名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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同棲未満《3/3》(白馬×快斗)
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とことん吃驚した様子の黒羽に、僕のしている事はそんなに突拍子もない事なのだろうかと改めて自問自答する。




ようやく想いが通じた相手と気兼ねなく過ごせる場所がない。
それは僕にとって大きな問題だった。自分を取り巻く現状の不便さ、窮屈さを僕は嘆いた。

聞くところでは、あの工藤新一も実家の邸宅で一人暮らしをしているという。
過日の某飛行船襲撃事件に於いて、工藤と怪盗キッドは互いの立場を超えて協力し合い、犯人確保の立役者になった。
それを知り、僕は心中とても穏やかではいられなかった。

銃で武装した危険な襲撃グループを相手に共に立ち向かったのだ。二人がシンパシーを覚え、そこに〝吊り橋効果〟が発生した可能性は十分あろうというものだ。

冗談ではない!




「エッ」

「──なんです?」

「いま『冗談じゃない』って言ったろ」

「まさか」

「言ったよ。何の話だよ」

「言ってませんよ。さあ、ここは片付けておきますから、先にバスをどうぞ。明日からちゃんと仕度しますね」

「いーよ、そんないっぺんに頑張んなくても。いろいろ揃えんの大変だぜ? まぁ料理覚えて損はないと思うけどさ」

言いながら黒羽がデリバリの簡易な食器を片付け始める。
テキパキと分別してそれぞれの袋にまとめるのを見て、僕は微笑んだ。

「さすがですね」

「なにが」

ふふっと僕が笑うと、黒羽も照れ臭そうにはにかんだ。
クッ…、ソ、カワイイ!!

ああ──失礼。僕としたことが、心の声とはいえ表現が少々俗に過ぎてしまった。
言い替えよう。
黒羽はやはりとても魅力的だった。
僕らは今、この部屋に二人きりなのだ。







─・─・─・─・─・─・─・─・─



ううう~まじやべー。
真新しいバスルームの白い天井を仰いで、俺は大きく息を吐いた。

『一緒に暮らしたい』…だなんて。

白馬のヤツ、最初からそんなこと考えていたのか?
驚いたけど…、驚いたけど、なんか嬉しくなってきてる、俺。
プロポーズでもされたみたいな気分だ。ふわふわして、なんだか頭が働かない。

白馬の勢いに乗せられてる。
現実はそんな簡単じゃないってことくらい解ってんのに…。



─・─・─・─・─・─・─・─・─





「風呂サンキュ! 新居なのに、おまえより先に使っちゃったな」

「構いません。君と使うために越してきたんですから」

黒羽は首に掛けたタオルを口に当て、何やらモグモグしている。
『ええっと』とか『ううんと』とか言っているが、よく聞き取れない。

「なんですって?」

「な、何でもねーよ。おまえもすぐ入れ。光熱費バカになんねえんだから」

「なるほど。そうしましょう。では──」

湯上がりの黒羽の火照った肌が襟から覗いていた。ワンサイズ大きい僕のシャツを羽織った姿は(本人に言えば怒られそうだが)非常にコケティッシュであり、セクシーだ。

「黒羽くん」

「なんだよ。早く行け」

「君は…」

「待ってっから」

ハッキリと、黒羽は僕の目を見てそう言った。

「怪盗に二言はない?」

「誰が怪盗だよ」

お約束のやり取りだ。黒羽が不敵に笑う。僕には堪らない〝ギャップ萌え〟だ。

「では湯冷めなどしないように。ベッドに入っていて構いませんよ」

「まだ十時じゃねえか」

「後で眠れなくなりますよ?」

「・・・・」

どう受け取っているのか、黒羽は真顔のまま朱くなった。
からかうつもりはないのだが、やはり僕も相当浮かれていたのだ。





急く気持ちを抑えつつ、僕はバスで体を清めた。
バスタブにゆっくり浸かるどころではなかったが、あまり慌てて出ていっては、がっついてると思われそうだし、うっかりすると『白馬の風呂はカラスの行水』などと学校で喧伝されてしまうかもしれない(この辺の黒羽に対する僕の信頼はいたって薄い。僕らの間柄に関わらない範疇で、黒羽はネタになることなら面白おかしく膨らませて話を広げかねないのだ)。


