名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

ブログ内検索
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 13
15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
ronin
性別:
女性
自己紹介:
2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

奇跡(新一×快斗)
※快斗くん視点、ショートです。
────────────────────────────────

午後の陽射しを感じながら、うとうとと微睡んでいた。

ああ…いま俺は夢を見てるんだなあと思いながら。


いや、これは夢ではなく〝記憶〟か。

ほんの少し前の。俺が怪盗だった、最後の夜の…。


手にしたジュエルを満月に翳した。

本当に在るのかと疑った奇跡の宝石が、自分の手に握られていた。

赤く煌めく神秘の光を宿した〝パンドラ〟。

どれほどの価値があろうと、どれだけの奇跡を齎(もたら)そうとも、俺にとっては打ち砕く事だけが目的だった宝石。



ふわり。

「…………」

髪に手が置かれたのに気がつく。

ふわり。ふわり。

工藤……。帰ったのか。

「おかえり」

「…だよっ、起きてたのか」

ソファにうつ伏せたまま目を開けると、工藤はさっと手を引っ込めた。

もう一度『おかえり』と言いながら体を起こすと、工藤も『ただいま』と言って俺の隣に並んで腰を下ろした。

工藤邸のリビング。穏やかな午後。
こんな日が訪れるとは、思ってもみなかった。


「どした。…泣いてんのか?」

「ばぁか。欠伸だよ」

そう言うと、工藤はふうんと首を傾げた。俺の頭に手をまわし、グイと自分の胸元に引き寄せる。

ぎゅっと抱き締められた耳に聞こえてきたのは、工藤の鼓動だった。少し速い。
なにドキドキしてんだよ、と言ったら、アホゥ、帰ってきたばかりだからだ、と工藤は言い返した。


窓の外に小鳥たちの囀(さえず)りが行き交う。

奇跡はパンドラなんかじゃない。

今こうしていること。隣にある温もり。工藤と過ごすこれからの日々こそが、俺にとって何ものにも代え難い〝奇跡〟だった。
本当の奇跡を、俺は手に入れたのだ。





20130326

拍手[10回]