名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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雨宿り(新一×快斗)
※通常パターンの甘イチャ?です。かなり間があいてますが2011.11.06up『ボーダーライン』の続編(^^;) 。
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警視庁からの帰り道、予報通りの夕立に遭ってしまった。


車で送ってくれるという佐藤刑事の好意をあえて断ったのは、降り出す前に家に着くだろうという甘い読みと────快斗が待っているかもしれないと思ったからだ。

約束はしていない。
だが、そろそろ姿を現す頃だと思っていた。まぁ…願望に近いのだが。


ひとつ事件が片づいて、ホッとしていた。
誰もいない小さな公園の片隅にある東屋に駆け込み、雨宿りをしながら俺は快斗のことを考えていた。


俺もそうだが、快斗は快斗で何かと忙しいらしく、約束していてもなかなか逢えない。〝怪盗〟は休止中だと言っていたが、ホントかどうかそれもあやしい。
ドタキャンしたり、ドタキャンされたり。 待っていても現れなかったり、待たせているのに帰れなかったり。

そんなわけで、あってないような約束は互いに懲りてしなくなってしまった。
俺は毎日でも逢いたい。その気持ちは伝えてある。快斗次第だ。
だがそう言うと、快斗は『俺のせいかよ』と怒り出してそっぽを向いてしまった。
なんだか気まずくなって……以来電話もメールもしにくくなっている。

ざああーと雨が大粒になって、ますます薄暗くなる。しばらくここから動けそうにない。
はぁ…とため息を付いて、俺は雨が吹き込む東屋の、なるべく奥のベンチに座り込んだ。
少し奥まった立地の公園。向かいは造成中の建設現場、裏は住宅街だが、辺りに人影はない。日曜の夕立に、みな家々に身を隠して息を潜めているようだ。たまに前の道を車が走り抜けるだけ。なんとなく心許ない気分になる。夕立の勢いが弱まるまで待つしかない。
もう一度大きく息を吐いて、ベンチに凭れかかった。


快斗。
天の邪鬼な〝怪盗〟。
意地っ張りなあいつは、なかなか言葉にしてくれない。俺が一生懸命伝えようとしても、途中でそれを遮ったり……。
そういや、ちゃんと〝好きだ〟って言ってくれたことあったっけ。

あれ……?
……ナイ、かも。

なんだか少し焦せる。早く帰りたい。

今夜を逃せば、また次の週末まで逢えないだろう。快斗が夜来てくれれば別だが、そう言うとまた怒るだろうし。俺が逢いに行くのは快斗的に絶対NGらしいし。やれやれ。
携帯電話を取り出した。
メール打つか。
なんて打とう。

『逢いたい』かな。
『いまどこだ』……かな。
それとも。

『俺のことどう思ってんだ』かな。

そんなこと訊いても、どうせ『推理オタク』とか『マヌケ探偵』とか、ロクでもない返信しか来ないだろうけど。返信くるかどうかもわからない。

────ブブブ。

「わっ」

突然、手に持った携帯が振動し始めてビックリして落としそうになった。
画面を見てさらにビックリする。

快斗。慌ててタップした。

「もしもし?!」

『……わ。雨の音でよく聞こえねー』

「快斗! どこだ。俺んちか?」

『なんでテメーの家にいなきゃなんねんだよ。外』

「雨降ってんだろう」

『わかってるよ。横殴りじゃねーか』

ピカッ!

「うわっ」

怪盗キッドの閃光弾のようだ。視界が真っ白くなる。木々の葉も。雨は針金のように輝いて。
わずかに遅れて、雷の轟音。バリバリゴロゴロどかーん!

「うへえっ」

電話の向こうで『ケケケ』と笑う声。

「んだよ!」

『名探偵はカミナリが怖いんだ。弱点みっけ』

「ばかやろ! 外にいたら誰でもびびるだろ」

『へえそう。でも〝うへえ〟はねえな。クールな名探偵が、イメージダウンだぜ』

「ほっとけ。別にイメージなんか…うわ!」

もう一発雷が落ちた。
落ち着け。たぶん、避雷針が付いてるはずだ、屋外の公共物の屋根には。……違ったかな。この小さな公園の東屋にも付いてると信じよう。

「………………」

ぴかぴかと連続で雷の閃光が瞬き続ける中、通行人が入り口から公園内に入ってくるのが見えた。若そうだ。
快斗……なわけないな。願望のあまり、シルエットだけで快斗かと思っちまう。傘差しててもビショビショになるような激しい雨だ。やはりここで雨宿りをするつもりなのだろう。お仲間だ。

「快斗! どこだよ! 逢いに来い!」

『こう大雨じゃなぁ。オメーこそ、何やってんだよ』

こっちの雨音がすごいのでよく判らないが、快斗の声も盛大な雨音が混じっているようだ。この雷雨の中、どこほっつき歩いてやがる。自然に携帯に向かって話す声もデカくなる。

「オイ! 雷危ねーぞ! どっか安全なとこに…………」

目の前が陰る。ただでも薄暗いのに。
携帯を持ったまま〝雨宿りのお仲間〟を見上げた。

「安全なとこなんてねえよ」

「………………」

「仕方ないから、俺も雨宿り」

「か……、か…………」

快斗。

東屋に入ってきたのは、快斗だった。
快斗が畳んだ傘から大量の雨水が伝い、東屋のコンクリの床がすぐに水溜まりだらけになる。

「ひでー。傘差しててもびしょ濡れ」

「……俺がここだって……なんで」

呆けたような質問しかできない俺に、快斗がふふんと笑う。

「駅からの帰り道、オメーが使いそうな近道で雨宿りできそうなトコってここくらいだろ?」

「………………」

そうかもしれないけど。
そうかもしれないけど、じゃあ、俺を捜して……迎えに来てくれたのか。

うれしすぎて、アタマがフリーズしてる。どきどきしすぎて、体中が震えてる。

「快斗!」

「バカ、くっつくな。びしょ濡れだっつーの」

「相合い傘して帰ろう」

「調子のんな。誰がオトコと相合い傘」

だけど、そう言いながら快斗の横顔もうれしそうに笑ってる。薄暗くても、そのくらいは分かる。声で。快斗が赤くなってるってことが。

ぱっと振り向いた快斗の瞳が目の前にあった。すぐ、すぐ目の前に───。



最後に一発轟いた雷鳴の中、隣同士に座ったまま俺と快斗はキスをした。どちらともなく…。




数分すると、さっきまでの嵐のような天候が静まり始め、やがて小雨になった。薄闇も幾らか明るくなって……雷の間隔も空き、音が遠ざかってゆく。
俺たちは立ち上がった。

小雨の中を歩き出す。傘は差さずに並んで。
二人一緒に、俺の家へ帰る道を。









20120905


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