名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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二人/快斗《2/4》(新一×快斗)

――――――――――――――――


まさか、こんな事が起きるとは思ってなかった。

黒羽快斗として工藤新一と出逢い、友人の一人として行き来が始まったばかりか、互いに特別な想いを抱き合うようになるなんて。


アドバンテージは俺にある――はずだった。

探偵は俺が〝怪盗キッド〟だとはもちろん知らない。

避けようと思えば避けられたし、近付かなければよかったのだ。
なのにそうしなかった。

解っていたのに、頭の中の警告を無視して俺が自分で深みに入っていったのだ。
あらゆる場面で発揮される工藤の〝芯の強さ〟が、〝潔さ〟が俺は羨ましくて――目が離せなくなっていた。俺に欠けているものを、工藤は持っていた。


友人達を交えた付き合いから抜け出し、一対一の〝交際〟へと変化した頃から、工藤が俺に向ける本気の想いを実感するようになった。
戸惑いはあったが、不快には思わなかった。
それどころか、俺自身も―――。



今からでも遅くない。立ち去るべきだ……工藤のもとから。
いつまでも隠しおおせるわけがない。遅かれ早かれ探偵は気が付く。
あるいは、俺自身が自らの秘密を探偵に仄(ほの)めかしてしまうかもしれない。

一方で……知られてもかまわない、どうなってもかまわない、という気持ちがどこかにある。
気付いた時、探偵はどうするのか。
俺の〝裏切り〟だと、探偵を騙したのだと――俺を憎むだろうか。
俺は工藤を、傷付けてしまうのだろうか。



分からない。

誰にも知られるわけにいかない正体をよりによって探偵に晒して、素顔だけでなく……俺自身を、自分でもまだ知らない自分のすべてを探偵の前に投げ出そうとしている。

そんな事が、いま、本当に起きようとしている。


ソファーに座った俺の前に、工藤が膝を着く。工藤の掌が俺の頬からうなじへとたどってゆく。
真っ直ぐに向けられる眼差しは、やはり俺にとっては疚(やま)しい心を灼かれるようで、とても受け止めきれない。

快斗…おまえが好きだ、と工藤が囁く。許してくれないか……と。


俺は――――俺はどうすればいい。

工藤が好きだ、俺も。

でも俺にはそれを口にする…伝える勇気はない。拒絶する意志の強さすらない。

快斗。と、もう一度工藤が震える声で問いかける。
工藤も不安なのだ。なのに、俺は卑怯だ。嘘つきの――卑怯者だ。


「……後悔する」

「え?」

「工藤、きっと後悔するよ」

「どうして。快斗がそばにいてくれるなら、どんなことになっても俺は後悔なんかしない」


頭と両肩を丸ごとかかえこむように工藤に抱きしめられる。

一線を越える夜が、訪れようとしていた。




――――――――――――――――
二人/新一と快斗《3/4》へつづく
(R18)

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