名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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想定外《2/2》(モブ×白馬×キッド)
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「大丈夫、僕があなたを絶対に守ります」

白馬さんの瞳の色は柔らかく、こんな時だというのに、確かに私の心を落ち着けてくれた。

だけど両手を後ろで縛られているのに、いったいどうやって…。



「坊ちゃんよ、その上品ぶったスーツ、脱ぐの手伝ってやるぜ」

いやらしく哄いながら男の一人が倒れている白馬さんに手を伸ばす。

「壁際へ」

端的な白馬さんの指示に、私は反射的に体を起こしていた。
ガツン!
何かが後ろでぶつかる音。私は壁に縋り付いて恐る恐る背後を振り返った。

「あっ」

白馬さんに掴みかかっていた男が、泡を吹いて床に倒れ込んでゆく。

「このガキ、やりやがったな!」

他の男たちがそれぞれ刃物とスタンガンを取り出して身構える。
片膝を着いて体を起こした白馬さんは、私の前を塞ぐようにして立ち上がった。

「両手を縛ったくらいで侮らないでもらいたい…」

男たちに対しながら、私を誘導するように静かに横に移動する。
部屋の隅。白馬さんの影になり、私は完全に男たちの目から隠れた。

「狭い部屋に連れ込んだあなた方の失策です。ここなら壁を背にして一人ずつ戦える」

「カッコつけてんじゃねえ、ぶっ殺すぞ!」

「やれやれ…まったく品位のかけらもない。同じ泥棒でも〝彼〟とは違いすぎる」

私はハラハラしていた。
これ以上男たちを逆上させたら───。

「それほどなぶられてえなら、殺してから犯ってやる」

「脅しはききません。人目を盗んで物をくすね、弱者を拐かそうとするような愚か者に、そんな度胸があるとは思えませんね」

「うるせえっ」

一人が刃物を突き出し、白馬さんに向かってくる。

「危ない、白馬さん!」

どん、と体がぶつかり合う音。
白馬さんと男が、もつれるようにして同時に体勢を崩す。

「いやあっ」

だが、その直後『アッ』と声をあげて仰け反ったのは、後ろにいるスタンガンを手にした男だった。
倒れたのは白馬さんではなく、刃物で切りかかった男の方だったのだ。

「あなたが機転の利く方で助かりました」

私を見て白馬さんが微笑む。
白馬さんが前に立った時、途中まで私が解いた紐が、完全に解けていた。

「ちっ」

残った男が部屋の扉を開けて走り出す。

「逃げても無駄です」

────ピイイーーッ!

白馬さんの指笛。何かの合図だろうか?

倒れている男たちの脇を通り抜け、私がやっと準備室からホールへ出ると、逃げたはずの男の悲鳴が聞こえてきた。

「うわあっ、な、なんでこんなところに鷹が? うわ、痛てえっ、やめろ!」

「オーケー、ワトソン。もういい。そんな奴をつついても不味いだけだ」

手や頭から血を流し、男が膝を折ってうずくまる。ワトソンと呼ばれた鷲はホール天井を弧を描いて羽ばたくと、白馬さんが指差す方へ飛び去っていった。
思いも寄らぬ助っ人に、私もあっけにとられていた。

「だから言ったでしょう。僕が一人でここを訪れたと思う方が浅はかだ」

白馬さんがそう言って男に一歩近付いた時、突然唸り声をあげ、男が腕を振り払った。

一閃。
白く輝く物が白馬さんに向かって放たれる。
ナイフだ。男はまだナイフを隠し持っていたのだ!


〝キュイン! 〟


ガツッ。

ナイフは方向を変え、白馬から逸れてホールの柱に突き刺さった。
立ち上がりかけた男に白馬が突進し、首筋に肘を叩きつける。
男は今度こそ床に突っ伏し、完全に失神した。




「キッド…、やはり君だったのか」

ナイフを弾いた俺のトランプを、白馬が掴み取る。

俺は肩を竦め、窮屈な女性職員の変装を解いて怪盗の姿を現した。

「────白馬探偵も無茶をなさる」

「君に言われたくはないね」

さっきまで自分の腕を拘束していた紐を使い、白馬は倒れている男を縛り上げた。

「あとの二人は…」

「大丈夫、鍵をかけました。準備室の出口は一か所ですから」

白馬は、そこでようやく大きく息を吐き、俺に向き直った。

「連中にとっては全くの想定外だったでしょうね。まさか捕らえようとしていた女性が怪盗キッドだったとは」

「白馬探偵は、私だと…どこでお気付きに?」

「男たちに拐かされようとしているにしては落ち着いていましたからね。度胸のある女性だと…会期前に一人残っていたのも不自然でしたし。それに、あれだけきつく縛られていた紐を手早く弛めるにはコツが要る」

なるほど。

「できれば今夜は種明かしせずに助けていただいたお礼を申し上げて去ろうと思っていたのですが…」

「助けられたのは、僕の方だ」

「白馬探偵?」

不意に白馬がぐらりと体を傾けた。
慌てて支えると、俺はそのまま白馬に抱き締められて動けなくなった。

「すみません…。情け無いですが、今頃になって震えが」

熱く弾む白馬の鼓動が伝わってくる。こっちまで変になりそうだ。

俺は白馬の顔を覗き込んだ。柔らかな瞳が、俺のモノクルを映して揺らいでいた。





時が止まったように感じる一瞬。

そっと触れると、白馬の形のよい唇はちょうどよく俺の唇に重なった。




「キッド…?」

「これに懲りたら、危ない事にはもう近付かれませんよう」

「そうはいかない。君をこの手で捕まえるまでは」

〝カチリ〟。

閃光弾が落ちて炸裂する。

眩い光に、互いの姿が溶けてゆく。


キッド! 君の狙いは、やはり来週公開の────


白馬の声が、あっという間に遠ざかる。
ワイヤーを巻き上げ一気に天井へ。そして吹き抜けの天窓から翼を広げ、俺は夜空に飛び出した。

最後に一度だけ振り向くと、ホールに残った白馬が俺を目で追っているのがチラリと見えた。




翼をコントロールして旋回しながら、自分が笑っていることに気付く。

とんだ仕込みになっちまった…。
今夜仕掛けたマジックの〝タネ〟、白馬は見付けるだろうか?

それでも構わない。
なにがあろうと、狙った獲物は必ず手にしてみせる。

白馬────今夜の礼は、次のマジックで盛大に返してやるからな!





20140701

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いいわけなあとがき(+_+)
※明け方寝ぼけ半分で前半をupしてしまい…タイトルに(モブ×…)と入れたわりにはそうでもなく(汗)……白馬くんが想定外の強さで。イロイロすみません~;;  ああでもワトソン初めて出せました! それは自分でちょっとうれしい…(^^;)
※いらん補足ですが、女性視点のセリフ等は〝なりきっていた〟キッド様の心の声ということでご了承ください…。その他細部の描写端折ってますが、ご想像にお任せします…ということで書き逃げ~~(@@);;;

●拍手御礼
「二人/新一と快斗」「虚空」「ルパン三世vs 怪盗キッド」「下弦の月」「そう遠くない未来・君のバースデー」「想定外《1/2》」へ、拍手ありがとうございました!

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