名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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ヒーリング(白馬×快斗)
※白馬くん視点
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深夜。史実を紐解く古書がなかなか興味深く、つい時間を忘れて読み耽っていると───ふと背後に気配を覚え、僕は振り向いた。



「黒羽くん…!」

「遅えな。まだ起きてんのか」

黒衣の黒羽が立っていた。僕のすぐ後ろに。

「君は…いったい…、どこから…?!」

あまりの事に呆気に取られる。
ここは僕の自室だ。窓は閉め、鍵もかけたはず。
部屋のドアが開けば、いくら読書に集中していたとしても気が付かないわけがない。
階下には家の者もいる。
それなのに、この神出鬼没の “彼” は、魔法のように忽然と現れたのだ。

「ちょっと疲れちまって。部屋の灯りが見えたから」

ふうと息を吐いて、確かに疲れた様子の黒羽は若干気まずそうに目を伏せた。
遮光カーテンの隙間から灯りが漏れて見えたということか。それにしても。

「…大丈夫ですか。少し横になりますか」

「うん」

妙に素直で逆に困惑してしまう。

何があったのか、何をしてきたのか。
気にはなるが、今は訊くまい。

それにしても、現実感がない。
これは夢ではないのか──。

ふらっと黒羽が体を傾ける。
僕は慌てて立ち上がり、腕を伸ばして黒羽の体を支えた。
冷えた体に纏わり付く夜の香り。

「……」

縋り付くように黒羽の華奢な腕が僕の背に回されていた。黒羽が大きく息を吸う。

「……白馬、いい匂いすんな」

呟くと、黒羽は僅かに身じろぎをして僕の胸に深く顔を埋めた。ゆっくり呼吸を繰り返す。深呼吸をするように。

「寝てください。何もしませんから」

「へへ…。べつにいーよ」

何がどういいと言っているのか。
なんだか切なくなって、僕はそのまま黒羽を抱き締めた。苦しくないよう気をつけながら。黒羽の吐息を、伝わってくる鼓動を感じながら…。

黒羽は眠ってしまった。
自分のベッドに黒羽を横たえ、僕も今夜の読書は諦めて黒羽とともに休むことにした。


不思議と穏やかな気持ちに包まれていた。
理屈ではないひととき。
癒やされているのは彼か、僕か。

目覚めれば、黒羽はおそらく姿を消しているだろう。
そして学校に行けば、何事も無かったように普段どおりの明るい貌(かお)を見せてくれるだろう。

だから──今は、“いまだけ” でいい。

いつか、なんの憂いもなく側にいられる日が訪れるように祈りながら。

いつか……。







20211102
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拍手コメント御礼
●名無し様
いつもありがとうございます。優しく熱いメッセージも受け取らせていただきました。嬉しいです。感謝の一言です。今後も細々とですが継続していくつもりでおります。また気が向いたときに様子を見に来ていただけたら幸いです!




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