名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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共鳴《2/2》(新一×キッド)
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ふっと哀しげに微笑んだ怪盗が不意に囁いた。

「名探偵は、不老不死を信じますか?」



「えっ」


「この世界にそんな不条理を叶える方法があると、もし言われたら……名探偵はそれをお信じになりますか?」

夜風が一陣吹き抜け、キッドの長いマントが揺れた。

「馬鹿らしいと思うでしょう。しかし、その馬鹿らしい話を信じて、不老不死を得るために手段を選ばず他者を陥れる者たちが存在する」

「それじゃあ…まさか、ビッグジュエルが不老不死を得るために必要だっていうのか?」

突拍子もない話に驚きながら問い返した。
では〝それ〟を手に入れて、キッドはどうするつもりなのか。

「ウフフ」

小さく笑った怪盗は、やがて大きく口を開けて哄笑した。

「あっはっは!  まさか今の話を信じたのではないでしょうね? 元の姿に戻ってもお人好しは変わりませんね、名探偵」

「………キッド」

「そんな夢のような話があるわけないでしょう。あるわけないのに─────」

オレは視線を切っていたキッドに近付いた。
はっとした目をして、懐からトランプ銃を取り出すのに構わずキッドを抱き締める。

「な…、 工藤…?」

体を竦ませる怪盗の肩に顔を埋め、その孤独の匂いを深く胸に吸った。

怪盗の体は抱き締めてみると驚くほど華奢だった。小さい時には気付かなかった…この細い体に、オレは何度助けられたのか。
服を通して伝わる互いの鼓動は、同じ背丈になった今、不思議なほど響き合っていた。
反復する波動が温かくて、心地良くて、このままずっとくっ付いていたくなる。


「なんのつもりだ…? 放せ、工藤。俺を捕まえたつもりか」

「そうじゃない」

キッドが身じろぎ、足元がもつれる。それでもオレはキッドを放さなかった。
離れようと背くキッドの横顔に、何故だか胸が痛む。

何だろう、この感覚は。

まるで。胸の痛みまでシンクロしているかのようだ。
孤独に堪え、何かを嘆いているキッドの心の波動が伝わってくる。
切なくて、苦しくて────淋しい。



ジャキ、と、特徴のある音。トランプ銃の引き金を引く音だ。

「もうお暇(いとま)する時間です。お放しください」

パトカーのサイレンが聞こえていた。
オレは腕の力を緩めた。
ホッと息を付いたキッドがオレの首に押し当てていたトランプ銃を下ろす。オレはキッドの腕を掴んでもう一度自分の方へ引き寄せた。


見開かれたキッドの瞳は蒼く、その唇は冷たくて、柔らかかった。





バサリ。
マントを翻した怪盗が屋上庭園の縁に立ち、オレをちらと振り返る。
その瞳が揺れているように感じたのは、気のせいだろうか。

飛び立った白い翼を見送りながら、オレはキッドに強く惹かれている自分に今更のように気が付いた。


キッド。

おまえが知りたい。

おまえを知れば、オレたちの関係はきっと変わる。

オレはおまえを抱き締めたい。そしてオレのことも抱き返して欲しいんだ。

共鳴しあう心の波動は、きっとオレたち二人にしか解らないものに違いないから。





20131205
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※単独パラレル扱いにしておきますが、イメージはカテゴリ★インターセプトの前段階みたいなシチュエーションのつもりで書いてみました(*_*;

★拍手御礼
「共鳴」「隠れ損ねたお月様」そしてカテゴリ★インターセプト各話にちらほら拍手いただきました(^^;)。ありがとうございます!

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