名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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告白~風に消えた怪盗~(白馬×キッド)《3/3》R18
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〝パンドラ〟の炎が尽きる。

僕は黒羽を捕まえた。迷いも、畏れも、何もかもかなぐり捨て、黒羽を抱き締めた。




「白馬───」

僕を押し留めようとする黒羽の腕を抑え、その言葉を奪う。押し包んだ唇の奥に小さな舌先を見つけると、僕は完全に我を失った。

霞む視界に、白いマントがひろがる。
僕らはその上にもつれるように倒れ込んだ。
何かが落ちて転がる音。
おそらく怪盗のモノクルだろう。

僕は黒羽を失いたくない一心で、懸命に黒羽をかき抱いた。
細い喉元にキスをする。
襟元から匂い立つ温もりに、頬を押し付け、僕は深く息を吸い込んだ。

あ───と黒羽が吐息を漏らす。
熱が高まる。

今ここで手を離せばきっと君は消えてしまうだろう。
僕からだけではない。〝僕らの日常〟から。君を取り巻くすべてのものから。
君は独りで遠くへ行ってしまう。

そんなのは、いやだ。
僕は。

いやなんだ。


「黒羽くん…僕は探偵です。しかし、詰まるところは一介の高校生に過ぎない。怪盗キッドの正体を知ったからといって、誰に告げるつもりもありません」

「……」

背けていた顔を黒羽がこちらに向ける。
瞼が開かれ、蒼い瞳が僕を映すのがわかった。

「僕の目的は君を見つけることだった。真実の君が欲しかったのだ。だから」

だから。
やっと見つけた君を、やっとこの腕に抱いた君を、放すことなど出来ようはずがない。

「どこにも行かないと、誓ってくれたまえ───黒羽くん!」

黒羽は目を凝らして僕を見つめていた。僕の真意に戸惑うように。

「君はすべてが終わると言った。しかし、そうじゃない」

ぽたりと雫が黒羽の頬に落ちる。
雫は僕の目から溢れていた。とても止められない。雫は零れては黒羽の頬に落ちて伝ってゆく。

「終わりなんかじゃない。これから始まるんだ、僕らは」

僕と君は。

それ以上言葉に出来ず、僕は唇を噛んだ。
情け無かった。
これほどの激情を自分が抱えていたとは。これほど、君を求めていたとは。

これが僕の真実なのだ。僕の告白なのだ。
この想いを失ったら、僕は僕ではなくなってしまう。

「僕を一人にしないでくれたまえ、黒羽くん。どうか。どうか…!」



〝白馬〟

黒羽が僕の名を囁く声が聞こえた。
そう思った。
密やかな黒羽の吐息が、僕の鼓膜を震わせたと。

頬に伸ばされた指先を掴み、僕は黒羽の手から怪盗の手袋を外した。

そうだよ。僕は…

僕は、君がほしいのだ。
真実の君が。
すべてを取り払った、君の生命そのものに触れたい。

どんな罪も怖くなどない。

僕が怖いのはただ一つ。
君を失うことだ。
君がいない世界だ───。








風に吹かれ、髪が揺れている。

そう気付くまで、どれだけ時間が経過したのか分からない。

僕は黒羽を強く抱いていた。

黒羽の髪に指を通し、何度も口付けた。吐息一つも逃したくなくて。
裸の背を引き寄せ、互いの熱が一つに溶け合う奇跡に没頭した。

脈打つ黒羽の息吹き。震える肌の滑らかさ。
細い肩が頼り無くて、僕は歓びと切なさの狭間に想いを迸らせた。
痺れるような瞬間。
放したくない。

月が、美しかった。
夜空は高く、僕たちをただ静かに包み込んでいた。

君は一人じゃない。
僕は呟いた。自分自身に言い聞かせるようにして。

怪盗は消えた。
夜空の風に吹かれ、消えたのだ。

残ったのは、君。

君と僕だ。

一つになった僕たちだ。

だからどうか。

僕の願いをきいてほしい。


僕のそばに…いてほしい───。












肌寒さに目を開けると、夜が明けかけていた。

藍色から紫へ変わりゆく空。

西の空にはまだ白く丸い月が残っていた。

だが、屋上には既に僕しかいなかった。

指が動かない。
乱雑に羽織っていただけのシャツのボタンを留めようとして、うまく出来ずに僕は手を握りしめた。

落ちていたはずの怪盗のモノクルを探したが、どこにもなかった。
風に消えた怪盗の痕跡は、僕の手のひらに微かな温もりの記憶として残されただけだった。

空が白々と明けてしまうまで、僕は立ち上がることが出来なかった。













・・・・・・・・・・・・・・・




よほど休もうかと思ったが、なんとか自分を奮い立たせて登校した。

いつもと同じ朝。

呆れるほど平和な教室。

だが、彼だけがいない。

僕は自分の席に座り、机にひじを着いて待っていた。
目を閉じて。クラスのみんなの気配を感じながら。
彼が現れることだけを願って。

やがて始業時間が近付き、予鈴が鳴った。

寝不足でチャイムが頭に響いてぼうっとなる。

目が、開けられない。
現れない彼を、空いている彼の席を確認する勇気がなかった。

目に涙が滲みそうになる。

情け無いが、堪えられそうにない。
僕は席を立った。
彼の席を見ずに、教室を出ようとした。





「……」

扉を開けようとして、僕は手を止めた。

教室の扉の向こうに人影が見える。

教室が静まる。

ガラリと、扉が開いた。




「なんだよ、白馬。教室入れねえじゃん。どけよ」

「……クラスメートに最初に言う言葉がそれですか、黒羽くん」

「え?」

「朝の挨拶ですよ。まずは〝おはよう〟でしょう」

平静を装ったつもりの僕の声は完全に掠れてしまっていた。

肩を小さく竦めた黒羽が僕を見て微笑む。少しばかり腫れぼったい目をして。


〝おはよーっ〟という、いつもの声が教室に響く。
僕の大好きな明るい君の声が。

僕らは真実を手に入れた。
何でもない日常。続いてゆく毎日。
それこそがかけがえない宝物だということを、知ったのだ。








20140927
20141001(再アップ)
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※説明不足・詳細省略の書き逃げですみません。タイトルにR18表記するほどでも…ですが、一応(汗)。これはこれでハッピーエンドのつもりです。幸せ白快パラレルの一つということでご容赦を~(*_*;


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