名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
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連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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共鳴《1/2》(新一×キッド)
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青白く天に輝く立待の月。

深夜の屋上庭園。その東屋の屋根に佇み片手を持ち上げた怪盗は、やはりジュエルを月に翳していた。


キラリ。キッドの手元が妖しく光る。

─────あっ。

短く叫んでキッドが手を顔に近付ける。
その横顔に光が透け、赤く頬が揺らいで見えた。
輝いているのはビッグジュエル、南欧の秘宝とも呼ばれる〝レッド・シューティングスター〟。

キッドは暫くそうして覗き込んでいたが、不意に腕を降ろすとオレの方を振り向いた。

「!」

持っていたジュエルをオレに向かって弧を描くように放り投げる。
一歩踏み出してジュエルを受けとめてから、オレは改めてマントを靡かせて立つ怪盗の姿を見上げた。

「大袈裟な予告までして派手に盗んだってのに、どうして返すんだ」

「工藤新一…。いつ元の姿に戻った」

「オレの質問に答えろよ。なぜ返す?」

「俺の勝手だろ」

澄ました貌はいつもと同じ怪盗のそれだが、なぜか今その奥に秘めた傷みがオレにも伝わってくる。

これまでにも同じような事を繰り返してきたキッドだが、今夜は明らかに今までよりも落胆の色が濃い。鉄壁のポーカーフェイスに影が滲むほど。

「どうしてそんなにがっかりしてる?」

「────赤く輝く神秘のジュエル。〝当たり〟かと思ったが、やはり違った」

怪盗は吐き捨てるように呟くと、ふわりと軽い身のこなしでオレの目の前に舞い降りた。
不敵な微笑みに何かを押し隠して。

「よう、高校生探偵・工藤新一。おまえが戻ってきたってことは、小さな名探偵にはもう逢えないのか…? おめでとうと言いたいところだが、少しばかり淋しい気がするな」

「一番淋しいのはオレだ」

〝どうして?〟
そう訊き返されるかと思ったが、キッドはただ無言でオレを見詰め返した。


コナンはオレ。オレはコナン。
オレが元に戻ればコナンはいなくなる。当たり前なのに、いざ戻ってみると想像もしていなかった喪失感に戸惑う自分がいた。
まるで翼の片方を失ったかのような。
元に戻った喜びより、コナンを失くした寂しさの方が勝っている。馬鹿げた感傷だと解っていても。

今夜の怪盗が哀しげに見えるのは────オレのそんな〝感傷〟が被っているせいだろうか。
失ったもの。手に入らないものを求める虚しさに囚われた心が、まるで〝共鳴〟しているかのように。

「キッド。いったいおまえは何を探してるんだ…? ビッグジュエルばかり狙うのには、どんな意味がある?」

「さあ────」

オレの質問を軽く流して微笑んだ怪盗は、シルクハットのつばを指で摘まむと天を仰いで月を見詰めた。

囁くような問いが唇から零れ出る。


〝名探偵は、不老不死を信じますか…? 〟






共鳴《2/2》へつづく

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※短めですが分けました。さほど大きな展開はありません~(*_*;

※立待月(たちまちづき)
陰暦十七日のこと。日没後、立って待っているうちに月が上るところから。 立待ちとは〝眠らないで事の成るのを待つ〟という意味も。


●拍手御礼
「隠れ損ねたお月様」「蛇心」にも拍手いただきました。ありがとうございます(^。^;)///

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