名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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若葉繁る日
※ハロ嫁・警察学校組余波の小咄です。
快斗くんとの妄想プチ邂逅、盗一さん視点。
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数カ月ぶりに自宅に戻っての休日、私は快斗に連れられて近所の公園へ向かっていた。


「おとうさん、見ててよ! おれ、てつぼうできるようになったんだから!」

「ほう。すごいな、快斗」

「おれのクラスでできるやつ、おれだけなんだよ!」

はしゃいで駆け出そうとする快斗の手を慌てて繋ぐ。

快斗が楽しそうで私もとても嬉しい。だが、実は快斗は数日前まで熱を出していたのだという。
千影から30分だけとお許しをもらっての束の間の “外出” だった。

「あの公園だよ!」

ぴょんぴょん跳ねながら私を見上げて快斗が指をさす。

「あさだからだれもいないね…、あっ」

快斗が急に立ち止まる。
鉄棒の側に若者が一人、佇んでいた。

「大丈夫だよ、快斗。あの人は鉄棒をしようとしてるわけではなさそうだから、ベンチの方に移動してもらおう」

快斗と話しながら若葉の繁る公園内に入っていくと、その若者も私たちの様子に気付いたようだ。
ふいと横を向いて歩き出し、鉄棒の前を開けてくれた。

「ありがとうございます」

会釈をすると、若者はチラッと私達を見て無言のまま僅かだが会釈を返してきた。

高校生くらいか。快斗のようなクセ毛を緩く跳ねさせ、頬にテープ判を貼っている。いかにも利かん気な横顔だ。とはいえ、荒れた感じはしない。

どことなく───快斗に似ている。

快斗もあと10年経てば、こんな若者に成長するのだろうか。

「……うさん、おとうさん、見てて!」

「あっ快斗、待ちなさい、いきなりは危ないよ」

つい若者を目で追って余所見をしていた間に、もう快斗は鉄棒に掴まり、大きく体を振り始めていた。

「いくぞぉ〜、いち、にの、さーん!!」

快斗の運動神経は、我が息子ながら飛び抜けている。それは確かだ。元怪盗淑女の血なのか───。

鉄棒に両足を掛けて勢いを付け、快斗が宙に飛び出す。

ふわっと浮いた快斗が、予想より遥かに高く宙を舞う。スローモーションのように。

はっとして一瞬固まった。

危ない!!

快斗が着地するだろう場所に、ちょうど鉄棒前の柵がある。

私としたことが。予測できない子供の動きから目を離してはいけなかったのだ。

このままでは、快斗が柵にぶつかって怪我をする───!




「わあ」

「わあ、じゃねーよ。チビスケのくせにスゲェ瞬発力だな、おまえ」

「快斗!!」

さっきの若者だった。私より先に事態を察し、快斗を空中で受け止めてくれたのだ。

「おじさん、おろしてよぉ、おとうさーん」

「な、なにいっ、お、おじさんだとぉ?!!」

「ありがとう、キミ、息子の恩人だ!」

私が礼を言って快斗を抱き受けると、若者は渋いような照れたような顔をした。

「このガ…、ボウヤ、はしゃいで鉄棒ブンブンしてたからちょっと気になって見てたんで…良かったです」

「感謝します。父親として大いに反省しなければ。よろしければお名前を伺いたいのですが」

「名前なんて…べつにいいッスよ」


──おお〜い、ジンペイちゃーん。

公園の入口から声がして、若者が振り向く。

「おせーぞハギ!!」

──ワリィワリィ。出掛けに姉貴につかまって買い物頼まれちゃってさ。その人たちは?

「なんでもねえ。いま行く!」

“ジンペイ“ と呼ばれた若者は「おれはおじさんじゃねーぞ!まだ高校生なんだからな」と快斗に向かって言い、走っていった。
もうひとりの “ハギ” と呼ばれた若者は人当たりのよい笑顔を浮かべ、私達に手を降っている。快斗が私の腕の中で小さく手を振り返した。

二人が公園から去ってしまうと、少し快斗がしょんぼりした様子で私に言った。

「おとうさん、あのひと、 “おじさん” って言ったからおこったのかな」

「そんなことないさ。でも、鉄棒はまた今度にしような。少しまだ熱っぽいぞ」

「ええ〜」

「快斗が鉄棒が得意なのはよくわかったよ。かわりに二人でブランコに乗ろう。タイムリミットまで、あと15分だぞ」

「は〜い!」






・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・



「ねえねえ、陣平ちゃん、さっきの人、黒羽盗一だろ。サインもらった?」

「は? 誰それ」

「やだなぁ、知らないの?! いま巷で大人気の超有名天才マジシャンだよ! 世界中からオファーがきて、最近はほとんど日本にいないらしいぜ」

「そうなのか? だからガキがあんなにはしゃいでたのか」

確かにそこらの父親のオーラじゃなかった。昔の、現役バリバリだった頃の親父のオーラをちょっと思い出したな…。

チビスケ、“かいと” って名前だったな。
おれを人生初おじさん呼ばわりしやがって。忘れねえぞ。
でもまあ、可愛い子だった。身軽で。
あのチビスケも将来有名人になるかもな。


「で、陣平ちゃん、進路決まったの?」

萩原(ハギ)の問いに頷き、俺は拳を空に突き出した。

警官になる。

“警察” に一発お見舞いしてやらなきゃ、気がすまねぇからな。






20220605
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※お粗末様です。盗一さんのマジックで高校生の松田さんをあっと言わせる…的なシーンを書きたかったんですが、話を持っていけませんでした(*_*;)。残念。
※原作の時間軸で快斗くんと安室さん・松田さんたちの年齢差は「12歳」だと思うんですが。劇場版「ハロウィンの花嫁」ラストで警察学校組と新一&蘭ちゃんが邂逅していますが、当時の新一たちは10歳くらいってことになるのかな? ここでは快斗くんが小学校一年生、松田さんたちは高校3年生の想定でした。


●拍手御礼
「眠り言」「リハビリ」



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