名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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★林檎さま、いつも拍手コメントありがとうございます! このつづき?!あるかもですが、ないかも(汗)?

掠れた記憶(新一×快斗)
※快斗くん視点のショート、映画『世紀末の魔術師』より1シーン引用の軽い妄想(汗)。詳細は省略です(*_*;
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気持ちワルい。

どこだ、ここ。



ひどい胸焼け。頭が痛い。吐き気がする。

「……………」


薄暗い室内。目だけで見回す。
俺の部屋じゃない。
ここは…確か、工藤の部屋だ。主はいない。

ええっと。………どうした?俺。
気持ちワル過ぎて思い出せない。

俺、なんで工藤んとこにいるんだっけ。

それも一人で。






うつら。うつら。

起きようと思うけど、起きられない。

今がいつだか。どのくらいこうしてるんだか。
思い出すのがめんどくさくて。

だるくて。
どうしようもない…。





薄闇に紛れながら指先だけそっと動かした。

消えては浮かぶ記憶の断面を辿る。
自分が自分であることを、ぼんやりと確かめる。


俺は、黒羽快斗。
高校二年生。ちゃんと憶えてる。

なんで、ここにいる?

ここは……工藤新一の家。工藤の部屋。

俺は知ってる。この場所を……。

どうして…?


「…………」


工藤新一は……俺の……。




目を開けた。指だけ動かしていた自分の手をみる。

包帯。

ケガしてる……?

寝返りをうった。
ぐらぐらする。やはり頭が痛くて気持ち悪い。体は大丈夫なのか。
動くのが億劫でアチコチ痺れていてつらいが、どうやら動かせないところはないようだ。

思い出せ。
俺は、ケガをした。
どうして?
どうして、ケガをしてる?

キーンとこめかみに激痛が走る。思わず頭を押さえると、頭にも包帯をしている事に気が付いた。

そうか。頭を打ったんだ。

そう思ったらガンガンと後頭部が痛み出した。
うえ。くるしい。痛てええ。

頭が重く、気持ちが悪くて動けるか分からなかったけど、とにかく状況が判らないのが不安で起き上がろうとした。

「……くどう?」

工藤は。どこだ。いないのか。

「工藤…!」

大声で呼んでいるつもりでも、掠れた小さな声しか出ない。

「工藤!!」

叫んで、ベッドから転がり落ちた。
立てない。
体が重い。
どうした、俺。

ドアまで這いずって、壁に縋ってなんとか体を起こした。
ぐらり。倒れ込みそうなのを堪える。

俺は─────そうだ。



撃たれた、のか。
そして墜ちた。

よく憶えてないけど…モノクルに赤いライトが反射して、あっと思った直後には衝撃をうけていた。
狙撃自体は避けられたようだが…立て直せずに失速したんだ。俺としたことが。

だけど墜ちたのは、湾岸のK地区だった。埠頭に墜ちたんだ…。

それがどうして、ここに?








工藤新一の家。ふらふら下に降りてみたが、なんの気配もない。
誰もいないのか。

工藤が俺を手当して、ここに連れてきたんだろうか?
どうやって…。

真っ暗なフロアに入ろうとしたら、絨毯に躓いて前のめりに倒れた。情け無い。
どうしよう。動けない。眠い。
…寒くはない。

工藤。

おまえは、俺の……いったいなんなんだ ?











(快斗!)

………………


(快斗!)


誰。俺を呼ぶのは。


ぐらぐら。うええっ。
揺さぶるな、シヌ!!

「快斗!」

「バカヤロー、揺さぶるな!!」

「快斗!」

「………………」

目を開けると、目の前に工藤がいた。
目の真ん前。息がかかるくらいに。
近すぎて眩暈がする。オエエと言ったら、工藤が慌てた声を出した。

「馬鹿、動き回るからだ! おとなしく待ってろって言ってったろうが」

「…そうだっけ」

あれ。俺、いつからこんなに工藤と親しいんだっけ。快斗と呼ばれてもなんともない。
そんなはずないのに。夢かな、これ。
だって、俺と工藤は────。

「うわ」

工藤に抱き上げられた。
くらくらするし、熱が出そうな気分になる。

「あ、あの」

「黙ってろ、馬鹿。おまえ記憶障害起こしてたんだぞ。本当なら病院行きだったんだ」

「……………」

記憶障害。

そうか。だからよく憶えてないのか。
工藤とこんなに親しげにしてるなんて、いつから俺……?


「いいか、知り合いの医者を呼ぶから、じっとしてろよ。 事件の関係者でワケアリだって言ってあるんだから、余計なことしゃべんな! …もしもし!」

俺をベッドに寝かせると工藤は携帯を取り出してどこかに電話をかけ始めた。

ベッドに体を沈ませた俺は、いまだに重たく怠い頭と体に自分が受けた傷が浅くないことを認識して、素直に目を閉じた。


よく憶えてないけど。

俺は怪盗。

工藤は探偵。

なのに、互いの立場を超えて、どうやらおかしな共闘関係(もしくは友人関係?)を築いているようだ。

こんなに怠いのは、頭を打ったのと、もしかして注射でもうたれたからかな。

額に置かれた工藤の手のひらの優しさにホッとする自分がいて、意外さに驚きながら息を吐く。

次に目覚めたら……思い出しているかな。

工藤のこと。

工藤は俺の……宿敵なのか、友人なのか、交渉相手とか…、もしかして単なる捕虜なのか。

そうじゃないことは、自分自身の落ち着き加減で解ったけれど。それでも不思議な思いは消えなくて。

そっと目を開けて、名を呼んでみた。

「くどう…」

「大丈夫。二三日は絶対安静って言ってたけど…よく寝て休めば戻るから。元気になれば思い出すさ、いろいろ」

「…………」

「だから今はなにも考えないで休め。明日はずっと付いてるから」

まるで恋人に語りかけるかのような工藤の眼差しと声に、素直に頷く自分がいる。
無意識に手を差し出していたようだ。工藤が俺の手を握ってくれる。

「おやすみ、快斗」

そのあと〝愛してる〟と言われた気がしたが、まさかさすがに気の迷いだと思って俺は目を閉じた。
今度こそ、安心して。深く深く眠るために。








20121119


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