぶら下がっているもの、完全に折れて地面に落ちているもの。
近付いてライトで照らして見ると、どれも折れ口が真新しいのがわかった。
足元を照らすと、草葉も押し潰されたように倒れている。

墜ちたのか、やっぱり。

「キッド!! どこだ、いるのか?!」


───ジャキ、と背後で音がして、後頭部に硬い金属が押し付けられた。


「しつけえな、名探偵。こんなトコまでご苦労さん」

「キッド!! 大丈夫なのか?!どこを撃たれた?」

「撃たれてねえよ、どこも」






ビッグジュエル “ブルー・フォレスト” 。

その名が示す通り、深い藍翠を湛えた宝石はプリンセスカットを施され、角度によってダイヤモンドにも劣らない強い輝きを放つ。
別名 “深森の姫君” と呼ばれ、殆んど外(おもて)に出ないことでも有名な稀少性の高さを誇る北欧の至宝だった。

その “ブルー・フォレスト” が、鈴木財閥の強力な伝手と財力により数十年ぶりに海を渡り、日本で公開されることになった。
まずは本公開前のプレイベントが行われることになり、“深森の姫君”に相応しい舞台としてこの場所が選ばれた。森の中の湖畔に建つ、旧華族の別邸だったという広大な敷地を持つ洋館。そこに招待客を集め、パーティーを兼ねた一晩だけの『特別展示』を開催することになったのだ。
怪盗キッドからの予告状が届いたのが五日前。オレに声がかかったのは三日前だった。

そして当日、今夜。

会場の空を彩るライトの中に現れた怪盗キッドの派手なパフォーマンス。
警察を翻弄し、オレの読みの裏の裏をかいて。
まんまと予告通りビッグジュエルを手にしたキッドは、雲間から顔を出した月に捧げるようにジュエルを高くかざして見せた。

その瞬間、電気が落ちた。

サーチライトが辺りを照らす頃には大量のブルーのスモークが会場内を覆い、招待客や警備の警官たちの混乱はさらに増した。
オレは姿勢を低くし、記憶していた見取り図に沿って移動し会場を抜け出した。

キッドの様子が気になった。
停電する直前、何かに弾かれたようにキッドは態勢を崩したのだ。
一瞬だったが、腹のあたりに手を当てて。








オレは両手を挙げると見せかけて、振り向きざまトランプ銃を構えるキッドの腕を掴んだ。

(チッ)とキッドが舌打ちする。

いつものキッドなら、こんなにアッサリ掴まえられはしないだろう。

───血の匂い。

「バーロォ、やっぱり撃たれてんじゃねーか!」

「うるせぇ」

深く被った黒のキャップ越しに睨んでくる瞳は闇の中でそこだけが光り、揺れている。

「キッド。素顔なんだな」

「んなわけあるか。これも変装だ」

「なら、なぜ顔を伏せる」

キッドの腕を掴んだまま引き寄せ、もう片方の手でキャップを奪った。

ふわりと前髪がおりて、その顔があらわになる。
だが、暗い。時計をしている方の腕でキッドを掴んでいるので、腕時計のライトは他を向いている。

「調子にのんなよ、名探偵」

言葉と裏腹に声が弱い。オレの手を振り解こうともしない。

はあっと息を吐くと、キッドは小さく『チキショ…』と呟き、オレの腕の中へずるずると崩れ落ちた。








・ ・ ・ ・ ・




まさか、スナイパーまで仕込んでいたとは。

日本の警察だけだったらいきなりの狙撃はない。警護の外人部隊か、あるいは怪盗を亡き者にしようとするパンドラ狙いの第三者か…。

警察の警備を潜り抜け、工藤との読み合いにも勝って首尾は上々だった。月が出ていないことだけを除いては。
だが、ショーを締めくくろうとしたとき、運良く雲が切れて月が顔を出した。
それで思わず身を晒したまま “ブルー・フォレスト” を月に翳してしまったんだ…。

その時に隙ができた。

撃たれて咄嗟にスモークのスイッチを入れたが、後は脱出するのがやっとだった。墜ちたうえに工藤に見つかって捕まるとは。
しまいには素顔まで見られて……。



「・・・・・」



ふと気付いてドキリと心臓が跳ねる。

ドコだ、ここ。

俺…何してる? 寝てたのか?

あれ、どこまでが現実だ…?

工藤に捕まって、キャップ取られて。

あれは…夢……?

『イテッ』

あちこち痛い。

夢じゃない。

撃たれて、墜落して。

動けなくなったところに工藤がやってきて、捕まった。

それから………?

それからどうなったんだ。

恐る恐る薄眼を開けて周囲を確かめる。

薄暗い。まだ夜は明けてない。

知らない部屋だ…アンティーク家具がある。

引かれているカーテンもやっぱりアンティーク調。

俺、なんでこんな部屋でベッドに寝てるんだ?

そっと手を動かす。

『………』

ああクソ。服を脱がされてる。

腹や腕には湿布や包帯が巻かれてるようだ。


───え。まさか。


俺の隣で誰か寝てる。

その誰かは見なくても判った。

工藤だった。





つづく

──────────────────



※久々正体のまだ明かされてないキッド様と新一です。単独パラレルで短編をと思いながら短くできず…もうちょっとだけ続きます(汗)。


●拍手御礼
「月光という名の真実」「工藤邸襲撃事件」

るり様、名無し様、拍手コメントありがとうございます!
アップ間隔が開くばかりで恐縮です(~_~;)。
(名無し様<誤字失礼しました!)



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