名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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ノープラン~ヨコハマ・デート《2/2》(白馬×快斗)
※軽甘系 後編です(+_+)。
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風に吹かれて背伸びした。

白馬も『ああ』と気持ちよさそうに声をあげてる。

けっこう歩いた。
東門から入って中華街をぐるりと廻り、雑貨を覗いたり、土産物見たり。
昼飯は庶民価格の〝食べ放題〟の店を選んだ。白馬、こういうとこ自分では入らないだろうし、たまにはいいかと思って。
中華、安いなりに旨かった。特に海老焼売と小籠包。はじめは慣れない様子で遠慮がちだった白馬も、そのうち『美味しいですね』と言って自分でメニューを選んで注文していた。

昼飯を食ったあと、ぶらぶらしながら元町の方へ抜けた。
雑多なパワーに満ちた中華街とは趣の違う元町の空気の中を散策し、ユニオン二階のカフェで白馬は紅茶を飲み、俺は氷イチゴを食べて一休み。少し白馬にも氷イチゴ分けてやった。
次はどっちに行こうかと思っていると、元町の外れの住宅街から続く曲がりくねった階段を見つけ、俺たちはその坂を登っていった。

丘の上の道路に出て左へ折れる。海方向のはずだ。外人墓地を入口から少し眺めて通り過ぎる。
さらに道なりに歩いてたどり着いたのが、今いる〝港が見える丘公園〟だった。

展望スペースの向こうは空だった。
風が吹き抜け、汗が一気に引いてゆく。

「黒羽くん」

呼ばれて振り向くと、白馬がペットボトルを放ってよこした。

「サンキュー」

風に吹かれながら、ただ港を見下ろす。
あたりはまだ明るく、ベイブリッジがよく見えた。
気持ちがいい。
一人より、やっぱり二人がいい。白馬を誘って良かった。

「………」

見晴らしの良さに、ふと下までの距離と高度を目測している自分に気が付いた。
ペットボトルのお茶を飲みながらランドマークタワーを探す。しかし左手は山がせり出していて先が見えない。

「次、山下公園行く」

「よく歩きますね、黒羽くん」

「疲れた? 降参かよ」

「まだまだ」



フランス橋を渡って階段を降り、首都高の下をくぐって湾岸へと降りてゆく。
〝人形の家〟の前を通って階段を下り、左へ折れて進んでゆくとフェリー乗り場が見えた。乗船客が並んでいる。
その先に係留されてるのが氷川丸だった。

船と波止場をつなぐ鎖に海鳥が等間隔に連なるようにとまっている。氷川丸をバックに記念写真を撮る人の姿も多い。
山下公園。案外近かった。
海を背にして仰ぎ見ると、マリンタワーが視界中央に入った。並びには港を臨む高層階のホテルが林立している。

地図や資料だけでは、こうした距離感は掴めない。
中華街と元町までは成り行きだったが、そこからここを目指したのは、やはり俺が〝怪盗〟だからか。

ベイブリッジとマリンタワーを交互に見ていると、ふと視線を感じて横を見た。
白馬と目が合う。
白馬が何か言う前に、俺はその場所を離れた。

氷川丸の先に半円形に海にせり出したスペースがある。その手すりに腰掛けてペットボトルを飲み干した。

「?!」

ぐっと肩を抱き寄せられて体を竦める。

パシャ。

白馬の携帯。
自撮りでツーショットかよ、ハズカシー。

「転送しますよ」

「ええ?」

いらねーよ、と言いかけて思い直した。
ちょっと気恥ずかしいが、こんなの次があるか分からないし……もらっといてやってもいいか。

「あと見たいところは?」

俺は即答した。

「象の鼻とくじらの背!」


〝象の鼻公園〟の防波堤。その名の通りカーブした昔の防波堤の遺構だ。公園としてきれいに整備されている。
やや丸く膨らんだ〝鼻〟の突端までゆっくり歩いた。女の子たちがタイマーで記念撮影をしている。
しかし、防波堤部分は案外狭かった。海風の中でここに降りるのは難しそうだ。

