名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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真逆の月(新一×キッド)
※2011.12.08~09 up「罠」の、なんとなくつづきです(++)。
★どなたか、「罠」ともども拍手ポチありがとうございました~(^^);//
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お手上げというように手を広げ、ヤツが振り向いた。



「どうして解った? 名探偵。俺が今夜ここに来ることが」

「解るさ。あれからずっとおまえのことだけ考えてたんだからな」

「そりゃ光栄だね」

「降りてこい、怪盗キッド!」

オレは腕時計型麻酔銃の照準を絞りながらキッドに呼びかけた。
素直に降りてくるか。それとも。

ふわ……とマントが膨らむ。

風を孕み、それ自体が生き物のように────まるで俺の心を弄ぶかのようにたなびいて。

ハッと目を見開く。我に返った。

目の前には怪盗キッド。モノクルに逆さの月。そしてオレの惚けた顔が映っていた。

「あっ!」

左手を弾かれた。麻酔の針が飛び出し、無駄になる。

「キッド、てめ…ッ」

「へへん。怪盗を眠らせて悪戯しようなんて探偵の風上にも置けないね」

「誰がイタズラだっ!」

「目的を言えっ、名探偵!」

「こっちのセリフだ、このコソドロッ」

交錯しながら二・三発やりあうが互いにヒットすることなく、間をおいて再び睨み合った。

「今度のターゲットは来週この最上階に展示されるブルーダイヤか!」

「さあね。たまたま降りただけさ」

「都合よく?」

「偶然さ」

キッドが白い手袋に包んだ左手を振り上げる。同時にオレはサッカーボールを膨らませていた。

「勝手に勘ぐってな名探偵! あばよっ」

「逃がすか!」

左手はフェイクだ。
俺はフェンスへ体を返そうとしていたキッドの右腕を狙い、増強シューズで思い切りシュートを放った。
ボールが加速する。

「うわっ!」

狙いどおりキッドの右手を弾いた!

キッドの手から仕掛けが飛び、その衝撃にキッドがバランスを崩す。今しかない。
オレを見たキッドが目を見開らく。勢いのまま、オレは突っ込んだ。







はあ、はあ、はあ・・・・。




暫く動けなかった。

苦しい。空気が足りない。


一分にも満たない対決だったが、呼吸する間もなかった。


うっ…、とキッドが呻く。

「────?」

抑えつけたキッドの様子がおかしい。
ドキリとして俺は体を起こした。

「キッド…、おいっ」

キッドの口から血が流れていた。俺は驚いて跳ね起きた。

「キッド?! おい、しっかりしろっ!」

思わず揺り起こそうとして手を止めた。頭を強打してたら、動かしてはまずい。

「キッド……!!」

怪盗は力を失い、ただ冷たいビルの屋上に身を横たえていた。

血の伝う頬に触れる。

閉じた睫毛が微かに震えた。モノクルがない。シルクハットも転がり落ち、柔らかくはねた髪が顔を覆っている……。


自分の鼓動を不意に意識した。


なぜ。

たった今まで相対していた〝宿敵〟なのに。

だが、忘れられずにいた。一度だけ重ねた唇の記憶。
あれは────飛行船事件の時。
あの時キッドはオレを助けてくれた。

囚われ、テログループの男たちに辱められようとしていたオレを、コイツは自分を盾にして……。

「・・・?」

怪盗がみじろぐ。浅い吐息。

…あ。

キッドの腕…が。

白い手袋の指先が…ゆらりと持ち上がって。そうっと探るように俺の腕から肩へとたどり、そして俺の頸に巻き付いた。


キッ…………。





温かな、憶えのあるキスだった。


柔らかく触れて…そっと重なり。包むように、微かに吐息だけを交わす。

甘く。






「・・・・エッ?」

「ごち! 名探偵の唇は何度いただいても旨めーぜっ」

「あ…あれ?!」


オレは固まっていた。わけがわからない。

見るとキッドは立ち上がり、モノクルを付けシルクハットを拾い上げるところだった。とっくに俺の腕を抜け出していた。

────唇には甘いチョコレートの味。

「いいね。この手は使える。名探偵が純情で助かったぜ!」

「なにいっ、待てキッド!!」


騙された。顔から火が出そうだ。
あの血がフェイクだったなんて!
いや、それより俺が〝あの時のキス〟を引きずってることがバレてるっ (@@)!!!

「キッド、気を失ってたんじゃなかったのか!!」

「ばっちり起きてたよ。名探偵が優しく〝かいほう〟してくれて感激だね!」

「こ、このやろうっ」

チクショー。〝介抱〟と〝解放〟を掛けてやがる。上手いがこの場合明らかにオレをバカにしてんだろ!!

「今夜はこれにてお暇(いとま)しますよ、名探偵。ごきげんよう!」

「キッド!」


キッドはひらりとフェンスに飛び乗ると、もはや止める手立てのないオレを振り向いた。
微笑んで────オレを見下ろす。

「近々お会いできますよ、名探偵。……それまで浮気すんなよっ!!」


う、うわき…?!


ふわっと白い残像だけ残して怪盗の姿は消えた。
風が吹いていた。
やっとオレは我に返った。今度こそ、本当に我に返った。

やってくれた。あの怪盗。
オレの純情、完璧もてあそびやがって!!!

なのに、こんなにドキドキしているのは何故だろう。
チョコレート味が…甘くて、美味しくて。もっと味わいたかったなんて、不謹慎にも思ってしまうのは何故だろう。

怪盗キッドめ。おぼえてろ。よくも欺きやがって。
このままじゃ絶対すまさねー!

遠ざかる白い翼に向かってつぶやいた。

予告状、待ってるからな。
おまえの予告を。
また逢うチャンスを。
待っているからな。怪盗キッド!!


このときのオレはまだ認識できていなかった。すでに怪盗とオレの立場が逆転していることに。
あの飛行船の中で夕焼けを見て駆け出した時、すでにオレはキッドの虜になっていたことに。

捕まえるはずのオレの方が────どうやらキッドに〝捕らわれようとしている〟ことに。








20120918

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あとがき

うひー。前回からだいぶ間をおいての、なんとなくの『続編』でした。
前回がなんとなく K新ぽかった?ので、今回もなんとなくそんな感じになってます。深い意図はありません。なんとなくです! ご了承ください…(^^;)。


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