名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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遅刻(新一×快斗)
※これも毎度な軽めネタです(汗)。快斗くん視点。
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工藤邸の玄関に、鍵はかかっていなかった。
そっとドアを開けると、腕を組んだ工藤がエントランスに仁王立ちしていた。



「ゲゲ、工藤」

「〝ゲゲ〟じゃねえ。どんだけ待たせりゃ気が済むんだっ(-"-)#」

「あ~、いろいろやること多くて。いつからここに立ってたの?」

「今だ。チャリのブレーキと裏門が開く音が聞こえた」

声がめっちゃ低い。俺の遅刻なんてざらなのに、今夜はまたやけに機嫌が悪そうだ。

「上がっていいかな~」

「先に言うことがあるだろう!」

「あー、ええっと…、遅くなりました」

「他には?」

他には、って(^^;)。

「笑ってんじゃねえっ」

「笑ってません~。ごめんさない!」

三白眼のまま踵を返した工藤は、ずかずか歩いてリビングのドアの前まで行くと俺を振り返った。顎をしゃくって〝さっさと来い〟と睨みを利かせる。

んだよ、もう~。っとに何様だよ。

とはいえ約束を三日も過ぎて怒らせたのは自分なので大人しく従う。従うが、その実、反省はしていない。

だって、俺は怪盗なんだ。

毎日の通学の合間を縫い、寸刻を惜しんで計画を立て、仕掛けを作り、仕込みをして、リハーサルなしに一発勝負の本番に臨む。
万が一邪魔が入ったり、予測できないトラブルが発生しても、決して観客に気付かせてはいけない。いかに臨機応変にしてショーを盛り上げるか。
自信を持って華麗なパフォーマンスを繰り広げるためには、普段からの精進だって怠れないんだ。

つまり、俺は忙しい。

事件があれば自分から首を突っ込んでいく〝ヒマな探偵〟とは違うんだ───なんて言ったら、はっ倒されんだろうな~。



「? なに、これ」

リビングのテーブルに、四角い白い箱が置いてある。

「開けろ」

命令かよ。

「ハイハイ」

「ハイは一回!」

「チッ」

「いま舌打ちしたな、快斗」

「してません」

「しただろ!」

「してないってば~。開けるよ?」

びっくり箱だったりして。俺は箱の両側を両手で挟んで恐る恐る持ち上げた。
ふわんと甘酸っぱい匂いが広がる。

「え……」

現れたのは、なんだか全体にだらっと崩れた白いクリームらしきものでデコレーションされた怪しい物体。ちょっと変色した苺みたいな物も、ところどころに挟まっている。

「なに、これ? ケーキみたい」

「ケーキだ!」

「……なんで?」

「今日は何日だ?」

「はぁ? 3月の…17日」

「三日前は何の日だ?!」

「はあ…??」

不意に赤くなった工藤が口を噤み、俯いた。


三日前───?

3月14日か。何の日かって、何のことだよ。
俺は箱の上蓋を持ったまま硬直した。



三日前。
そういや江古田高校は大騒ぎだった。ホワイトデーのお返しで、あっちこっちで出来立てホヤホヤのカップルがいちゃいちゃ佇んでたりして。
俺も幼なじみに蹴飛ばされない程度のお返しは用意して、バレンタインにチョコをくれた女子たちに配り歩いたんだ。

それが?
ホワイトデーが、この崩れた物体とどう関係あるんだよ。


「───あっ!!」

「バレンタインにチョコくれたろ、だから」

工藤がテーブルのケーキを持ち上げる。

「ちょ、待て、工藤っ!!」

これって、まさか。

「な、工藤、これって手作り…」

「なんでもない、ゴミだ、もう捨てる!」

「やめやめ、置けって! これ俺にか? もしかしてホワイトデーのお返し?」

この崩れた物体の正体は、工藤の手作りケーキだったのだ。信じられないが。

「すげえ、工藤、俺うれしい!」

「今さら遅せえ! もう傷んで悪くなっちまったから捨てるんだ。その前に…」

見せるだけ、見せとこうと思って。

消え入りそうな声で工藤はそう呟いた。そっぽを向いて、耳まで赤くして。

「いただきます!」

俺は工藤が持つ〝元〟ケーキにがばっと食いついた。罰ゲームよろしく、顔半分を埋めるようにして。

「あっ、馬鹿快斗、腹こわすぞ!」

「ン、ヘーキ! 生クリーム、緩いけど甘くておいひいぜ!」もごもご。

う。なんか元苺がやばい風味を醸し出している。ええい、ここで吐き出したら男が廃る。俺はガブガブ噛んでごっくんと飲み込んだ。


いいからもうよせ、食うな、と騒いで俺を押さえ込もうとする工藤と揉み合って、ケーキは台ごとフローリングに落っこちた。

俺はだらりんと広がるクリームの床に座り、屈み込んだ困り顔の工藤の首を掴まえると感謝と愛を込めてキスをした。
腹こわすなら一緒だぜ、工藤。





20150318
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※またこのパターンになっちゃいましたっ;;  シリアスネタを考えてたんですがまとまらず、おちゃらけに逃げてしまい(汗)。季節ネタもタイトル通り遅刻ばかりでスミマセン~(>_<)。

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カテゴリ★普通の高校生パラレル ★ウエストサイド ★闇に棲む蜘蛛 ★トラベル ★放課後  他へ、拍手の連打ありがとうございます(^^)///
   

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