「あの建物は何ですか?」

白馬が指をさす。
悠然と波に浮かぶ姿は……。

「大さん橋だ。あの屋上が〝くじらの背〟だよ。行こう」


横浜港大さん橋。外国航路の客船発着埠頭。その位置する場所と特異な構造は横浜の恰好のデートスポットになっていた。
木板が張り巡らされ、なだらかに彎曲する〝くじらの背〟を上ってゆく。不思議と足裏に感じる感触が柔らかい。

暮れ始めたみなとみらい地区を臨む。カラフルに色を変える観覧車のライトが見る間に濃く鮮やかになってゆく。

手前の赤煉瓦倉庫ではイベントが行われているらしく、賑やかな音楽やアナウンスが流れている。
暮れ始めると早い。すでに陽は沈みきったようだ。薄紫へと変化してゆく風景がきれいだった。

くじらの背の屋上に設置されたベンチには、それぞれカップルが陣取っていて港の風景を眺めている。仲良さそうに顔を寄せ、囁き合って。
並んで立つ白馬をちらと見る。
白馬は穏やかに吹く海風に髪を靡かせ、夜へとうつろう空を見ていた。

視線に気付いたのか、白馬が俺を見る。焦って目を反らした。
あれ。なんだこのドキドキ。また急に意識してしまう。
このムードのせいだ。恋人たちを包み込むような港の景色、そのマジックの。

俺は想いを払うように振り返った。
今いる場所とマリンタワーとの距離を測る。それから大さん橋手前のビルの屋上、右手の高層ホテル。さらに湾の向こうに聳えるランドマーク。
どこからか大歓声が聞こえてくる。横浜スタジアムだろうか。

「きっと映えるでしょうね」

「…え?」

唐突な白馬の言葉。
しかし言っている意味はすぐに解った。俺も同じ事を考えていたから。

そうさ。
きっと映えるだろう……宝石箱のような港の夜景に浮かぶ白い翼────。
近距離を繋いでビルからビルへ。マリンタワーから氷川丸、そして大さん橋へ。天気さえ荒れなければ十分飛べる。

だが狙いのジュエルが横浜の会場に展示されるのは数ヶ月も先の話で、それも確実な情報ではない。発表もされてないのだ。白馬が知るはずがない。
本決まりになれば、いずれちゃんと下見に来るつもりでいた。

「あっ」

なだらかな坂になっている木製の〝くじらの背〟。そこを後ろ向きに下がろうとして足をひっかけ、俺はバランスを崩した。

「危ない!」

白馬の手が伸び、背中を支えられる。俺は咄嗟に白馬にしがみ付いた。
そしたら急に白馬の顔がアップになって、目の前が暗くなった。

「………………」

柔らかいものに唇を覆われる。
温かい…。

「大丈夫ですか」

微笑む白馬の吐息がかかる。
近い。近すぎる。

「……?!」

キス…された…?
今の、キスか (@@);;?!

「こんなロケーションを見ていると、どうしても怪盗キッドを思い出してしまいます」

「ばか、放せ」

「マリンタワーから飛び立つキッドの姿が目に浮かぶようだ」

「放せってば…」

白馬の腕の中で、俺はどんな顔をしていいのか分からず俯いた。
くじらの背の、街の夜景の逆サイド。人影はまばらで近くには誰もいない。

「なんてね。君とデート中なのにキッドのことを考えるなんて失礼でしたね」

「…………」

「黒羽くん、今日は誘ってくれてありがとう。おかげで退屈な親類の集まりから抜け出せました」

「……いつまで掴んでんだよ」

「一応、抱き締めているつもりなんですが」

白馬が囁く。さっきの恋人たちのように俺の耳に唇を寄せて。

「このまま僕に捕まってくれませんか」

「…………な、なに言ってんだよ。やだね、キッドの代わりなんて」

「代わりなんかじゃありません。君は僕の本命ですよ、出逢った時から」

髪を梳くように頭を持たれ、もう一度キスされた。
白馬の腕の中から動けない。歩きすぎて疲れたせいだ。

「なんだよ。狙ってたのかよ…」

こんな告白。こんなキスを。

「まさか」

白馬はぎゅっと腕に力を込めて笑った。

「ノープランですよ」





20130807

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※スッスススミマセン収集つかず!(*_*;
※単独パラレルで、二人のファースト・キスってことで…。

●拍手御礼!「運命の白い女神」←うれしいです(*^^*) 「ノープラン~ヨコハマ・デート《1/2》」←恐縮です(@@);

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