十四ヶ月《3/3》R18(新一×快斗)
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互いにこの時を待っていたのだ。
十四ヶ月前、探偵と怪盗として初めて出逢ったあの月下の夜から。ずっと。
長くたなびく白いマント、モノクルの先で揺れるクローバーの紐飾り…。
月明かりを背に浮かぶ姿はいつも朧に蒼く霞み、詠う声は風に乗って強く弱くオレの耳朶を擽った。
オレは確かめたくて。ヤツを捕まえたくて、だから必死に追いかけ続けた。
その腕を掴んで振り向かせることが出来たのは数度の対決を経てからだ。
大きな瞳と跳ねた癖毛。
怪盗が同世代の若者であると知ったオレに対し、やがて怪盗は〝名探偵〟とオレを呼ぶようになった。
それから幾度か助けられ、共に危険をかいくぐるような経験もした。
それでもヤツは気付けばオレの手をすり抜け幻のように姿を消した。オレが探偵として〝好敵手である怪盗を追う〟以上の感情を強く抱いていると解っていたのだろうか。
或いは自らもオレのことを〝求める相手〟と解っていたのだろうか…。
いつ部屋に入ったのか憶えてない。
夢中で黒羽を抱き締めて、脚がもつれて一緒に床にひっくり返った。
黒羽の体温を感じ、腕の中にそれが在る事を実感する。もがくように抱き合っているうちにガタンと音がして、黒羽がイテッと体を竦めた。いつの間にかカーペットの上を移動していて椅子の脚にどこかぶつかったのだ。
黒羽のシャツを捲って脱がせながら半身を起こした。黒羽もオレの上衣を脱がせようとしているが、ボタンがうまく外せない。
オレは自分で上衣を掴んで引っ張った。
ボタンが飛び散り、前がはだける。
熱い。
鼓動が跳ねて全身が震えていた。
未熟なのはお互い様で、コントロールなど出来るはずもない。
膝立ちになってまた抱き合うと、今度は胸と胸が直に触れた。素肌が重なる歓びを初めて覚える。
遮るものはない。
やっと素顔の怪盗と出逢えた。黒羽と二人きりに、やっとなれたんだ。
オレは黒羽の髪に指を通し、黒羽に想いが伝わるよう、精一杯のキスをした。
「ちょっ…待て、工藤」
裸になった黒羽の脚を抱えると、さすがに恐れを覚えたのか黒羽が体を捩った。
「待てない」
しかし切羽詰まっていてオレは抑えが利かない。体が勝手に動いてしまう。
「あっ!」
いきなりは無理だと──頭で分かっていても、探り当てた秘部に侵入を果たしたくて頭の中は閃光が炸裂したように真っ白だ。
何度か押すように揺らしているうち熱が強くなり、それを逃さずグッとオレは強く体を進めた。
『ああっ』と黒羽が悲鳴をあげる。
ゆっくり進めようと努めるが、きつくてとてもじっとしていられない。
頑なな怪盗の閉ざされた鍵をこじ開ける…そんな気分になって荒ぶるほどに昂揚する。
目の奥がチカチカし、キーンと耳鳴りを覚えた。留まっているのは無理だ。本能にオレは従った。
腹に力を込めて穿つ。すると一番きついところを抜ける感覚があった。
つらそうに首を逸らせていた黒羽だが、見ると大きく息を吐き出し、そのためか微かに纏わりつく力が弱まった。
動ける。
さらに衝く。
黒羽がまた悲鳴をあげ、抗議するようにオレの肩を叩いた。戦慄く桜色の唇と白い顎。そして細い首が堪らなく美しく、同性とは思えないほど艶めかしい。
「黒羽…!」
「く、ど…、ああ…ぁ!」
じりじりと侵入を続け、ある程度深まった感覚があった。さらにゆっくりの大きく揺らすと、黒羽がびくんと大きく震えた。最深まで穿ったようだ。完全に一致したことを互いに知覚していた。
黒羽の腕を辿り、指を捕まえ、強く握った。
そのまま静かに揺らす。それだけで黒羽の反応がすごい。苦しいだけじゃない表情の変化が堪らない。
黒羽に見とれながら数回揺らすようにしただけなのに、不意に痺れるような感覚が広がって驚いた。強かった黒羽の反発が弛む。達したのだ。あっという間すぎて自分で戸惑う。
「…おい」
涙目の黒羽が濡れた睫毛を開け、潤んだ瞳でオレを睨む。
その途端、再び下腹に熱が溜まるのを覚えた。
黒羽も兆しを感じ取ったのだろう。慌てたように表情を変える。
さすがに立て続けに責めては申し訳ない。若干余裕が生まれたオレは、不器用ながらそのまま今度は黒羽を導こうと黒羽の前茎に指を添えた。
『バカ、ヨセ』と黒羽が訴えるが止めない。
これまで散々オレを翻弄してきた怪盗を、身動きできないこんな姿で〝翻弄仕返す〟のは口には出せないがとてつもない快感だ。
「───ア…、アア…ッ」
もう達するだろう、というところで指を離す。
黒羽が訳が分からないと言った様子でまた俺を睨んでくる。
オレは改めて黒羽の脚を抱え、ぐいと腰を入れた。悔しそうに黒羽が唇を噛むのがまた堪らない。
細波のように体を揺らして奥を衝き、また前を促す。
それを交互に、あるいは同時に行う。
黒羽が悲鳴をあげる。オレの肩を拳で叩いてくるが痛くない。
オレは体を屈め、黒羽の喉元に口付け、強く吸った。
ビクッと震えた黒羽の肢体が強くこわばる。徐々に力が抜けてゆく。オレの手の内で黒羽も達したのだ。
黒羽の緊張が漸く解れる…。
動けるようになったオレはあとはもう夢中で黒羽を求めた。大きな波に意識すら浚われる快感を、黒羽の中で迎えられるのが嬉しくて。
強く、深く。
好きだ、と何度も呟いた。
気が遠くなり、果てるまで。
何度も。
ガン、と、こめかみに衝撃を受けて目を開けた。
天井が目に入る。
自分の部屋の自分のベッドだ。
だが位置がいつもと違う。隅に寄ってるからだ。うっかり動くと転がり落ちそうだ…。
その理由を思い出して嬉しくなって黒羽の方を向くと、もの凄く仏頂面の黒羽の顔が目の前にあった。どうやら黒羽に小突かれていたようだ。
「よぉ」
「よお、じゃねえ」
相当苦しかったのだろう。かなり怒っている様子だが、声が掠れてて可愛い。
「ははは」
「ははは、じゃねえ。オボエテロ、工藤」
「忘れるもんか」
横っ面を叩かれながら、オレは黒羽に口付けた。
今すぐでもまた欲しいと思ったが、少し機嫌をとってからにしないとまずそうだ。
明日までまだ時間がある。
もう待たなくていい。
殴っても肘鉄しても笑顔のオレに呆れたのか、チェッと舌打ちすると黒羽も吹き出して笑った。
オレは手に入れたんだ。
衒いのない黒羽の笑顔を。
オレたちはやっと、やっと本当に出逢えたんだ。
20170626
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※おおおおおおお粗末様です(大汗)。up遅くなりスミマセン…あとは単にさせるだけという展開なのに、しかしさせるには集中力が必要だと改めて思い知った次第です。トホホw(*_*;
もたもたしてる間にも拍手いただきました~
(^-^)/////
●拍手御礼
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