名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

If《4》(新一×快斗)
―――――――――――


「――あ、イテ…テ……」

オレの下敷きになっていた黒羽がピクリと動いて呻いた。


まずった。へばって抑えが効かなかった。意地になって黒羽を捕まえようと飛び出したが、足がもつれて黒羽を抱えたまま階段を数段転げ落ちた。

下はコンクリだ。
どうしよう。もしかしたら大怪我をさせてしまったかもしれない。

「う、うう……」

黒羽が頭を押さえてまた呻いた。
俺もあちこち打って痛かったが、それどころじゃない。

「大丈夫か…黒羽! ごめん、オレ――」

ふと、黒羽が涙目でオレを振り仰いだ。
眼差しが朦朧としてる。
脳震とうかも。脳震とうだけならまだいいが。

「…………」

突然、黒羽との距離があまりに近い事に気が付いて心臓がギュッとなった。

お――おかしいぞ、オレ。

なんでさっきから黒羽を意識するとバクバクすんだ。
やばい。まずい。なんか本当におかしな気分になってきた。

ぼんやりとオレを見上げている黒羽の薄く開いた口元に目が吸い寄せられる。
唇が――きれいなサクラ色して……………







『……え……? え――?!』


ええ?!!


俺……いま、工藤とキス…してる?


う、う、うそ。

動け、ない――!

眩暈が……眩暈がひどい。アタマ打ったからか。それとも。



―――― 長いし!!

まだ、離れない。長げぇぞ工藤!

アタマ変になる。

苦しくなって工藤の下でもがいた。

もがいたつもりだったが、ためだ。体に力が入らない。なんかもう……
いいかって気になる。減るもんじゃないし。女でもねーのにキャーとか騒ぐのもヘンだし。

だいたいコイツ、どうして急に会いに来たんだろ。
サッカーの試合の時に工藤も来てて驚いたけど。すれ違ったが、別に話もしなかった。
――さっき…模試がどうとか言ってたっけ。結果見てねぇや。それに名前が出てたって――?


ほんの数秒だったのか、数十秒だったのか。実際どのくらいの間唇が接していたのか分からないが、頭の中はグルグル回って何度も何度も同じことを考えた。そうでもしなけりゃ本当にアタマ変になりそうだったから。


やっと工藤が俺の上からどいて、呼吸が楽になった。
ゴロリと体を返した工藤が俺の横に並んで寝転がる。

辺りに人影はない。堤防の向こうから遠く行き過ぎる車や電車の音が届いてくるくらいだ。

俺も工藤も黙って寝転んでた。
青い空と雲を見ながら。


「……ゴメン」

ったく。謝るくらいならイキナリあんな長げーキスするな。

「怪我、大丈夫か?」

そっちかよ。

「……ん。ちょっと頭打ってクラクラすっけど。タンコブ出来た」

「頭は怖いから、医者行った方がいい。あまり動き回らないで」

「う、うん……」

気まずい。工藤の方を見れねぇ。

「責任とれよな、工藤」

「えっ」

「ファーストキスをヤロウに奪われるとは思ってなかった」

半分照れ隠しで言ったのだが、工藤が横で声を詰まらせて固まる様子が分かった。

予定通り事が進めば、来週俺は怪盗キッドとしてここにいる探偵と再び顔を合わせる事になるだろう。

探偵が現状俺をキッドだと疑っている様子はない。――ない、と思うのだが。
それにしても、この先やりにくくなりそうだ。

「……黒羽」

「ん?」

「オレと――付き合ってくれ」

「…………」

今度は俺が絶句する番だった。

くそ真面目な探偵は、さっきの俺の言葉を真に受けたのだろうか。

ていうか、最初に正門で会った時にコイツ告りにきたって顔してんな~、とは感じたんだ。
でもまさか本当にそうなるとは。

内心うろたえていると、すぐ真上で車が停まる音がした。ドアが開く音がして……堤防から白馬が現れた。


「どうしたんですか!」

工藤が体を起こして手短に(部分的に省略して)俺が頭を打ったから、医者に連れて行ってほしいと頼んでいる。

憮然とした白馬に抱き起こされた。
そのまま俺を抱き上げようとするので慌てて白馬を押しのけた。
コイツら二人とも俺を惑わすのやめてほしい。

「…自分で立てますか、黒羽くん」

「大丈夫だよ、医者なんて行かなくても」

「だめだ、行かなきゃ」
「行かなきゃいけません!」

工藤と白馬に同時に言われて、俺はもうなすがままにすることにした。

白馬んちの黒塗り運転手付きの車に乗せられて、道端に残る工藤とそのまま別れた。

やっぱり打った頭が痛くて、俺は白馬に叱られながら(俺の保護者のようなつもりらしい?)車で医者に連れてかれた。




――タンコブが痛い。

夜になって風呂に入ると体のあちこちにも青あざや擦り傷ができていた。

工藤も……同じように出来ただろう自分の痣を鏡で見てるかな。

気付けば工藤のこと思い出してばかりいる。
キスが強烈すぎたんだ。ただ重ねただけのキスだったけど……温かかった。







一週間後、俺達は月下で再び相見(あいまみ)える。

その時に試されるだろう。



俺とおまえの本性が――――。







20111015

―――――――――――――


一応《4》で終了です。

そして白馬くん…やっぱりゴメンナサイ;;

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