名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

ブログ内検索
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 13
15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
ronin
性別:
女性
自己紹介:
2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

自業自得《快斗サイド》(新一×快斗)
※カテゴリが違うのですが 2012.7.31~8.2up「黒の鎖」のつづきであり、同 8.4up「開かない扉」と対の内容になっています。
────────────────────────────────

〝ブブブ。ガタガタガタ〟

床が振動している……。携帯のバイブか。

いま、何時だ…?


目を開けると、寝転がっていた暗い空間のすぐ脇に俺の携帯が転がっていた。
振動しながら青いライトが点滅している。

痺れる腕を伸ばして手に取り、画面を覗く。〝910〟という数字が表示されていた。

工藤。

瞬くように甦る記憶。
情けない。容易く拉致され、ここに繋がれた。質問への回答を拒む俺を、あの男は『強情だね』と呆れ顔をしながら見つめ、俺の脆さを見透かしたように手を伸ばした─────。

「…………」

電話のコールはなかなか止まない。急かすように細かく振動し続けている。
ひとつ息をついてから、俺は携帯のボタンを押した。

「もしもし。俺」

低く発した声。大丈夫。震えてはいない。

『快斗! なかなか出ねーから心配してたんだぞ』

「親かよ。…基本、音消してっからさ」

半分怒鳴るような工藤の声だった。
そういや、このとこあまり連絡してなかったっけ。

『家かよ?』

「まだ出先」

…ここはどこだろう。拉致された場所から、そう離れてるとは思えないけど。

俺を見下ろして微笑んだ男の─────〝バーボン〟の顔を思い出す。酷い目に遭わされたが、それでも不思議と憎しみの感情はなかった。
あっちはあっちの〝仕事〟をしたまでだ。捕まったのは俺の手落ち。この体の痛みはすべて自分の迂闊さのせいだ。つまりは自業自得。

心の中でそう自分に言い聞かせ、早くこの痛みを切り離そうと───忘れようと努める。引き摺ったところで何にもなりはしない。

顔を上げると、カーテンの向こうにカラフルな明かりがぼんやりと透けて見えた。どうやら街中らしい。雑居ビルの空きフロアってとこか。
工藤が短く俺を呼ぶ。

『来いよ』

「ダメ」

こんな格好じゃ行きたくても行けない。

『…なんでだよ。遅くてもいいから来いよ!』

「まだ出先だっつったろ。何時になるかわかんねーの」

『じゃあ、いつ逢えるんだよ』

「……………」

いつ逢えるだろうか。紐が擦れて血が滲んでる両手首の傷痕が目立たなくなってからでないと、工藤には逢えない。

『快斗?!』

「来週かな」

来週でも無理かもしれない。

『そんなに待てねえ』

「うっせーな、行けるようになったら行くよ」

『快斗……』

工藤が沈黙する。

もう切った方がいい。そう思いながら、俺は次の工藤の言葉を待って携帯に耳を押し当てていた。
この電話の向こうで、俺を想ってくれている工藤の言葉を。

『快斗……危ないことすんなよ』

俺は目を閉じた。溢れそうになる感情を必死に押し込める。

「ふふ。残念ですが名探偵、私は〝怪盗〟ですので」

それだけ告げて通話を切ると、俺は携帯の電源を落とした。




ようやく立ち上がって階下に降りてみると、驚いたことに俺が運び込まれていたのは毛利探偵事務所のすぐ裏手にあるビルだった。
いつでも工藤や工藤の周りの人々の近くにいるという、バーボンの脅しなのかもしれなかった。

もう深夜だ。制服に学生鞄を持って歩いていたら、警官に見つかれば補導される。俺は体の芯に残る痛みに耐えながら走った。

おそらくバーボンは工藤を罠にかけるために無理のない状況を作り出そうと、工藤の周辺を探っているのだろう。
警察やFBIさえも疑いを抱く余地がない、完璧な〝抹殺の手口〟を求める組織の命に従って────。



工藤。工藤、ごめん。

おまえに迫ってる危険を、俺はどうやって知らせてやればいいんだろう。

本当はすぐにもおまえの元に駆けつけたい。油断するなと警告し、警察に警護を頼めと言ってやりたい。

けど、それは相手を急がせ、手段を選ばず工藤を襲わせてしまう結果にもなりかねない。悪戯に工藤を追い詰めるだけかもしれない。

そして…もし、自分が原因で俺が傷を負ったと知ったらアイツは────。





つづく

────────────────────────────────

※後半はタイトルを変えて、新一サイド『疑心暗鬼』へつづきます。


拍手[9回]