名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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月に願いを《2/2》
(新一×快斗)
――――――――――――――――


いい感じの三日月の夜だ。

久々に登場する怪盗のタイトルバックに相応しい。

探偵は俺の予告状を見て今か今かと待ち構えているはずだ。
予告状には『三日月が西の空に傾く頃』としか書かなかった。時刻をきっちり知らせずに幅を持たせて焦らすのも演出だぜ。

――とはいえ、焦らしすぎるのも興醒めだろう。そろそろ行くか!



探偵は指示通り自室以外の灯は落とし、自室の明かりもテーブルライトだけにして待っていた。
大きく開け放したバルコニーの窓。カーテンが風になびいて、まるで屋敷自体が俺を誘っているかのようだ。

いつか――名探偵が〝小さかった〟頃、初めて出逢った時の姿を再現させる。
音をたてないように、俺は目的の場所へふわりと舞い降りた。

部屋の中で立派な肘掛け付きチェアーに深く腰掛けて待っていた探偵がゆっくりと立ち上がる。
その姿を目にして、胸の奥で何かがざわめいた。

……おかしい。予想と違う。

約束通りの逢瀬。
すべてが予定調和の戯れのはずだった。
なのに……なぜこんなに緊張するのだろう。どうしてこんな気が遠くなるほどの鼓動の高鳴りを覚えるのか。
バカだな、と心の中で自分に言い聞かせる。お遊びじゃねーか。探偵のワガママに付き合って、コスチュームプレイを楽しむようなもんだろ、と。

そう、そのはずだ。

立ち上がった工藤がバルコニーに佇む俺の元へ静かに歩み寄る。

「おっと……名探偵、止まって下さい。そう簡単に怪盗が手に入るとお思いですか」

自分でも不思議だが、キッドでいる時は声音も口調も意識せずとも素の時とは変わる。
俺はトランプ銃を構えて正面の探偵に突き付けた。

「……キッド」

工藤の声が掠れていた。
ぎゅっと掴まれたように胸が締め付けられる。

探偵をからかう〝セリフ〟はいくつも用意してきたつもりだった。だが……工藤の、あまりに真摯な眼差しを見たら、一瞬でそのすべてが吹き飛んでしまった。

工藤の前で偽りはきかない。

俺は〝怪盗キッド〟であり、黒羽快斗だった。違うカードに見せかけているだけ。キッドも、快斗も、どちらも紛れもなく〝俺〟という一枚のカードなんだ。

工藤の手が伸び、俺が手にしたトランプ銃をそっと奪いとる。

(――あ…)

重ねられる唇。
息が止まる。緊張が伝わってしまう。

どうしてしまったんだろう、俺は。
〝魔法使い〟役は俺のはずなのに、これではまるで――魔法にかけられているのは俺の方だ。

カタリと音がして、トランプ銃が工藤の手から床に落ちた。
今度はシルクハットが俺の頭から取り去られる。

「………………」

風に揺れる木々の音と、互いの吐息だけが耳に響く。
『キッド』と、もう一度工藤が俺を呼んだ。
見つめ返す俺の右目に工藤の視線が移る。そして――工藤の指がモノクルにかかり……モノクルが外された。

初めて自分以外の者の手によってキッドの姿から黒羽快斗に戻った。シナリオ通りだったにも関わらず、それは驚くほど切ない瞬間だった。

キッドの表情から黒羽快斗に戻った俺の顔を見て、工藤は微笑んだ。
この上もなく優しく微笑んだ工藤は、俺を見つめ、俺の名を呼んだ。

「快斗」

「……そうだよ」

「快斗――」

「そうだよ、工藤……。俺だよ」

笑い出してしまいそうなくらい当たり前の事なのに。
どうしてだか分からないほど嬉しかった。嬉しくてたまらなくなった。

俺だよ、と繰り返して勢いよく工藤に抱きつくと、工藤も嬉しそうに笑い、しっかりと俺を抱き返してくれた。


やがて二人して倒れ込んで見上げた夜空には、朧(おぼろ)に霞んだ三日月が西の空に美しく淡く輝いていた。



20111103

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