名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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合鍵(新一×快斗)

※お気楽編です。
――――――――――――――――


快斗が戻ってこない。

待ちきれなくなったオレは黒羽家の自宅に入り込んだ。

入り込んだ――というのは、まあ正確に言えば勝手に上がり込んだという事だ。以前隙を見てこっそり作っておいた合鍵がある。騙し合いもオレたちの場合は愛情表現の一つだから良心は痛まない。
だいたいアイツはオレの家には入りたい放題なのに、自分の家にはなかなかオレを近づけようとしない(分からないでもないが)。

とりあえず居間のソファーに座る。ふと見ると、向かいの壁紙に何故か傷が付いてる。顔を近付けると……どうやら例のトランプ銃を撃った跡ではないかと思われた。

なーにやってんだ、あのバカ。なんで自宅の居間でトランプ銃。母親は海外で当分戻る予定はないと言っていたが、これ戻ってきたら怒るだろ。

……いや待て。
座り直して気が付いた。

これ、この向かいに誰か座ってる時の、ちょうど頭の左右に撃ち込んだ跡だ。
いったい……誰に向かって。






玄関の鍵を開けて家に入った。
鍵はちゃんと閉まっていたのに。
「……」
なっ…、誰だよこの靴。工藤か?!
あんにゃろ、まさか勝手に中に?

「工藤っ!!」

居間に座ってる後ろ頭が見えたのでアタマきて怒鳴った。しかし動きゃしねぇ。
覗き込むと寝込んでやがる。しかも酒くせー! テーブルに乗ってんのは俺が寺井ちゃんのために漬けてとっておいた梅酒の瓶! 最後の一本なのに、おいおいっ、空じゃねーかよっ!!

「テメーッ! ふざけんなっ!」

襟首掴んで揺さぶったが完全に潰れてやがる。こいつ、まんま呑んだのか、一本全部? バカじゃねー?!

ふうう、と熱い息を吐いて工藤が目を開けた。開けたと言ってもでろんでろんの酔っ払いの目だ。
名探偵……世間がこんなトコ見たら引くぜ。仮にも全国的カリスマ〝アイドル〟なんだからさぁ。原液呑むなよこんなに。わかんだろ、どーなるか。下手すっと急性アル中で病院行きだぜ。

「………」

ちょっと心配になってきた。
ここで死なれちゃ困る。ケーサツ来ちゃうじゃんか。

「工藤っ! しっかりしろよっ。何やってんだよ」

「……んー。おかぇりぃ…」

「勝手に何やってんだよっ、他の部屋入ってねぇだろうな?!」

酔っ払いは正直だ。嘘をつけるほど脳が働いてない。名探偵と言えどもこれだけ酔っていては常人以下だろう。

「はぃっ、ひっく、…てなぃよー。おこんだろぉんなことひたらー」

呂律まわってないし。百年の恋も醒めますけど~名探偵!

「バカやろう。梅酒空けちゃいやがって。これすんげぇアルコール度数高いんだぜ」

「んぅー、ん…んまかった……びしぃかったからぁー」

「は?」なんて言った?

膝を着いて覗き込んでた俺に、工藤はいきなりガバッと抱き付いてきた。体が熱いし、ほんと梅酒くせっ。

「かいと…まってた……ずぅと…」

「えっ…」

……………………

次の言葉を待ってたら、工藤のヤツすぴー、と寝息を起て始めた。

なんだよぅ、オイオイ。
なんか今ちょっと嬉しいようなドキッとするような事言ってくれてたのに。
惜しいけど、これ寝込んだら当分起きねぇな……。

仕方ない。梅酒呑んじゃったのは〝ツケ〟にしといて、あとで何かで払わせてやろう。
それにしても。

このとこ行き違いで逢ってなかったからな。お互い意地張って、自分からはなかなか連絡しねぇし。工藤のヤツ、素面(しらふ)じゃ待っていられなかったのかな……。

ぐーすか赤い顔して寝入ってしまった工藤をよいしょとソファーに押し戻して布団を掛けた。
やれやれ。

「……」

テーブルの上の空けられたボトルのラベル。「Gちゃん」とマジックで書いてある。やべ。だから家に入れたくないんだよ。
これで探偵に第三者の存在が完全にバレたな。参った。ここへ寺井ちゃんを呼びにくくなっちまった。
クソこの名探偵。もしかして――この壁に突き刺さったトランプの跡にも気が付いたかな。

すぴすぴと可笑しな寝息をたてて暢気に寝込んでいる探偵の額をいらだち紛れに小突いてから、俺も向かいのソファーの上にごろりと寝転んだ。

まぁいいや。
意地っ張りな探偵は、自分からあれこれ細かく聞いてくることはないだろう。俺はせいぜい知らん顔をして――どんな小さな謎でも謎には違いないから――せっかくだから探偵の気を引けるだけ引いてやろう。

あああ。俺だって梅酒飲みたいの我慢してとっといたのになぁ。
そんなヘーワなことをぼんやり考えながら、うたた寝する。探偵のへんてこなイビキを聞きながら。不思議と満ち足りた気分に浸りながら。




20111115

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