名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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ハニームーン(白馬×快斗)

カテゴリ〝白快〟開設記念の第三弾、両想いバージョンにチャレンジです(^^;)。思い切ってタイトルからメチャ甘なのにしてみました。

――――――――――――――――――


深夜、僕は恋人の帰りを待っていた。

待ち合わせ場所は学校の校庭。その片隅にある一際大きな桜の木の下。


両親に気付かれぬよう、僕は自室の窓から抜け出してきたのだ。


季節はまだ春には遠いが、桜が咲けばきっと見事なものに違いない。残念ながら僕は転入生で、この桜が咲くところを見たことはまだなかったけれど。


ざわりと木々の枝が動き、葉が触れ合う音が響いた。
待ち人が来たのだ。僕の大切な恋人が。


「ごめ、白馬。待った?」

「慣れていますよ。君を待つことにはね……黒羽君」

もう一度ごめん、と言いながら黒衣を纏った恋人は僕の胸に飛び込んできた。

ちょうど鼻先に柔らかな髪が跳ねてあたるのでくすぐったい。抱き締めると、少しの間息を止め、それから僕の腕の中でふうーと大きく息を吐いた。

「……いつも夜中に呼び出してゴメンな」

「今夜は謝ってばかりいますね。僕はかまいませんよ。君が逢いたいと言ってくれるなら、いつでもどこへでも逢いに行きます」

「……」

俯いたまま黙り込んだ恋人の顎に指を添えると、少し躊躇いながらも顔を上げて瞳を僕に向けてくれた。
校庭の端に転々と点けられた防犯用の灯りと半月の月明かりに照らされて、それでもやっと僕は恋人の顔を間近に見詰めることができるようになった。

「……好きですよ、君が」

そっと口付けると、閉じられていた柔らかな唇がほんの少しだけ開かれた。
想いが募り、僕は恋人を強く抱きしめその唇に息を吹き込んだ。『ん』と小さく漏れる声を耳にしただけで、僕の理性は今にも吹き飛びそうになる。
しかし腕の中で畏れるようにもがく恋人を傷付ける事はやはり僕にはできず、かろうじて唇を放し――腕に閉じ込めたまま、僕は桜の木の幹に寄りかかった。


「…ごめん…白馬、俺……どうしていいのか判らないんだ」

「待ちますよ、君が許してくれるのを。それまで無理強いはしません」

「ゴメン……」

謝ることはないのだ。僕にとって今こうして二人でいられることだけで、奇蹟のように幸せなのだから。

「謝らなくていいのです。そのかわり」

「…………」

僕が何を言い出すのか、不安げに瞳を揺らす。
この、ぶっきらぼうなようでいて実はとても臆病な僕の恋人が――まさか巷を賑わす〝怪盗紳士〟と同一人物であると誰が信じるだろうか。

「約束です。僕には遠慮せずにたくさん甘えること」

「…………」

目を伏せた恋人は、片腕を怖ず怖ずと僕に差し出した。

僕は眉を顰める。
案の定、袖をめくると包帯が現れた。

「怪我をしたのですね……。みせてごらんなさい」

利き腕ではない方の手で巻いたからか、包帯はあまりきちんと巻かれていなかった。僕は包帯を一度ほどいて巻き直した。
本当は傷口を確かめて手当をし直したかったが、薬も何もないのでどうしようもない。それに傷を見ようとするのを恋人は嫌がった。


――深夜に僕を呼び出す時、それが怪盗が現れる同じ晩であることはとうに分かっている事だった。
それはもはや僕には恋人に問い詰めるべき事柄ではなくなっていた。僕の恋人の正体が……いや、怪盗の正体が僕の恋人だったからといって、この想いが変わることは決してない。


そうして月が傾くまで、僕らは校庭の片隅に佇んでいた。
僕の上着を地面にひいた上に腰掛け、桜の幹に寄りかかって。
僕に身を預けてうとうとと微睡む恋人の鼓動を、その生命を感じて過ごすことが――僕には何物にも代え難い、たまらなく贅沢な時間だった。
恋人を包むように抱きながら、僕も目を閉じる。

明日学校で顔を合わせても、僕らはそ知らぬ降りをして過ごすだろう。僕らを見下ろす月以外に、この逢瀬を知る者はいない。

そう……僕らの愛は、月だけが知る〝甘い秘密〟なのだから。






20120201


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