……今、何時だろう。

このバスルームには時計がなかった。防水の時計を買わなければいけない。

そろそろ出ても良いだろう…。

黒羽は本当に僕を待っていてくれるだろうか。
もしかしたら気が変わり、姿を消しているかもしれない。
もしも黒羽がいなくなっていたら。
切なさに僕はきっと涙を零すだろう。

黒羽くん…僕の頭の中はこんなにも君で一杯なのだ。喜びも、不安も、僕にもたらしてくれるの君しかいない。

早く大人になりたい。
君を惹き付けてやまない確固たる自信を身に付けた、真の大人の男に。

黒羽くん。

黒羽くん……。











目が覚めると、カーテンの外が明るくなっていた。
ぼうっとしたまま寝返りを打とうとして、肩や腰がズキリと痛む。

「ツツ……」

隣に温もりがある。 
密やかな寝息に肩を擽られ、僕は心底ホッと胸をなで下ろした。

黒羽くん。いてくれたのか…。

そして朧に思い出した。昨夜の自分の、これでもかという失態を。


バスタブの中であれこれ考えたり想像したりしているうちに、不覚にも僕は微睡んでしまったようだ。なにしろ前日は期待と不安で殆ど眠っていなかった。
ようやくバスから出ようと立ち上がったところで、立ち眩みを起こし──僕は脱衣所でひっくり返ったのだ。

物音に気付いて駆けつけてくれた黒羽だったが、始めは伸びている僕を見て大笑いしていた。
だがいつまでも動けないでいる僕に、さすがに黒羽も慌て始めた。
水を飲ませてくれ、濡れタオルで僕の首筋や脇を冷やしてくれ、バスローブを着せてくれ、寝室まで肩を貸して連れてきてくれた。


〝おやすみ、白馬。そばにいっから、ちゃんと眠るんだぞ〟

まるで兄のような口調で囁くと、黒羽は僕の髪を優しく撫で、そして軽く触れるキスを額と唇にくれたのだ。
僕は黒羽と手を繋ぎ、額をくっつけ合い、黒羽の温もりに抱かれながら穏やかな眠りに就いた…。

〝失態〟転じて、なんという至福!!

僕は思い違いをしていたのかもしれない。
黒羽と二人になりたいという切望は、詰まるところ黒羽の秘密を手に入れたい僕の一方的な願望に過ぎなかった。

しかしみっともなく昏倒したおかげで、僕は黒羽が持つナチュラルな優しさに触れることができた。僕のためだけに注がれる温もりを享受し、極上の眠りに就くことが出来たのだ。


黒羽が小さく身じろぐ。眩しそうに眉をひそめて。
黒羽が僕にしてくれたように、僕も黒羽の髪に手を乗せ、そうっと撫でた。

未熟な僕らにとって仰ぎ見る世の壁は決して低くはないだろう。この先超えなければならない障害が、幾つも僕らの前に立ちはだかるに違いない。

けれど、一度繋いだこの手を僕は決して放さない。

黒羽が目覚めたら、昨夜のことを詫びて礼を言わなければ。
そして改めて語り合いたい。
これから始める僕ら二人の新生活のことを。共に歩む大人への道のりのことを。






20160708
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※わああ…申し訳ありません。白快に久々〝XXさせよう!〟と目論みスタートした話だったのに、途中展開に迷ってあれこれ修正しているうちに時間ばかりかかって、結局させず終い(大汗)。工藤の影がちょっぴりチラつくとはいえラブラフ両想いな設定だったので、逆に書いてるうちにさせにくくなってしまって(x_x);;残念です・・・。次回の白快ではリベンジしたいです~。

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「5000メートル」「ペガサスの翼」「禁断」「未明の道」「天の川シンドローム」「裸身」「〝かいとう・キット〟事件」「夜風の香り」「誤認恋愛」へ、拍手ありがとうございました(^_^)ノ

こき様★拍手連打&拍手コメの連投ありがとうございます。あまりない事なので(^^;)嬉しいです! しかもpixivから辿ってきて下さったとは~。「禁断」ヒンシュクネタにて失礼しました(^^;)。是非またお気軽にコメントお寄せ下さい、励みになります(^_^)ノ(^_^)ノ

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