名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

ブログ内検索
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 13
15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
ronin
性別:
女性
自己紹介:
2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

欠落月(新一×快斗)

※2011.12.19up『赤い月』にどなたか拍手下さったので同じイメージで二作目書いてみました。さらにダークなので少々ご注意を。
このブログでは数少ない〝惑わせ系〟の快斗くんです…。

――――――――――――――――――


低く西の空に三日月が浮かんでいた。



今にも闇に沈みそうな――俺の不安を募らせる――鈍く赤い、大きな三日月が。


少し目を離した隙に、その月はすでに闇に隠れてしまっていた。

いくら先ほどの空を見ても、もうどこにもない。
なぜだか耳の奥に引きつるような異音が響く……そんな気がした。





カタリ、と微かに侵入者の気配が届いた。すぐにベッドから起き上がってベランダに出る。


目の前にうずくまる黒衣の快斗がいた。


「どうした?」

「名探偵は……耳がいいな。それとも…俺を待っててくれたのかな」

掠れた声。
――血の匂いがした。

「立てるか」

「平気さ。どうってことねぇ。少し……」

快斗が言葉を途切らせる。息を詰まらせ、俺の腕に縋ってやっと起き上がった。

「手当てを」

「なに言ってんの」

くく、と快斗が笑う。霞むような眼差しで俺を見上げて。

「そんな事して欲しくて来たんじゃねえよ。名探偵は」

素直じゃないね――。そう囁いて、快斗は俺に血の味がするキスをした。

「……よせ」

「痩せ我慢することないだろ。したいことすればいいだけさ」

「快斗――!」

快斗の指が俺の背をなぞる。

俺は……どうしようもなくて、快斗が言う〝誘惑〟に引きずり込まれる自分を恐れ、思わず手を振り上げて――快斗の頬を打っていた。

傷を負った快斗は簡単に崩れ落ち、ベランダの手すりに背中からぶつかるように倒れ込んだ。

「……!」

ハッとして快斗の側に駆け寄った。

「気がすんだ…?」

しゃがんで快斗の様子を覗き込んだ俺の首に、快斗が腕を回す。俺の耳朶を温かな――快斗の舌がなぞると、ぞくりと肌が粟立った。

クスクスと囁く怪盗の嗤いが俺の耳の奥を軋ませ、脳髄を痺れさせる。

俺は快斗を抱き上げた。



部屋に響く…掠れた快斗の笑い声が、俺の焦燥の火を煽る。俺の理性の箍(たが)を外し、俺を人ではない――獣に変える。

いや……快斗のせいじゃない。

俺の本性が浮かび上がる。
それを快斗のせいにしているだけ。

狂うのは俺自身だ。

解っても、一度外れた箍は戻らない。


アハハと高く哄う獲物の傷付いた素肌を暴くと、俺は沸点を超えた意識の奥で――その血が自分の体にもまとわりつくのを愉しみ始めた。






20120228


拍手[7回]