名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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告白~風に消えた怪盗~(白馬×キッド)《2/3》
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手にしたトランプ銃をスライドさせ、黒羽は呟いた。

「パンドラを壊す。それで全てが終わるんだ」




硬さと脆さは別物だ。
モース硬度がいかに高いダイヤモンドであろうと、それがイコール〝衝撃に強い〟わけではない。

その成り立ちは自然元素の層と層が結び付いた鉱物にすぎず、衝撃を与えれば壊れてしまう。
しかも主成分は炭素なのだ。
一定の高温が加われば、ダイヤは容易く燃えあがる。
燃えれば文字通り炭となり、美しく煌めいていた〝ジュエル〟は完全に灰燼と帰すのだ。






僕は───幻を見ているのだろうか。


砕けたジュエルの欠片が、目の前で燃えている。

蒼白い焔が立ち上ると、炎は花びらのようにひらひらと舞い、仄かに赤く瞬き始めた。

これが〝パンドラ〟なのか。

〝パンドラ〟が、燃えているのか…。


漠然とした感慨は覚えたものの、この時の僕にとってパンドラがいったい何であるかはさほど重要な問題ではなかった。

僕にとってはパンドラそのものより『パンドラを壊せばすべてが終わる』と言った怪盗キッド───黒羽が、目的を達したあとどうするつもりなのか。
それが気になって、彼から目を離すことが出来ずにいた。

僕の横に立つ黒羽を、揺らめく焔が照らしている。
蒼白く。あるいは薄紅に…。

僕はその横顔を美しいと思った。

まるで幻影のように儚く、切ない。


やがて焔が徐々に小さくなるにつれ、僕の不安は頂点に達した。

パンドラがこの世から完全に消え去ってしまったら。〝怪盗〟が目的を達したというのであれば。

それでは怪盗はどこへ行ってしまうのか。

もしや二度と現れないというのか。


このまま怪盗も消えてしまう…。
砕け散り、燃え尽きようとしているこの炎のように?
風に吹き飛ばされ、夜空に散り去る灰のように、印一つも残さず消えてしまうというのだろうか。

まさか、黒羽まで……。


そんな。そんな。

僕は灼けるような焦燥に駆られ、今まさに尽きようとしている炎の最後の瞬きに目を瞠いた。





キッド───と、僕は呼んだだろうか。

或いは、黒羽くんと呼んだのだったか。

判らない。憶えていない。

憶えているのは、息苦しくて立っていられなくなったこと。そして気が遠くなるほどの自分の想いの正体に、はっきりと気付いたことだけ。


いいや。

とうに答えは出ていた。

最初から解っていたんだ。

僕は、君を失いたくない。
そのために君を探り、君を追い、いまここにいるのだ。

炎が尽きた瞬間、僕は黒羽を捕まえた。
迷いも、畏れも、何もかもかなぐり捨て、僕は黒羽を抱き締めた。







「告白~風に消えた怪盗《3/3》R18」へつづく

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